●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史
最新鋭250cc直4スポーツ・カワサキ ニンジャZX-25Rの実力を検証するため、ライバル車を集めて様々な方向からの直接対決を実施してきた今回の企画。本記事ではストリート走行のインプレッションを対談形式で総括する。4気筒は公道でも面白かった!
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史 ●取材協力: ナイトロンジャパン デジスパイス ブルーライトニングレーシング 走っていて楽しいのはやっぱり4気筒だ[…]
250でも4気筒への流れが押し寄せるかも
宮田「ZX-25Rはあくまでナンバー付きの公道車。実際にはツーリングや普段使いにも使われるわけですけど、皆さんの感想はどうでした?」
丸山「やっぱり4気筒は楽しいなとあらためて思ったんだけど、そこは2人とも同じじゃない?」
阿部「あの回して乗る楽しみ。音とかレスポンスとかタコメーターの針がどこまで上がっていくんだろうといったワクワク感は、4気筒ならではですね」
宮田「ストリートでも必然的に2気筒より上の回転域で走ることになりましたからね。最初は発進するときなど低回転でのパワーは薄いなと感じるんですよ。でも、それは2気筒250と同じ感覚でクラッチをつないでいたから。そこは回転を上げてつないでしまえばいいんで、すぐに慣れますね。それに回し気味で乗ることを覚えれば、低速でも2気筒より力強くさえ感じてくる。このことは速度ごとに修正したパワーグラフを見てみると実際にその通りの結果が出ていたんですよ」
丸山「けっこういい音で回っているのにメーターを見てみると実際のスピードは現実的な範囲なんだよね。でも、それがいいんだな。リッタースーパースポーツで1万rpmとか公道で楽しもうとしたら、命がいくつあっても足りないよ。でも250ならそれが楽しめる」
阿部「僕はツーリングペースだと峠の上り坂ではZX-25Rのフルパワーモードでも2気筒の方が力強く感じました。なので、僕が一番楽しかったのはCBR250RRかな。シビアに操作しなくても力を引き出せるし、何より車体が軽いんでスイスイ走れちゃう。ZX-25Rはギヤをしっかり選んであげないと失速気味。むしろローモードにした方がずーっと回しっぱなしにして乗っていけるので楽でした」
丸山「ワタシも峠の速さだったらCBR250RRを推したいね。その点、面白さは別にして一番ラクチンだったのはニンジャ400だった。排気量があると本当に疲れない。ニンジャ250の軽さ/扱いやすさにさらにエンジンの余裕が加わったのがニンジャ400だった」
宮田「パワーの面では高速道路で影響があるのか、丸山隊長と神永さんにお願いしてそれぞれのマシンの80km/hからの追い越し加速も比べてもらいました」
丸山「その領域では思ったより決定的な差は開かなかったよ。250ccの中ではZX-25Rがちょっと速いかなと感じた程度」
阿部「お2人がZX-25Rと新CBR250RRを比べていたとき、実は僕も後ろからニンジャ250で追いかけてみたんですが、結構ついていけたので驚きでした」
宮田「ZX-25Rは追い越し時の加速感も楽しみのひとつって感じでしたかね」
丸山「ただ、ZX-25Rは高速道を長時間走るとなると、ちょっと他のマシンより疲れちゃうかもしれないよ」
宮田/阿部「えっ?」
丸山「4気筒の高い回転数で一定のまま巡航を続けていると、どうしても疲れがちになるし音の面でも飽きてきてしまうもの。4気筒は回転に抑揚がないとつまらない。そこは適度に加減速して楽しみながら走るのがコツかな」
宮田「それでは次に装備面。ZX-25Rと新CBR250RRのクイックシフターはサーキット以外でも役に立ちました?」
丸山「どちらも甲乙つけがたいデキだった。ストリートの速度域、それもかなり低い速度でもシフトダウンができるから便利だと思うよ」
阿部「クラッチ操作が不要でシフトタイミングのみに集中できるから、ビギナーが街乗りするにも最適な装備に感じましたね」
宮田「新CBR250RRにはアシストスリッパークラッチも付きました」
丸山「スポーツテストのところで言い忘れてたけど、これも新旧CBR250RRの結果に差が出た要因のひとつだったよ」
宮田「新旧CBR250RRのクラッチの重さの違いは歴然でした。カワサキ車はどれも相変わらずクラッチが軽かったというのが印象的。ZX-25Rや新CBR250RRにクイックシフターを付けると出番は少なくなるでしょうが、未装着で乗るユーザーには恩恵があるでしょうね」
阿部「僕は最初のバイクが昔のCBR250RR(MC22)だったんですよ。正直なところそれと比べると、ZX-25Rのパワー自体にはあまり劇的な変化は感じなかったんです。でも、車体面が違いました。ブレーキはカックンじゃなく実にコントローラブルだし、足まわりの安定感がしっかりしていて高速道路で横風を受けても不安にならない。それでいて車体全体としては軽くて扱いやすくて。たしかに進化してますね」
宮田「それでは丸山さん、シメを」
丸山「ZX-25Rはストリートで難しいわけじゃないからなぁ。ワタシが10代のとき、400ccでも4気筒が一時絶滅して、その後復活してブームになったことがあったんだ。当時も2気筒ユーザーの仲間がいたわけなんだけど、乗らせてみたら誰もが『やっぱり4気筒だ!!』ってそっちに流れていってしまった。甲高いサウンドとともに吹け上がっていく感覚も、高回転でどこまでも伸びていく感覚も、レーシーという言葉だけでは表せない魅力があったなあ。そうなると2気筒ではどうしても物足りなく思えてきちゃったんだろうね。2気筒250もエントリーバイクとしてその存在意義はけっして薄れてはいないんだけど、ZXの登場で250でもこれから同じようなことが起きるかもしれないよ」
阿部「どうなるのか楽しみです!」
プロによるシーン別&一般採点:キミならどれを選ぶ?
今回のテストの結果を、シーン別にプロフェッショナルが数値化。街乗り/高速道路/ワインディング・サーキット/質感/コストパフォーマンスの6カテゴリで評価した。キミはどのマシンが好みだろうか。
ニンジャ ZX-25R:サーキット寄りだが公道でも存分に楽しめる
サーキット以外でも回して走る4気筒の楽しみを存分に味わえる。むしろ公道という場では、リッタースーパースポーツより回せる分だけ楽しさでは上かも。価格は高いが、気筒数やトラクションコントロールなどの装備を考えればコストパフォーマンスも優れている。
CBR250RR:公道でもイケイケ仕様。峠ではZX-25Rを軽さでカモる
本来エントリークラスであるべき2気筒250ccとしては頑張り過ぎの感もあるが、トルクとパワーバンドの広さ、それに車重の軽さで峠での走りでは一番だったという印象。コスパ評価だけはZX-25Rの価格と比べると致し方ないか。
ニンジャ250:ザ・オールマイティ。何にでも使える標準モデル
まさにエントリークラスの250ccにふさわしい”ザ・オールマイティ”。アップライトなポジションは街乗りやツーリングでもっとも疲れない。価格もZX-25RやCBR250RRと比べ格段にリーズナブル。フレンドリーな最初の1台として今後も大事な存在だ。
ニンジャ400:使い勝手は250、それに余裕がプラス
オールマイティな250の性格をそのまま受け継いだうえに、排気量による余裕まで手に入れたマシン。車検が気にならなければニンジャ250よりオススメしたいくらいだ。ツーリングでは長距離になるほど、その有利さが際立つはず。
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