’19年にモデルチェンジした人気モデル・YZF-R25と基本コンポーネントを共有するネイキッド「MT-25」も、1年遅れでスタイリングなどを一新した。
[◯] ついにABSを導入。倒立化によるネガなし
海外ではMT-15やMT-125が販売されているが、国内のラインナップにおいてシリーズの末弟となるのがこのMT-25だ。’15年10月の発売以来、初めてのマイナーチェンジを実施した’20年モデル。スタイリングの刷新やフロントフォークの倒立化などは、基本コンポーネントを共有するYZF-R25に準じる。注目すべきは、これまでタイプ設定されていなかったABSが標準装備となったことで、正式車名にもそれを示す”ABS”が追加されている。

【’20 YAMAHA MT-25 ABS】主要諸元 ■全長2090 全幅755 全高1070 軸距1380 シート高780(各mm) 車重169kg ■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 249cc 35ps[26kW]/1万2000rpm 2.3kg-m[23Nm]/1万rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量14L ■ブレーキF/R=ディスク ■タイヤF=110/70-17 R=140/70-17 ●価格:62万1500円 ●色:灰 青 黒 [写真タップで拡大]
先代との違いはまたがった瞬間から明確だ。51mmもワイドになったタンクカバー、よりアップライトになった乗車姿勢、そしてフル液晶化されたメーターにより、視覚から受けるサイズ感や質感がワンクラス上のモデルのようなのだ。それでいて足着き性は従来から変わらず良好であり、ニーグリップ面はしっかりと絞り込まれている。YZF-R25のネイキッド版という雰囲気を残していた先代に対し、新型はそこから完全に脱却している。現行オーナーはシートに座った途端に落胆する可能性大だろう。
最高出力35psを発揮する249cc水冷並列2気筒は特に手を加えられておらず、相変わらず低回転域から扱いやすい。中回転域までは右手の動きに対する反応が穏やかで、旋回中に開けすぎてしまってもギクシャクしにくい。本領を発揮するのは7000rpm付近からで、ここから上の領域ではレスポンスが忠実になり、旋回力に優れたハンドリングとのシンクロ率が高まってくる。実に良く調教されたエンジンなのだ。

軽量ダイヤモンドフレームや573mmのロングスイングアーム、10本スポークのアルミ鋳造ホイールなど基本設計はそのままに、マスフォワード感や凝縮感をより強調したスタイリングに。車重は新排ガス規制に対応した’18年型で165→166kgへ。ABSが導入されたこの’20年型では3kgアップの169kgとなった。 [写真タップで拡大]
続いて倒立フォークを新採用した車体の操安性について。2019年、YZF-R25の新旧を比較した際、新型は高荷重設定になっていて、正立フォークの旧型も一般公道なら負けていないと感じた。今回は新型のみの試乗なので断言はできないが、R25で感じた動きの硬さよりも、倒立化を含むフロントの剛性アップと、それを操縦しやすいハンドル位置によるトレース性の良さが際立ち、峠道での自由自在感はR25を上回るといっても過言ではない。なお、ブレーキはもう少し効力があってもいいだろう。

【次世代MTらしい精悍な顔つきに】導光体によるアイライン風のLEDポジションランプを継承しつつ、ヘッドライトをH4から超小型LEDとしてフロントマスクを一新。前後ウインカーもLEDに。 [写真タップで拡大]
[△] 微振動はほとんど解消。不満らしい不満はなし
『ヤングマシン』’15年12月号で、発売されたばかりのMT-25を試乗した際、手に伝わる微振動が気になったのだが、新型はハンドルが変更された影響だろうか、ほとんど気にならないレベルにまで減少。これならロングツーリングでも手はしびれないはずだ。
[こんな人におすすめ] ライバルはZ250。インパクトならMT-25の勝ち
MTシリーズの魅力は、コンセプトを共有しつつもそれぞれが強い個性を放っていること。新型はそれがより際立っており、直接のライバルであるカワサキZ250との大きな違いだ。街乗りが多いのなら、R25よりもこちらを強く推したい。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:真弓悟史
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