’17年より国内の正規ラインナップに登場したカワサキ ニンジャ1000が、ユーロ5の対応に伴いモデルチェンジし、車名の末尾に「SX」を加えた。18万7000円アップの実力をチェック!
[〇]全てが1ランクアップ。これぞ理想的な進化形
ストリートファイターのZ1000が’10年にスチール→アルミフレームとなり、そのプラットフォームを利用して’11年に誕生したスポーツツアラーがニンジャ1000だ。’17年にスタイリングを一新するとともにIMUを導入。そして、このタイミングで国内の正規ラインナップに加わっている。今回試乗した’20年モデルはユーロ5に対応するためのモデルチェンジだが、さらに装備を豪華にするなど注目に値する1台だ。
【’17年型から国内正規導入されたNinja1000】Z1000と同じ’17年にモデルチェンジ。スタイリングを一新しLEDヘッドライトを採用。ニンジャH2やZX-10Rに継いでIMUを導入したことが話題に。このモデルまでマフラーは左右出しとなっていた。
1043ccの水冷並列4気筒エンジンは、吸排気系を変更し、電子制御スロットルを新たに採用した。スペック上では最高出力141psは変わらず、最大トルクの発生回転数が7300→8000rpmに変わった程度だが、これが驚くほど上質に進化していた。何より素晴らしいのは回転上昇のスムーズさと、それでいて無味乾燥になっていないフィーリングだ。スロットルを開ければもちろんパワフルで、そこに快感を覚えたのは事実。その一方で、トップ6速100km/hで巡航しているときの、エンジンから伝わる燃焼の整った脈動感も味わい深いのだ。
出力モードはスポーツ、ロード、レインの3種類から選択でき、それに応じてトラクションコントロールの介入度も連動して切り替わる。また、それぞれを任意に設定できるユーザーモードも用意。トラコンの作動はインジケーターの点滅で分かるが、それを見ていなければ気付かないほど介入は自然だ。
ハンドリングも素晴らしい。ニュートラルという表現のお手本のようなセッティングで、微速域でのUターンから高速道路でのレーンチェンジまで実に扱いやすい。さらにサスの動きも優れていて、特に段差舗装を通過したときの路面追従性は電子制御サスペンションに比肩するほどだ。これは標準装着タイヤの進化も大きいだろう。
優れたウインドプロテクションや座り心地のいいシート、操作力の軽いクラッチレバー、実用的な双方向のクイックシフター、そして便利なクルーズコントロールなど、スポーツツアラーとして正常進化した’20年モデル。昨今流行りのアドベンチャーは大きすぎて、という人にもお勧めしたい。
[△]アフターケアが付帯。これが価格に含まれる
このSXはカワサキプラザのみでの販売となり、3年間の定期点検とオイル交換を無償で行うアフターケアサービス”カワサキケア”が付帯する。4輪では普及しているサービスだが、ライダーは自分で整備したい派が多いので、果たして……。
[こんな人におすすめ]初代ニンジャの正常進化形がSXと言えるかも
GPz750R→GPZ900Rと乗り継いだ元ニンジャ乗りの私は、当時目指していたカスタムの理想形をSXに見た。昨今、アドベンチャーの人気が高いが、スポーツツアラーの進化も著しい。スマートに旅をこなしたい大人のライダーへ。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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