本来よりもサイズダウンしたセルフロックのUナットを用意して井上ボーリングへ持ち込み、そのネジサイズに合せてクランクシャフトを加工。新規ナットに合せたフックレンチ製作も同時にお願いした。
オリジナルクランクケースのときには加工していたが、ロングストロークエンジン用クランクケースもカムジャーナルの摩耗拡大に対応したブッシュ圧入をお願いした。
カムジャーナル径とケース側内径を測定すると、右クランクケースはクリアランスが1/10ミリ。左ケースは5/100ミリ。やはり右ケースは楕円に摩耗していた。
そもそもクリアランスがギリギリ大き目に加工されている純正クランクケースのカムジャーナルは、オイル交換をしっかりしないと偏摩耗が進んでしまい、メカノイズ=カムギヤの歯打音が気になるエンジンになってしまう。
治具ボーラにワークをセットし、カムジャーナル内径をボーリングヘッドで拡大する。ここに砲金ブッシュを圧入してからジャーナル軸受加工を施すのだ。
双方に抜け止めの段差加工を施し、砲金ブッシュを圧入。その後、ジャーナルクリアランスを4/100 で加工したら、カムシャフトがスムーズに回りガタも無くなった。このスムーズなカム回転によって気になるメカノイズはなくなる。
ディスクの切れがイマイチだった一次クラッチ。滑り症状も出たのでFIモデルのスーパーカブ用クラッチディスクとプレートに交換。OHVエンジン最後期のクラッチユニットをベースにすれば、最新FIカブのクラッチが使える。
初期型C100と言っても、OHVエンジンシリーズの中では最後期のクラッチユニットを流用。その理由は、凸凹形状が現代のスーパーカブ用純正パーツと同じでパーツ流用が可能なためだ。50年以上前のモデルに現代パーツを流用できる。
●取材協力:井上ボーリング ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
純正キャブレーターの場合、機種によってジェットやニードルのスタンダードがだいたい決まっている。だが、ケーヒン製キャブ・FCRの場合、レーシングキャブという性格上、エンジンやマフラーの仕様によってセッテ[…]
旧『モトメンテナンス』誌時代からモデルクリエイトマキシさん実践の「工作室」企画を担当してきた筆者にとって、一番記憶に残っている修理再生術は「ハンダゴテを使ったプラスチック樹脂部品の溶着」。たとえば、樹[…]
まずはフレームの歪みを診断&修正 フルレストア完成後に「なんだか安定性がなくて…」といった話を聞くことがある。組み立て上の問題ならともかく、最悪でメインフレームのステアリングネックが"歪んでいました"[…]
雨風をしのげていつでもバイクいじりを楽しめるのはもちろん、盗難防止の観点からも注目されるガレージ。このジャンルでひと足先を行くのがデイトナの「ベーシックシリーズ」だ。 スチール製物置やガレージのトップ[…]
"走る・曲がる・止まる"の三要素を徹底チェック 取り扱い機種を絞り込むことで専門店として特化するバイクショップがある一方で、守備範囲を広く設定する店舗もある。ホンダCBXの駆け込み寺的存在であるととも[…]
最新の記事
- 歴史あるイエロー追加! ホンダ「CT125ハンターカブ」歴代カラー大図鑑【2024年モデル】
- 「世界最強最速のターボバイク」を目指して:1984カワサキ750ターボ【あの素晴らしい名車をもう一度】
- “みなし公務員”って? 「緑のおじさん」こと「駐車監視員」について改めて解説
- お宝バイクが見つかるかも! 在庫700台を誇る伝説のバイク屋「湘南ジャンクヤード」攻略法
- スズキ「Vストローム800」「Vストローム800DE」の2025年モデル登場! 無印800は全カラーを刷新