兄弟車のニンジャ650とともにユーロ5に対応し、最新のSugomiデザインをまとったZ650。メーターがスマホ対応となるなど、利便性がアップしている。
[◯] トルクは微減したが、走りへの影響は皆無
以前にレポートしたニンジャ650のバリエーションモデル「Z650」に試乗した。’20年型での主な変更点はニンジャに準じており、スタイリングは兄貴分のZ900を彷彿させるシャープなものとなった。エンジンは排ガス規制ユーロ5に対応するため触媒容量を増大し、併せて吸気系もエアクリーナーボックスとスロットルボディをつなぐダクトの形状を変更している。車体は標準装着のダンロップタイヤが世代の新しいものとなり、メーターはTFTカラー液晶へ。ブルートゥースを内蔵しており、スマホを通じてさまざまな情報のやり取りが可能になった。
まずはエンジンから。最高出力68psは従来型から不変だが、最大トルクは0.2㎏-mダウンしている。とはいえ、649ccの水冷並列2気筒は低回転域から力強く、その印象は車重が5kg軽いこともあってか、ニンジャを上回る。3000rpm以下では軽やかな鼓動感があり、そこから6000rpm付近までリヤタイヤの蹴り出し感がしっかりと伝わってくる。さらにスロットルを開ければレッドゾーンの始まる1万rpmまで淀みなく伸び上がるなど、回転域や開け方によってさまざまな表情を見せる。変更のアナウンスは吸排気系のみだが、より厳しくなった排ガス規制をパスしてなお楽しさを失っていないことに感心しきりだ。
ハンドリングもいい。どんな乗り方でも曲がれるという懐の広さはそのままに、標準装着タイヤがダンロップのD214からロードスポーツ2になったことで、さらに乗り心地や安心感が高まった。速度の上昇とともにカウルの空力によってローリング方向の動きが重くなるニンジャに対し、Z650は100km/h付近での車線変更も軽快で、操縦に対する車体のレスポンスが明らかに早い。純粋なウインドプロテクションはニンジャの方が上だが、新型Zはラジエターシュラウドがワイドになっており、下半身の防風効果はネイキッドとしては意外といいのだ。
ブレーキの印象はニンジャと同様に良好で、ハーフウェットでのABSの作動も特に不満はなかった。
【先代ER-6nから車体刷新などで19kgも軽量化】’16年11月のEICMA でお披露目されたZ650。フレームをダブルペリメターから高張力鋼管トレリスにするなど車体を大刷新し、19kgもの軽量化を達成。’18年と’19年モデルで色変更を実施。
[△] タンデムシート改良は積載において減点対象
パッセンジャーの居住性を高めるため、座面がフラットからカマボコ形状になった。お尻のフィット感は増したものの、大きなシートバッグを載せたときの安定性が減ってしまった。ニンジャも同様なので、特にキャンプツーリング派は確認を。
[こんな人におすすめ] ニンジャと並び、このクラスの万能モデルだ!
ヤマハのMT-07、スズキのSV650など、このクラスのネイキッドは平均点が高いが、中でもZ650はバランスの良さで秀でている。ニンジャと乗り比べると、まるでコートを1枚脱いだかのような軽快感があり、個人的にはZが好みだ。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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