現行モデル唯一無二の250cc直4を引っ提げて’20年にデビューするカワサキ ニンジャZX-25Rと、同社直4クォーターの原点であるZXR250。ヤングマシン編集部が独自に割り出した寸法から2つのエンジンを比較した。一見、25Rのエンジンは縦長、ZXRはギュッと凝縮されている印象だが、実際の寸法はほとんど同じ。横幅はほぼ同一だった。冒険はせずに堅実、そんな設計思想が見て取れる。
偶然か? 必然か? シリンダー角以外ほぼ同じ
ZX-25Rは、オイルフィルターを元にエンジンの寸法を推測で導き出し、ZXR250は’91年型の単体エンジンから実測。そのため、数値に誤差があるだろうことはご承知いただきたいものの、両車の数値は驚くほど似通っていた。
真横から見た印象では、25Rはシリンダーが直立気味、ZXRは前傾している。そのため、25Rは背が高く、ZXRは前後に長く見えるのだが、実測値では25Rの方が全高で+10mm、前後長で+5mmとほぼ同じ。全幅(横幅)に関しては全く同寸だ。
他にも排気ポートやカムシャフトの間隔、シリンダーの高さを測ったが、いずれも差は3〜5mm程度と酷似している。関係者によれば、25Rの開発にあたって「ZXRの設計図面は確認はした程度」とのことで、決して旧作のコピーではない。しかし、直4という精緻なメカニズムを250㏄でオーソドックスに設計すると、自ずと似通った仕様になるのかもしれない。
一方、シリンダー前傾角は見た目どおり大きく違い、写真からの推測で25Rが約12度、ZXRが約31度(ともに車載時)。同様に写真から他車のシリンダー前傾角を類推してみたところ、CBR1000RR‐Rは約31度、ZX-10Rも約20度と寝ている。2気筒の現行ニンジャ250も約20度だった。
主要3軸であるメイン、クランク、カウンターの各シャフトに関しても、現行SSでトレンドの三角配置ではなく、ZXRと同様に一般的な直線配置のようだ。これらの点から25Rの直4は、レプリカ全盛時代のユニットと同等にコンパクトとはいえ、基本設計は「攻めた」ものではなく、極めて普通。言い換えれば堅実な造りと言えよう。その狙いは、やはりコストを抑えつつ、爽快な超高回転を楽しむためと予想できる。なお製造国はタイが有力。複雑な4気筒ながら、既にカワサキはタイでZ900など直4車の生産実績がある。これも当然、コストの抑制が目的だ。
約30年の時を経て、4気筒250ccマシンとして復活するカワサキ ニンジャZX-25R。次ページでは、先代ZXR250とのエンジンの違いについて、微に入り細に入りさらにマニアックに掘り下げる。
●文:沼尾宏明 ●写真:川島秀俊(ZX25R)、岡拓(ZXR250) ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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