現行モデル唯一無二の250cc直4を引っ提げて’20年にデビューするカワサキ ニンジャZX-25R。同社直4クォーターの原点であるZXR250の心臓部と比較すると、意外なことに多くの類似点が判明。一方で着実に進化していることもわかった。コストと愉楽を両立したエンジンになりそうだ。
スペック至上から「みんなの直4」へ
「輪廻」とは、生物が生まれ変わりを繰り返すという意味の仏教用語。この言葉がしっくり馴染むほど、31年もの歳月を経て誕生した2台の250cc直4には、類似した箇所が多い。
カワサキ初の250cc直4であるZXR250が登場したのは’89年。前傾シリンダーによるダウンドラフト吸気や右サイドカムチェーンを採用し、最高出力は自主規制上限の45psをマークする。ZXR自体は’99年型で生産終了するも、心臓部はネイキッドのバリオスに転用され、’07年型まで存続する息の長いユニットとなった。
そして’20年、完全新作のZX-25Rが登場。途絶えていた250cc直4の系譜が甦ることになった。「走りも装備も、すべてにおいて既存250ccのワンランク上」とされ、最高出力はZXR越えの46psと噂される。現時点で詳細は未発表だが、’20年2月に公開されたエンジン単体を取材したところ、外観に関しては特に奇をてらった箇所は見受けられない。それどころか、30年前のZXRとレイアウトやサイズがよく似ていそうなことがわかった。
現代の技術を用いれば、さらなるコンパクト化や高性能化を図ることも可能だったはずだが、あえてオーソドックスな造りとしている。これは、主要マーケットであるアジアを見据え、コストを重視した結果だろう。2気筒250ccの高額化が進む今、直4となればプレミアム価格になりそうだが、手の届くプライスが期待できる。ZX25Rは、直4の快感を多くのライダーが享受できるマシンなのかもしれない。
約30年の時を経て、4気筒250ccマシンとして復活するカワサキ ニンジャZX-25R。次ページでは、先代ZXR250とのエンジンの類似性についてさらに深く掘り下げる。
●文:沼尾宏明 ●写真:川島秀俊(ZX25R)、岡拓(ZXR250) ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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