たゆまぬ進化を続ける二輪車テクノロジー

時代を切り拓いた革新のエポックマシン〈世界初〉’88〜’99セレクション×5台

※本記事で取り上げる「初」は、公道走行可能な量産二輪市販車としての”初”を意味します。なお、その定義には諸説ある場合があります。

’88 ホンダGL1500ゴールドウイング〈世界初・リバースシステム〉重厚巨艦も楽々取り回す

真のキングオブクルーザーを狙い、’88年、GL1200が1500に進化。従来の水平対向4気筒1182ccに対し、6気筒1520ccを採用したほか、クルマ並みの豪華装備を与えた。一方、車重の増大で取り回しが困難になったため、世界初のリバースシステムも新開発。セルモーターでリバースギヤを駆動し、車速を電子制御するスグレモノだ。

【’88 HONDA GL1500 GOLDWING】■水冷4スト水平対向6気筒SOHC2バルブ 1520.3cc 97ps 15.2kg-m 車重360kg(乾) ※輸出車

’88 BMW K1〈世界初・ABS〉いち早く導入した先進の安全装備

ドイツ・アウトバーンを快適に走るために生まれたクルーザーがK1。高速走行に対応すべく、ホイールのロックを防止するABSが初搭載された(北米以外はオプション)。既にクルマで普及していたが、バイクにはその後も広まらず、一般化するのは’00年代後半からとなる。

【’88 BMW K1】■水冷4スト縦置き並列4気筒DOHC4バルブ 987cc 102ps 10.2kg-m 車重234kg(乾) ※外国車

車速センサーなどの情報を元にアクチュエーターがブレーキ圧を制御。車両は近未来的フルカウルとポップなグラフィックが斬新だった。

’96 ヤマハDT230ランツァ〈世界初・トラクションコントロール〉リヤタイヤの不要な滑りを抑制

開発ベースのDT200WRがモトクロッサー的な特性だったのに対して、DT230ランツァは林道での楽しさを重視して開発。量産車初の機構だったにも関わらず、リヤタイヤのスライドを適度に抑制するトラクションコントロールは、多くのライダーから絶賛された。

【’96 YAMAHA DT230 LANZA】■水冷2スト単気筒ケースリードバルブ 224cc 40ps 3.7kg-m 車重114kg(乾) ●当時価格:43万5000円

現行車とは異なり、ランツァのトラクションコントロールの構造は至ってシンプル。センサーが収集する情報はエンジン回転数と回転数加速度のみで、回転数が急激に上昇した際に、点火時期の瞬間的な遅角/進角を行う。

DT200WRがベースの水冷2スト単気筒は、粘り強い特性を獲得することを意識して、ストロークを7mm延長する(57→64mm。ボアは66.8mmのまま)と同時にクランクの慣性マスを57%増大。始動はセルのみ。

’97 ホンダCRM250AR〈世界初・AR燃焼〉2ストの未来を提示したAR燃焼

CRM250シリーズの最終型に導入されたARは、2スト特有の自己着火現象を、数多くのセンサーとコンピューターを用いて意図的にコントロールする画期的な技術で、扱いやすさと燃費の向上、排ガス浄化を実現。なおARの基礎研究は、ラリーレーサーのEXP-2で行われた。

【’97 HONDA CRM250AR】

’99 ホンダ ジョルノクレアデラックス〈世界初・アイドリングストップ〉先進的機構を備える50ccスクーター

近年のスクーター界で普及が進んでいるアイドリングストップシステム。その先鞭を付けたのはホンダで、初採用車のジョルノクレア・デラックスは、今から20年以上前に登場。

【’99 HONDA GIORNO CREA DX】■水冷4スト単気筒SOHC2バルブ 49cc 4.8ps 0.46kg-m 車重79kg(乾) ●当時価格:19万9000円

アルミキャストフレームに水冷4スト単気筒を搭載するジョルノクレアは、’90年代末の50ccスクーター界では革新的なモデルだった。


●文:沼尾宏明、中村友彦 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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