多くのバイクファンに惜しまれながら2000年に製造を終えたスズキ カタナが、GSX-S1000/Fをベースに「KATANA」として2019年に復活。今回、令和元年を代表するこの1台の走りをじっくりチェックした。
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[○]品のある熟成の直4。峠道での軽さが光る
第三京浜ブームを肌で知る限定解除世代にとって、「カタナ」は特別なアイコンだ。ゆえに、同じ名を冠するニューモデルの誕生は心中穏やかではなかったのだが、すべての試乗を終えた今、スーパーな走りを確認できたことで胸をなで下ろしている。
まずはエンジンから。ベースとなったGSX-S1000/Fの998㏄水冷直4は、’05〜’08年型のGSX-R1000用のエンジンを最適化したものだ。何より感心したのは微振動の少なさと低回転域での安心感。前者については基本設計が15年以上も前とは思えないほどスムーズで、特に巡航中のフィーリングはシルキーと表現してもいいほどだ。そして低回転域の印象については、10%の上り勾配をトップ6速のままトロトロと走ったり、ゆっくりとUターンするような場面でもエンストする気配がまったくない。これはエンジン回転の落ち込みを制御するローRPMアシスト機能によるものだ。そうした日常的な上質さと扱いやすさを併せ持ちながら、いざスロットルを大きく開けるとすさまじいほどの加速力を見せる。その速さは同じヘリテイジスポーツのカワサキ Z900RSを上回り、トラクションコントロールを最も感度の高いレベル3に設定しておくと、介入を知らせるインジケーターがすぐに点滅するほどだ。
ハンドリングもいい。スロットルのオンオフで発生する自然なピッチングや、倒し込みや切り返しの軽さはGSX-S 1000/F 譲りだが、カタナはフレームマウントのヘッドライト類がフルカウルのFよりも軽量で、なおかつ入力点であるハンドルの幅が広いからか、さらに切れ味の鋭いハンドリングとなっている。これだけ旋回力が高いと、もう少しハンドルの位置を低くして前輪荷重を稼ぎたいなどと思ってしまうが、とはいえGSX-Sよりも上体が起きた安楽なライポジでこれだけスポーティに走れることは、素直に称賛したい。なお、ブレーキはフロントにブレンボを採用するが、初期のタッチはややおとなしめ。このフィーリングもGSX-Sに似ており、前後ともにコントロール性は非常に高い。
[△]開け始めがやや過敏。高速では突き上げも
GSX-S1000/Fもそうなのだが、スロットル全閉からの開け始めでやや過敏に反応しやすい。それと、基本的にサスの動きはいいのだが、高速道路で大きいギャップを通過すると強めに突き上げられることも。また、迫力のある排気音はもう少し抑えたい。
[こんな人におすすめ]このジャンルで群を抜く速さと圧倒的な存在感
タンク容量が12Lしかなく、実質的な航続距離は200km前後だろう。GSX-S1000/Fと同様、峠道を半日走ってリフレッシュするという使い方が合っている。世界的にカスタマイズパーツが豊富であり、自分好みに仕上げるという楽しさも。
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