’19秋のミラノショー(EICMA)で鮮烈デビューを飾ったビモータの最新作「テージ H2」。伝家の宝刀「ハブセンターステアリング」とカワサキH2のスーパーチャージドエンジンを組み合わせは、どんな異次元体験を引き起こすのか。市販版に向けて開発は順調。もうすぐ公道に解き放たれる!
異次元の走りがもうすぐ実現
’19秋のEICMAでの衝撃と言えば、なんと言っても突如発表されたビモータとカワサキの提携、そしてNinja H2のスーパーチャージドエンジンとビモータ伝統のハブセンターステアリングが融合した夢のスーパーマシン「テージ H2」だった。その後もビモータでは、SNSなどを通して開発状況をアナウンス。いよいよ市販バージョンに向けて最終段階に突入した模様だ。
現在はサスペンションセッティングなど足まわりの煮詰めを行っている様子で、ABSの性能試験なども終了。開発陣の期待を上回るかなりの手応えが得られたことを伝えている。
初代1Dから30年の時を経て、カワサキ・スーパーチャージドエンジンと融合して登場するH2。これぞビモータと言える性能と魅力が詰まった夢のマシンだ。
マスの集中化のため、前後ショックは後方に並べてまとめられている。開発報告では最適なセッティングを求めて、ユニットを厳選している風景も伝えられている。
ABS試験のためにアウトリガーが装着されたテスト車両。H2Rでは310psを誇るスーパーチャージドエンジンは、ハブセンターステアリングの利点を遺憾なく発揮するのに絶好の組み合わせだ。
テスト模様は動画でもアップ。ウェット路面でのフル制動では、車体を軽く前方にピッチングさせながら、左右にはまったくブレずキレイに減速する姿を見せる。最新の電子技術も効いているのだろう。
バーンナウトしている姿が、このマシンのアイデンティティを示している。最高速トライの風景はまだないが、H2パワーで相当な速さを発揮することは間違いない。
そもそもハブセンターステアリング構造は、操舵機構と懸架機構が混在して互いを阻害しあっているテレスコピック構造の欠点を克服するために編み出されたもの。特にフル制動時に車体姿勢が大きく前下がりし、フォークに大きな曲げ力もかかるため、路面の凹凸を繊細に吸収するのが難しいというテレスコピックの弱点を一気に解消するとされてきた。
ハブセンターステアリングの初代マシンTESI 1D登場から30年。熟成を重ねてきたこの技術が、現代のブレーキ技術やサスペンション技術と合わさって、制動試験の場で驚異的な真価を発揮したとしても不思議ではない。
そんな期待が高まるTESI H2の市販版だが、ヤングマシン本誌ではイタリア本国での発表がわりと近い’20年晩春(5月中旬頃)を目指しているとの情報をキャッチ。日本への上陸については現状何も決まっていないと言うが、早くその姿をナマで拝みたい。
最新情報では、本国発表目標に’20年春頃を設定。生産・販売はカワサキとの新規合弁会社が担当する。日本での取り扱いは現状未確定だ。
エンジンやマフラー、灯火類にメーターはNinja H2のパーツを使用する。詳細スペックは未公表で、最高出力がNinja H2の231psを超えるかはまだ不明だが、それも近々明らかになるだろう。
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