【1億総カブ主会】Super Cub C70 1972

スーパーカブの化粧直しに挑む【ノンレストアを磨き込み、驚きの美しさに】

ペイント工房ドリーム商會でペイント

幾多の歳月が刻み込んだ雰囲気=未再生車両のオーラに対し、ちょっと違った価値観を持つファンが増えているという、スーパーカブの世界。ある意味「いい感じのサビ」が、そのようなファン心理を生んでいると言えなくもない。今回、かなり程度の良い車両のお化粧直しを試みた。


●文/写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:ドリーム商會 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

ヘッドライトの下に大きなポジションランプ(通称”行灯”)を配した、’60年代のスーパーカブ。その化粧直しを埼玉県大里郡寄居町の絶版車・旧車の純生オリジナルペイントを得意とするドリーム商會にお願いした。

「行灯時代」のスーパーカブ・スタンダード
「行灯時代」のスーパーカブ・スタンダード。カモメK1がデラックス・モデルとして登場したため、旧ボディデザイン(別体ガソリンタンク仕様)のスーパーカブは、この時期、スタンダードと呼ばれ、デラックスと併売されていた。部分的なキズや汚れ補修が今回のテーマ。

「ヘンに補修すると雰囲気が悪くなってしまいますから、部分修理は難しいです。でも、ここまでコンディションが良いなら、個人的にも補修仕上げをお勧めしたくなりますね」とは、ドリーム商會代表の小島さん。旧車が大好きで、自身も数多くのホンダ60sを所有することから「マシンオーナーさんの気持ちがよくわかります。確かにこの部分は、このままではかわいそうですね。気が付かないような仕上がりにできるものなら、キレイにしてあげたいコンディションだと思います。このカブ、それにしても程度が良いですね!!」と、スーパーカブをよく知る小島さんからも、程度が良く見えたのが、この行灯カブだった。

メーカー資料によれば、66年に発売されたC65から継続で採用されてきたのが「ターフグリーン」と呼ばれる「芝生の緑」。ペイント色名称の由来が、芝生だったのだ。今回は、4色の基本色で調色し、このターフグリーンを再現して下さった。

化粧直しで満足度アップ!!

ドリーム商會の作業場でタッチアップ作業をするのかと思ったら、バイクをペイントブースへ入れて、補修箇所以外はすべてまるまる車体をマスキング。素晴らしい作業段取りだ。

タッチアップ作業ではなくペイントブースへ

自然光である程度調色してからペイントブース内の環境でも調色確認。微調整を行っていた。現車を見る限りでも、フレーム本体のペイントとハンドルのペイントは劣化具合が違う。

ペイントブース内の環境でも調色確認

自然光である程度まで調色するのが基本のようだ。使っていたカラーは、グリーン、黄色、濃ブルー、黒のほぼ4色。15分くらいで暫定的な調色は完了していたようだった。

自然光である程度まで調色するのが基本

リアフェンダーを部分的に補修しようと思った最大の理由は、以前に青ペンキを飛び散らしたまま放置した跡があり、それを拭き取ろうとシンナーで拭いたら全体がハゲたためだ。

リアフェンダーを部分的に補修

70年モデルあたりからハンドル右側の上部にコーションデカールが貼られている。そのデカールに補修の影響が出ないように、しっかりマスキングしてから作業開始。

デカールに補修の影響が出ないようにしっかりマスキング

ペイントブースの中で調色の微調整を進めた結果、フレームボディやリアフェンダーの患部周辺に対し、ハンドル上面はやや暗めに退色していることがわかった。まずはリアフェンダーの色味に合わせて調色を進め、リアフェンダーとハンドル上面患部にうっすら吹き付けて、様子を確認。周辺との色味を比較し最終判断を下す。

ペイントブースの中

原付二種のリアマークに目立つキズが入っていたので、最後にこの白部分のタッチアップもお願いした。スーパーカブが好きな工房店主だから、こんな面倒な作業も……。

最後にこの白部分のタッチアップもお願いした

リアフェンダーとハンドルの部分は、純正ペイントのような安っぽく薄い仕上がりとしていただいた。そうしないと、純正のままのその他とつり合わなくなるからだ。薄汚れてくるといい感じにつり合うと小島社長。

純正ペイントのような安っぽく薄い仕上がりとしていただいた

小島社長はホンダの旧車や旧車の自転車ファンで、工房内には常に気になるモデルが並んでいる。有名外車ディーラーからのペイント依頼も数多く、ノーマル補修からカスタムペイントまで数多く担当。エイジングも大切に考え、塗り直すのがもったいない程度のタンクを依頼されると、ついつい「補修で仕上げませんか!?」と逆提案してしまうほどの旧車マニアだ。

ペイント工房ドリーム商會代表 小島明夫さん
ペイント工房ドリーム商會代表 小島明夫さん

ドリーム商會では、部品の部分塗装の仕事も請け負っている。また、ユーザーニーズがあり、ソリッド色ならタッチアップ用塗料も同時に用意しているそうだ。程度が良いから塗り直したくない。でも、キズが気になる、といった車両を所有するオーナーさんは、まずは相談してみることをお勧めしたい。

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