東京モーターショーのヤマハブースでは本格アドベンチャーのテネレ700(Ténéré 700)がいよいよ国内上陸に向けて展示。発売予定時期についても正式にアナウンスが行われた。本格オフもこなす走破性の高さを武器に、既存のビッグアドベンチャーでは満足しきれない冒険野郎たち待望のマシンが、いよいよ日本でも手に入ることになるぞ。
「電子制御不要」が誇示する素性のよさ
テネレ700はMT-07系の689cc水冷並列2気筒エンジンを搭載したミドルクラスのアドベンチャーモデル。しかし、XTZ1200スーパーテネレの弟分といった位置づけではなく、本格オフもこなすラリーレイドスタイルで戦闘力の高い実戦的なマシンに仕上げられた。
そのエンジンは、あくまでMT-07「系」。テネレ用にセッティングが最適化されている。これはFIまわりのマッピングを調整したといったものには終わらず、ハード的にミッション部品の新規設計が必要となるギヤ比も専用設定とするなど、妥協した部分は一切ない。
車体部分についてもMT-07のダイヤモンドフレームは使用せず、テネレ700専用にダブルクレードルフレームを完全新設計。これにフルアジャスタブルの前後サス、オフロードマシンの最適解であるF21インチ&R18インチのホイールを採用する。最低地上高も240mm(欧州仕様)とたっぷりで、聞いただけで走破性の高さが予想できる。
ただし、電子制御面については、驚くほどあっさりだ。簡単に言うとABSしか付いていない。トラコンやパワーモードといった最近のマシンに採用されがちなものは装備されていない。これには理由があり、マシン構成を極力シンプルにすることで「どんなところも走破して帰ってこれる」リアルアドベンチャーマシンとして譲れないポリシーを貫いているためだ。
とにかくテネレ700の発売までは、かなりの時間が費やされた。2016年のミラノショーで公開されたT7コンセプトに始まり、翌2017年ミラノショーではプロトタイプのTénéré700 World Raid(テネレ700ワールドレイド)に進化。2018年はオーストラリア、アフリカ、南米、ヨーロッパでデモ走行的なテストを重ね、ようやく2018年秋のミラノショーで製品仕様が登場と、とことん性能を磨き込んでのリリースとなっている。それに、こうした長期テストによって快適姿勢からハードにオフロードを走るスタンディング姿勢までライポジの高い自由度も徹底的に追求。エンジンフィーリングも合わせて通常のツーリングから楽しめる高次元バランスも実現しているというから、きっと多くのライダーの期待を裏切らないはずだ。
気になる国内仕様の発売時期だが、今回の東京モータショーでは2020年夏以降を予定していることを正式に発表。展示されている車両は先行して発売が始まっている欧州フランス仕様となるが、国内仕様については左側通行に合わせたヘッドライト照射方向の調整程度で済むとのことだ。実はテネレ700は国内仕様投入を念頭にして開発が進められていたとのこと。そのため、ほとんど変える必要がある部分はないはずだと言う。詳細諸元は未発表。価格についてもまだ未定ということだが、欧州仕様の価格を元に予想すると120万円前後といったところ。国内仕様の正式発表まで、あとしばらく待ってもらいたい。
YAMAHA Ténéré 700 スペック&ディテール
YAMAHA Ténéré 700■全長2365 全幅915 全高1455 軸距1590 シート高880(各mm) 車重未発表■水冷4ストローク並列2気筒 DOHC4バルブ 689cc 73ps/9000 6.93kg-m/6500rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L■タイヤサイズF=90/90R21 R=150/70R18 ●予想価格:120万円前後 ●発売時期:2020年夏以降
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