公式合同テストは水曜日から!

[鈴鹿8耐直前! 佐藤寿宏のレース通信]本命は3大ワークス、大どんでん返しはあるか!?

ロードレースを追いかけること20年以上のフリーライター・佐藤寿宏さんの「寿(ことぶき)通信」をお届け。国内外、レースの様々な現場から届く「寿通信」は、日本人選手の動向を中心にレポートする。今回は鈴鹿8時間耐久ロードレースを週末に控えたこともあり、直前情報をお送りする。

レースウィークに梅雨明け、各チームの暑さ対策は?

いよいよ鈴鹿8耐が始まります。今年は公式合同テスト2回目がレースウイークの水曜、木曜に組み込まれたことから、例年より1日早く走行が始まります。ようやく梅雨明けするようで、週間天気予報を見ると最高気温は32度ほど。ここ数年に比べれば低いものの、梅雨に入って30度にも届かずスッキリしない天気が続いているので、皆さん体調には十分ご注意くださいませ。

暑いレースウイークになることが予想されますが、事前テストでは、1度も暑いコンディションで走ることができていません。いかにコンディションに合わせたアジャストができるかもポイントとなってきますが、まぁトップチームは、うまく調整してくるでしょう。

今年の鈴鹿8耐の本命は、なんと言っても3大ワークス。5連覇を狙うYAMAHA FACTORY RACING TEAM、それを阻止すべく本気モードとなったRed Bull Honda、そしてワークスチームを復活させスーパーバイク世界選手権(SBK)トリオで臨むKRT(Kawasaki Racing Team)のぶつかり合いが楽しみなところです。

事前テストでは、3チームとも3人そろっての走行はなく、それがどう影響するか注目したいところです。

#33 Team HRC 高橋巧

レースは、まず高橋巧が逃げて行き、レイ、中須賀が追う展開になるでしょう。高橋巧は、ここぞとばかり全開で飛ばすはずです。離れて行く高橋巧の背中を見ながらプライドのあるレイが、深追いすれば燃費にも影響が出てくるでしょう。この辺、YAMAHA FACTORY RACING TEAMは想定しており、3人のアベレージで勝負するとしている。クリアラップが、ほぼ取れない中、高橋巧が、どんなペースで走るかが、まずは序盤のカギになるでしょう。

事前テストでトップタイムを記録しているRed Bull Hondaの高橋巧が今年の最速ライダーと言えそうですが、トリオを組む清成龍一、ステファン・ブラドルが、どれだけのペースで走ることができるかがポイントになるでしょう。耐久仕様のCBR1000RRWは、予想通り仕上がって来ており燃費もよさそうです。

#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 中須賀克行

YAMAHA FACTORY RACING TEAMは、SBK第7戦イタリア・ミザノ初日(6月21日)にマイケル・ファン・デル・マークが転倒し、右手首と肋骨を骨折。一時は鈴鹿8耐への出場も危ぶまれましたが、僅か2週間後のSBK第8戦イギリス・ドニントンパークで復帰。鈴鹿でのテストには参加できていませんが、3年目を迎えるトリオだけに、ライダー同士のコミュニケーションでは、一日の長があると言えるでしょう。

昨年は、土曜日に中須賀克行がフリー走行で転倒し肩を負傷。8時間をマイケルとアレックス・ローズの2人で戦うことを決めたときに、マイケルがポジション変更を行いました。それまでは、中須賀のポジションに2人が合わせていましたが、今年は、少しでもマイケルが乗りやすいようにと中須賀もマイケルのポジションで走ることにしています。さらにスーパーサブとして野左根航汰も控えているので、5連覇に向けてやることはやってきたという感じです。

#11 Kawasaki Racing Team ジョナサン・レイ

KRT(カワサキレーシングチーム)は、6月上旬にジョナサン・レイ(ジョニー)とレオン・ハスラム、6月下旬にレオンとトプラック・ラズガットリオグルが鈴鹿でテストを行いメニューを消化。ジョニーとレオンは優勝経験がありますが、トプラックは、初めての鈴鹿8耐。若くて勢いのあるライダーですが吉と出るか凶と出るか!?

ヨシムラは、今年、加賀山就臣が加入し、マシン造りを一からやり直してきました。渡辺一樹のセットも試し、渡辺のセットをベースに臨むことを選択。全日本JSB1000クラスを戦う2人を中心に、ヨシムラで3年目となるシルバン・ギュントーリというトリオで臨みますが、3つのワークスチームに比べると、今一歩というところ。来年100周年を迎えるスズキだけに、もっともっと力を入れて欲しいところですね。

Hondaは、ハルク・プロと世界耐久選手権で逆転チャンピオンを狙うTSRにワークスマシンを貸与。ハルクは、JSB1000、2年目を迎え成長著しい水野涼を中心にドミニク・エガーター、チャビ・フォレスというラインナップ。ドミニクは、Team KAGAYAMAで2014年に登場して以来、毎年参戦しており早くも6回目だが、チャビは初めてというところに不安要素があるか!? TSRは、最新のワークスマシンだが、サスペンションは、他の2台のオーリンズとは違いSHOWA。ジョシュ・フック、フレディ・フォレイ、マイク・ディ・メリオというラインナップのわりには、鈴鹿でも速さを見せており十分頑張っていると言えるでしょう。TEAM SRC KAWASAKI FRANCEに対して23ポイント、SERTに対して18ポイントのビハインドをひっくり返すことができるでしょうか!?

#9 MotoMap S.W.A.T. 青木宣篤

本誌でおなじみ青木宣篤率いるMotoMap S.W.A.T.を始め、よりスタンダードなレギュレーションとなっているSSTクラスの戦いもあります。

すでに鈴鹿に集結している66チーム。66通りのドラマが、それぞれのチームにあります。42回目を迎える真夏の祭典は、7月28日(日)11時30分にスタート!

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