~国道238号線 宗谷国道(オホーツクライン)~

【バイクで巡るニッポン絶景道】最果て感漂う日本最北の国道 オホーツクライン[北海道]#モトツー

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第21回は、オホーツク海沿岸を走り抜ける日本最北の国道だ。総延長319kmは生活感のある市街地と原野の続く郊外をつなぎ、ゆったりとした時間の感覚とともにいつの間にか距離を稼いでいる。

TEXT:Hidetoshi KANDA

ニッポン最北の国道は北海道を代表するロングルート

別名“オホーツクライン”。日本最北の町、稚内市より日本最北端である宗谷岬を経由し、オホーツク海沿岸の網走市まで至る、北海道屈指の長大なルートがこの宗谷国道だ。総延は実に319km。オホーツク海を望みつつ、小さな町々を繋ぎつつ南下する道北有数の主要道路の一つでもある。

宗谷岬を経由するが故“日本最北端の国道”とも言われ、季節を問わず日本各地よりライダー達が訪れる“ツーリングの聖地”とも言えるルートだ。

主要国道の為、交通量は非常に多く、観光バスやマイカーは勿論、大型車も常時通行するが、道幅は大変広い上、市街地以外では信号は皆無。流れは非常にスムーズな為、ストレスを感じずにクルージングできる。何より、海の遥か彼方はロシア。紺碧の美しいオホーツク海の水平線も、最果て感抜群の旅情を演出してくれる。

全体的に鄙びた漁村を繋いで走る為、目の覚めるような絶景が連続する観光道路的な様相ではないが、生活感のある市街地と原野の続く郊外のギャップは、視覚的にも心地よい刺激だろう。道路線形も大変整備されており、ワインディングや高速コーナーといった“ライダー魂”を刺激されるような官能的な道ではない。しかし、300kmを超す長大な区間にもかかわらず飽きを感じる事はなく、走り出してしまうとその距離が意外と近く思えてしまう不思議なルートでもある。

ハイライトは猿払村~浜頓別町の緩いアップダウンの連続する区間。北海道特有のダイナミックな丘陵超えと、ピークより遠望できる長大な海岸線は、最果て感と共に北海道感を感じられるまさに絶景。バイクを路肩に停めて休憩するのもアリだろう。また、国道を途中で分岐してショートカットする“猿払村道エサヌカ線”は一直線の道路が空に吸い込まれてゆく幻想的な風景を堪能できる、超穴場ルート。近道と同時に絶景を楽しめるお勧めツーリングロードだ。

北海道ライダーは必ず走るルートであろうが、単調に見えて意外と見所は多い為、一気に走破せずに余裕を持ってゆったりと走る事で、楽しみがさらに増えるルートだろう。

カニの水揚げで有名な枝幸町を縦断する宗谷国道。オホーツク海の濃いブルーが北の海らしい雰囲気を醸造する。ほのかな潮の香と共に、国道はさらに南下してゆく。
オホーツク海を遠望しつつ、猿払村へ向け丘陵地帯を駆け上る。四季を通じ定番ツーリングルートとしてライダー達の姿は多いが、冬季は暴風雪が吹き荒れる為、極地装備を忘れずに携帯しよう。
近年ライダー達の間で人気の穴場ルートがこの猿払村道エサヌカ線だ。空と融合する直線道路は北海道ならではの醍醐味。宗谷国道のショートカットルートでもある。冬季は通行止めになるぞ。
国道沿いにひっそりと佇むクッチャロ湖は1989年にラムサール条約に登録されたキャンプ場併設の湖。毎年2万羽ものコハクチョウが訪れる、日本最大の中継地として知られている。
宗谷国道の裏道とも言える、宗谷丘陵付近の道道889号も面白い。丘陵のゆるやかなアップダウンとワインディングはライディング感抜群。丘陵地帯の中に林立する風力タービンの風景もまた絶景だ。
網走市郊外の穴場絶景スポット能取岬。宗谷国道より数kmの寄り道だが、秘境感すら漂う観光客皆無の絶景を堪能できる。本ルートで最もお勧めしたいポイントの一つだ。

ロード情報

交通量:網走と稚内を連絡する、海岸沿いでは唯一の路線であり、観光路であると共に重要な交易路。昼夜を問わず交通量は多く、大型車両も多い。しかし、渋滞は皆無で爽快そのものだ。

路面:北海道特有の幅広な道は大変走り易い。全体的に路面状態は非常に良好だ。但し、市街地では狭くなる為、注意しておこう。冬季のこの区間は暴風雪のメッカ。気を付けて走行しよう。

~宗谷国道(オホーツクライン)~
秘境感★
天空感★
潮風感★★★★
爽快感★★★★★
根性感★
開放感★★★

関連する記事/リンク

関連記事

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第20回は、天草諸島を橋梁でつなぐ少々マイナーな“天草パールライン”だ。日本3大松島[…]

関連記事

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第19回は、その名があまりにも有名な“ビーナスライン”を紹介しよう。高原から山岳地帯[…]

関連記事

『バイクで巡るニッポン絶景道』シリーズは、ヤングマシンの姉妹誌であるモトツーリング編集長カン吉(神田英俊)が案内人。第18回は、富士山を走行できる数少ないルートのひとつを紹介する。終点の標高は2380[…]

MOTOツーリング

モトツーリングとは ヤングマシンと同じ内外出版社が刊行する、バイクツーリング専門誌。オシャレでキレイな旅よりも、現地に赴いてのガチンコ取材による深堀り記事制作を得意とする。偶数月1日発売。