東京モーターサイクルショーでヒョウドウプロダクツ(HYOD)が発表したのは、暑さと寒さの両方に対応できるバイクウエア用エアコンベスト、その名も『HYODクールファン&ヒートパネルベスト』だ。さらに、レースと公道走行に対応するエアバッグユニット『エアブースト』の開発も発表された。こちらは既存のウエアやレーシングスーツの中に着込むことができるのが特徴だ。
毎秒7リットルの空気が身体をクールダウン!
まずはHYODクールファン&ヒートパネルベスト(HYOD Cool-FAN & Heat-PANEL Vest)から紹介しよう。簡単に言えば『冷暖房機能を備えたエアコンベスト』で、暑い時には電動ファンで涼風を送り込み、寒い時にはヒーターで暖めるという両方の機能を搭載している。また、涼風機能のみを持ったモデルも同時ラインナップされる。開発はスペインのMAT GROUP社とのコラボによるもの。
気になるのは電源だが、通常は車体の12Vバッテリーからアクセサリーソケットを介して供給する形になっている。面白いのは、涼風機能だけは小型のモバイルバッテリーを使用することができる点。稼働時間は2時間ほどだが、バイクを降りて歩く際などにジャケットを脱がなくても涼しさが持続するのは、我々のような面倒くさがりのライダーにとってはとてもありがたい。
使い方としては、シーズンごとのアウタージャケットやベースレイヤーなどとの中に合わせてこのベストを着込むだけ。暑ければクールダウンし、寒ければ暖める。夏場であっても、標高の高いところでは冷えることもあるので、クール&ヒート両対応の便利さを知る機会は、意外とすぐに訪れそうだ。オン/オフやクール/ヒートの切り替えは手元のリモコンでワンタッチ操作が可能なので、その場その場に合わせて素早く快適さを手に入れることができる。ヒートパネルはオーバーヒート防止設計になっているので安心だ。また、クールファンユニットを外せば手洗いできるので、清潔に保つことができる。
実際の着心地を動画でレポート!
サーキット&ストリートに使えるエアバッグ
もうひとつ、東京モーターサイクルショーで発表されたのは『エアブースト(AIR-BOOST)』だ。こちらは開発発表となっており、HYODの契約ライダーによるテストが進行中。実際の発売まではもうしばらくかかりそうだが、既存のウエアやレーシングスーツの中に着込むことができるので、発売されたら人気を呼びそうだ。価格も、こうしたセンサー内蔵タイプとしてはリーズナブルになりそうということなので期待したい。
センサーまわりのユニットは、フランスのIN&MOTION社によるもの。すでにMotoGPでもブラッドリー・スミス選手などによる使用実績があり、ダイネーゼ社のD-AIR、アルパインスターズのTECH Airと並ぶ第3のエアバッグユニットして勢力を拡大中だ。
エアブーストは、HYOD開発のベスト、内蔵エアバッグ、背中のハードシェル、そして背中に配されたIn&box(IN&MOTION社)と名付けられたユニットで構成されている。このIn&boxがセンサーとコントロールユニットを兼ねており、転倒モーメントを感知すると0.06秒でエアバッグにエアを充填する。In&boxの優れている点は、Wi-Fiでスマートフォンに接続できること。スマホにアプリを入れておけば、走行後にWi-FiでIn&boxに接続され、自動的に走行データを回収、そのデータがIN&MOTION社に集積される。このスピーディで簡単な接続により、作動させるためのモーションデータが素早く収集でき、開発スピードも飛躍的に向上しているのだという。
●動画:谷田貝 洋暁 ●取材協力:HYOD
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