アップハンドルの形状を見直し、フロントに16インチホイールを採用。日本のカタナは独自の進化を始める。
海外仕様とは異なる、日本仕様ならではの進化
GSX750Sは’83年に2型に進化。海外仕様は兄貴分の1100SDに準じた変更を行ったものの、日本仕様のフロントタイヤはGPレーサーRG500Γ譲りの16インチで(標準タイヤは当時の日本車では珍しいミシュラン)、エンジンとキャブレターは初代と同じシルバーだった。ステップは1100SDと同じジュラルミン鍛造を採用。なおアイアンシルバーメタリックのボディカラーは、1100と1000には存在しない、GSX750S2独自の設定だ。
フロント16インチの採用で俊敏な運動性能を獲得した(GSX750S2復刻インプレ)
燃費とハイパワーの両立を狙うTSCCヘッドが採用された従来からのエンジンのカムプロフィール、圧縮比を変更する事により、各メーカーのニューナナハンと同じ72psを表示する様になり、流行の16インチフロントタイヤの採用で従来よりも更に軽いハンドリング、運動性能を実現している。
不評だったハンドル形状も変更されてはいるが、本来の姿を示す兄貴分GSX1100Sの戦闘的な前傾姿勢をとるライディングポジションではなく、旧モデル程ではないものの下半身に対し、上体が多少反り返えった様な感覚を与えるものだ。
ハンドリングはフロントの16インチ装着と共に各種アライメントも当然のごとく変更され、一段と俊敏な運動性能を可能としている。あきらかに旧モデルより切り返し等は軽く、コーナーへの進入も、接地面積が増したフロントタイヤのお陰で、高い安定性と共に、軽い動作で行える様になっている。サスペンションは一段とソフトな感覚を与え、ダンパーとのマッチングの良いものだ。しかしそのセッティングはダイレクトな本来の運動性を多少軟化してライダーに伝えてしまう。
リヤは2本サスなのだが、走破性や衝激吸収能力には問題なく、他モデルのプログレッシヴ特性を持つ1本サスと充分な競合力を実性能で発揮してくれる。パワーフィーリング は、一言で言って“トルクの魂”といった感じで低回転域から高回転域まで強力なトルクを発揮する。スタートダッシュで黒々とスキッドマークを付けて発進する事も簡単だ。
このクラスとしては、安価で、 個性的なスタイルを持つバイクといえる。(宮崎敬一郎)
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