発表されたばかりのハーレー・ソフテイルファミリーのニューモデルFXDR114に、渡米していち早く乗ってきた。走り出してすぐに感じるのは、ミルウォーキーエイト114とネーミングされる4バルブV ツインの力強さ。道がクリアになれば、猛烈なダッシュに酔いしれたが、コーナリング性能も上々だから驚いたぞ!! ※ヤングマシン2018年11月号(9月22日発売)より
ライポジも走りも不思議な2面性を持つ
240mmのワイドタイヤが一瞬空転してから、すぐにグリップを取り戻すと、凄まじいほどの加速を見せてくれた。アメリカならではの粗悪なアスファルトだから、1868㏄もの排気量を持つ空冷Vツインのビッグトルクを受け止めきれない。それが楽しくて、信号が青に変わるたびにアクセルを乱暴にワイドオープンし、無意味なダッシュを繰り返す。1735mmのホイールベースは現行ハーレーラインナップで最長。フロントフォークを34度にまで大胆に寝かせてセットし、直進安定性は申し分ない。広く真っ直ぐな道をFXDR114で突っ走れば、胸の空く思いだ。
ライディングポジションは独特としか言いようがない。上半身が緩やかに前傾気味になり、さぁ走るぞとエキサイティングな気持ちになるが、その反面、ステップは両足を前方に投げ出すようにして乗るフォワードコントロールだから、下半身はのんびりリラックスしてクルージングしようと感じる。そんな不思議な二面性を持つライポジは、これまでもVロッドやブレイクアウトなどにも見られたハーレー特有のもの。ただしハンドルはセパレート式で、ハーレーではたいへん珍しい。
最新ハーレーは直線だけじゃない
二面性といえば、走りにも意外な一面があった。基本的には猛牛のようなパワークルーザーといった印象だが、コーナーではあっけなく車体の向きを変えるから拍子抜けしてしまう。これほどまでにロー&ロングな車体にすると、従来のハーレーなら必ずと言っていいほどハンドリングにクセがあり、寝かし込みで強引にイン側に体を落とすなど何らかのアクションが求められた。しかし、FXDR114は視線をカーブの先に向け、少しだけイン寄りに荷重をかけるだけでパタンと車体が倒れ、素直にリーンしていく。フロント19インチとラジアルタイヤ、そして’18年式ソフテイルファミリーから新採用されたばかりのモノサスを備えるスポーツ志向のシャシーのおかげだろう。旋回性をアピールするように、2in1マフラーもバンク角を稼ぐよう持ち上げられ、さらにサイレンサーもオーバル形状としている。ハーレーは公式スペックでリーンアングルを公表するが、右32.6度/左32.8度はソフテイル系で最大で、スポーツスターのロードスターより1.7〜1.8度も深く寝かせられるのだ。
実際、ハイスピードのままコーナーに進入しても車体は落ち着いていて、フロントタイヤの接地感もはっきりしている。倒立フォークとモノショックの前後サスは、フルバンクで負荷がかかってもしっかり踏ん張り続け、旋回中にギャップを通過しても何事もなかったかのように衝撃を吸収してくれる。直線番長だが、旋回力も侮れない。手強い不良のお出ましだ!!
FXDR114主要諸元■全長2425 全幅925 全高1085 軸距1735 シート高720(各mm) 車重303kg(装備) ■空冷4ストV型2気筒OHV4バ
ルブ 1868cc 16.3kg-m/3500rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量16.7L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=
120/70ZR19 R=240/40R18
テスター:青木タカオ
撮影:稲盛聡/飛澤慎