マシン・オブ・ザ・イヤー2018
ロー&ロングの正統派パワークルーザー

ハーレーダビッドソン2019新型FXDR114試乗インプレション

発表されたばかりのハーレー・ソフテイルファミリーのニューモデルFXDR114に、渡米していち早く乗ってきた。走り出してすぐに感じるのは、ミルウォーキーエイト114とネーミングされる4バルブV ツインの力強さ。道がクリアになれば、猛烈なダッシュに酔いしれたが、コーナリング性能も上々だから驚いたぞ!! ※ヤングマシン2018年11月号(9月22日発売)より

ライポジも走りも不思議な2面性を持つ

240mmのワイドタイヤが一瞬空転してから、すぐにグリップを取り戻すと、凄まじいほどの加速を見せてくれた。アメリカならではの粗悪なアスファルトだから、1868㏄もの排気量を持つ空冷Vツインのビッグトルクを受け止めきれない。それが楽しくて、信号が青に変わるたびにアクセルを乱暴にワイドオープンし、無意味なダッシュを繰り返す。1735mmのホイールベースは現行ハーレーラインナップで最長。フロントフォークを34度にまで大胆に寝かせてセットし、直進安定性は申し分ない。広く真っ直ぐな道をFXDR114で突っ走れば、胸の空く思いだ。

ライディングポジションは独特としか言いようがない。上半身が緩やかに前傾気味になり、さぁ走るぞとエキサイティングな気持ちになるが、その反面、ステップは両足を前方に投げ出すようにして乗るフォワードコントロールだから、下半身はのんびりリラックスしてクルージングしようと感じる。そんな不思議な二面性を持つライポジは、これまでもVロッドやブレイクアウトなどにも見られたハーレー特有のもの。ただしハンドルはセパレート式で、ハーレーではたいへん珍しい。

【HARLEY-DAVIDSON FXDR114 2019年型 価格:286万2000円~290万4000円 色:黒、マット黒、マット灰、マット赤、マット白、マット茶】ドラッグレーサーにインスパイアを受けたロー&ロングのスタイル。心臓部は空冷OHV4バルブのミルウォーキーエイト114で、スーパーチャージャーのようにエアインテークが張り出しパワー感が漲っている。

最新ハーレーは直線だけじゃない

二面性といえば、走りにも意外な一面があった。基本的には猛牛のようなパワークルーザーといった印象だが、コーナーではあっけなく車体の向きを変えるから拍子抜けしてしまう。これほどまでにロー&ロングな車体にすると、従来のハーレーなら必ずと言っていいほどハンドリングにクセがあり、寝かし込みで強引にイン側に体を落とすなど何らかのアクションが求められた。しかし、FXDR114は視線をカーブの先に向け、少しだけイン寄りに荷重をかけるだけでパタンと車体が倒れ、素直にリーンしていく。フロント19インチとラジアルタイヤ、そして’18年式ソフテイルファミリーから新採用されたばかりのモノサスを備えるスポーツ志向のシャシーのおかげだろう。旋回性をアピールするように、2in1マフラーもバンク角を稼ぐよう持ち上げられ、さらにサイレンサーもオーバル形状としている。ハーレーは公式スペックでリーンアングルを公表するが、右32.6度/左32.8度はソフテイル系で最大で、スポーツスターのロードスターより1.7〜1.8度も深く寝かせられるのだ。

実際、ハイスピードのままコーナーに進入しても車体は落ち着いていて、フロントタイヤの接地感もはっきりしている。倒立フォークとモノショックの前後サスは、フルバンクで負荷がかかってもしっかり踏ん張り続け、旋回中にギャップを通過しても何事もなかったかのように衝撃を吸収してくれる。直線番長だが、旋回力も侮れない。手強い不良のお出ましだ!!

シート高は720mmと低く、両足はかかとまで接地するが、右足はマフラー、左足はエンジンに蹴られて左右に押し広げられる感覚がある。ステップはフォワコンながら、ヒザがゆったりと曲がる程度にライダー側に引き寄せられ、遠くてツラいということはない。ライダーの身長は170cm、体重は70kgだ。

車体色は写真の黒(艶あり)に加えてマット系を5色設定。車体各部に入るオレンジの差し色も効果的だ。細身のダブルスポークが星型に5組レイアウトされた鍛造アルミ製Fホイールは、手の込んだつくりの専用設計。マッシブなパワークルーザーという印象だ。

発光部を9つ持つLEDヘッドライトは、ブレイクアウト譲りのオーバルタイプ。専用のスピードスクリーンがセットされ、凄みのあるフロントマスクとした。

径43mmのSHOWA製倒立フォークを34度まで寝かせてセット。径300mmブレーキローターは4ピストンキャリパーとの組み合わせ。軽量で剛性を最適化したアルミ製スイングアームと、ライセンスプレートやテール/ブレーキ灯などをマウントするステーは、結晶塗装(リンクル塗装)で仕上げられた。リヤのディッシュホイールも新作。

ハーレーでは珍しいクリップオン式のセパレートハンドルを採用。キーレスイグニッションで、トップブリッジに「FXDR」と車名が入り、絶えず視界に入る。

5インチディスプレイのメーターは、シフトインジケーターやエンジン回転、オド/トリップ、航続可能距離、時計などを切り換え表示。燃料計は常時バーグラフで目視できる。

容量16.7Lの燃料タンクも専用の新作。タンクキャップはキーレスで、バー&シールドのロゴが刻まれた。シート側のエンド部には’70年代のFX系に見られたナンバー1ロゴが入る。

ダブルテクスチャーのシングルシートには、エンド部を短くカットしたスポーティなテールカウルが組み合わされた。後部にはカバーが備わり、オプションで2人乗り仕様に変更可能。

伝統の45度空冷Vツインはブラックアウトされ、精悍な印象に。排気量は114ci=1868㏄と巨大で、熱対策としてフレームダウンチューブ間にオイルクーラーを装着する。

エンジン右側で大きく張り出し、見るからに大容量のフレッシュエアを吸い込みそうなエアクリーナーケース。乾式エレメントが吸入口に剥き出しのままセットされワイルドだ。

図太く乾いた重低音を奏でるマフラーも新作の専用設計で、マスの集中を考慮した2in1タイプ。サイレンサーはトライオーバル形状で、排気孔は上下に2つ配置されている。

FXDR114主要諸元■全長2425 全幅925 全高1085 軸距1735 シート高720(各mm) 車重303kg(装備) ■空冷4ストV型2気筒OHV4バ
ルブ 1868cc 16.3kg-m/3500rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量16.7L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=
120/70ZR19 R=240/40R18

テスター:青木タカオ
撮影:稲盛聡/飛澤慎

いち

いち

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本誌編集長。雑誌は生き残りタイアップ全盛期だというのに、ひとり次期型ネタを嗅ぎまわって反感を買う現代のスクープ魔王。
■1972年生まれ
■愛車:BMW R100GS(1988)

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