オンロードからオフロードへと自由に行き来しながら、少しずつ心と体がリラックスしていく。アプリリアRX125との時間を過ごすうちに、彼方の地への思いが募る。「もっと遠くに行きたい」。バイクならではのポジティブな刺激──。 ※ヤングマシン2018年8月号(6月23日発売)より
バイクって素晴らしい、素直にそう思える1台
「そもそもバイクって、こういう乗り物だったんじゃないか──」
アプリリア・RX125をトコトコと走らせながら、しみじみとそう思う。自由で、気軽で、楽しい。バイクらしい3拍子が、見事に揃っているのだ。舗装路を走っているのと変わらないごく普通のテンションで、ふと気付けばスルリと未舗装路に足を踏み入れている。非日常とかスリルとか、そんな大げさなものを求めてのことじゃない。ロングストロークのフロントフォーク、そして21インチのフロントホイールを備えたRX125が、連続した走りのステージとしてスムーズにオンロードとオフロードをつなげてくれるのだ。
未舗装路を走るからって、ハデなアクションをするわけでもない。けれど、「どこにでも行けそうだぞ」と確実に思える。その自由さに心がユルみ、ほんのちょっとだけチャレンジしてみたくなる。だから「スルリと未舗装路」。オンからオフへ、そしてオフからオンへの移行が、滑らかで自然だ。いつしか、のびのびしている。「バイクっていいな……」と幸せを感じる。RX125は、そういうバイクだ。 ※テスター:高橋剛
ためらいなくスロットルを開けられる
ルックスは本格的だ。フルサイズオフローダーと呼ぶにふさわしいスタイルが、125ccというクラスを完全に忘れさせる。だが、またがると両足が接地するし、何より軽量な車体の恩恵で、不安感はない。もっといえば、このバイクには威圧感や緊張感といった、乗り手を身構えさせる要素がないのだ。この気軽さこそが、125cc単気筒エンジン最大のメリットといえる。最高出力は15馬力、モトクロスコースに持ち込んでギンギンに攻めようとは思わないが、交通の流れをリードするぐらいのパワー感はある。むしろ、「ためらいなくスロットルを開けられる手の内パワー」が、これまた心をユルめてくれるのだ。簡単に言えば怖くなく、ひたすらに楽しい。
RX125は、週末のちょっとした時間を彩り豊かにしてくれるバイクだ。凝り固まった心と体を解きほぐし、リラックスさせてくれる。やがて、このバイクで思いっ切り遠出をしてみたくなった。高速道路を走れないRX125での下道オンリー・ロングツーリングは、決してラクじゃないだろう。でも、やっぱりこう思うのだ。「そもそもバイクって、そういう乗り物なんじゃないか──」と。
本格的な車体に優しいエンジン
ルックスはいかにも本格的オフローダー。見た目だけではなく、フロント21インチ、リヤ18インチのホイールやロングストロークの倒立フロントフォーク、ホールド性が高いワイドステップなどにより、実際に車体としての悪路走破性は高い。その一方で、特筆すべきは125cc単気筒エンジンの扱いやすさだ。交通の流れをリードする程度のパワフルさを発揮しながらも、決してオーバーパワーではない。だから未舗装路に分け入っても緊張感がなく、無理のないオフロードライディングが気軽に楽しめる。オフロードビギナーはもちろんのこと、気負わず付き合えるセカンドバイクとしてもいい相棒になる。
主要諸元■全長2115 全幅820 全高1170 シート高905(各mm) 車重134㎏(装備) ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 124.2cc 15hp/10700rpm 1.15㎏-m/8000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量6.2L■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=90/90-21 R=120/80-18
テスター:高橋剛
撮影:真弓悟史