謎のハーレー!? レインボーカラーのカフェレーサーの正体は? 公道ではなくまずサーキットへ

謎のハーレー!? レインボーカラーのカフェレーサーの正体は? 公道ではなくまずサーキットへ

レインボーカラーを身にまとった正体不明のカフェレーサーは、ハーレーダビッドソンX500だ! ウィズハーレー編集部では、X350に続くカスタムプロジェクト第2弾として、その兄貴分・X500も購入したのだ。


●文:青木タカオ(ウィズハーレー編集部) ●写真:淵本智信

X500購入後、即サーキットへ!

X500を購入して、初めて乗る場所に選んだのは筑波サーキット。目一杯、駆け抜けた!

ストレートでスロットルを全開にし、はばかることなくパラレルツインが限界を迎えるまで確かめ、コーナーではステップを路面に擦り付けるほど車体を寝かせ込み、運動性能を試してみる。

ウィズハーレー編集部では、X350に続き、X500でもカスタム/スポーツライディング/ツーリングをユーザー目線で思いきっり楽しみ、レポートしていく。

ハーレーの中ではまだまだ少数派で、「認めない」というアンチの声も耳にする。そんな中、仲間たちも少しずつ増え、情報交換し、ともにその異端児たちを満喫していくのだ。

X350でカスタムを進めていく作業は、お手本とする前例がほとんどなく、担当編集スタッフ・宮下は苦労することも少なくなったが、それだけにまた楽しみも大きかった。

これまで誌面でお伝えしてきた通り、編集部は夢中になってカスタムプロジェクトに邁進してきた。

しかし、やがて周囲に仲間がいないことに気づかされる。

そこで、2024年の『ブルースカイヘブン』にて、ウィズハーレーブースでは『X350/X500オーナーズミーティング』を初開催。「仲間が欲しい」という期待と「誰も来ないかもしれない…」という不安が入り交じる想いだったが、そこに現れてくれたのが、プライベートビルダー「抹茶いぬレーシング」のメンバーたちだった。

驚くことに、X350とX500を見事なまでにフルカスタム。セパレートハンドル/バックステップ/シングルシートカウルでカフェレーサースタイルに大化けさせていたのだ。

その高い完成度から、ブルスカの来場者たちも足をとめて食い入るように見ていたのが記憶に新しい。

その後、『ブルースカイミーティング名古屋』などでもウィズハーレーブースにて車両を展示。さらにサーキットではマシンのセットアップについてなど、さまざまなアドバイスをし続けてくれる頼もしい存在となっていった。

プライベートビルダーの「抹茶いぬレーシング」のメンバーたち。X350(写真右)やX500をカフェレーサースタイルにカスタムした。

そんな中、とあるオーナーがX500を手放すとの情報をキャッチ。間髪入れずに「買います!」と話を進めた。

これでX350とX500、ハーレーダビッドソンシリーズ2台が揃う。今まで通り宮下がX350を担当し、筆者アオキがX500に乗っていく。

’70年代にもあった、Vツインじゃないハーレー

少しずつ自分色に染めたいと考えたアオキ、まずはタンクグラフィックスをレンボーカラーにチェンジすることに決めた。

ハーレーダビッドソンの歴史を振り返れば、’70年代にはイタリア・アエルマッキ社を完全子会社化し、2ストロークエンジンを搭載した65〜350ccのモデルを発売したこともある。

オフローダーやスクーターなど、現在のハーレーからは想像もつかないモデルたちが存在し、今やマニア垂涎のコレクターバイクとなっている。

そんな時代をオマージュしつつ、当時のハーレーがさまざまなモデルに採用したレインボーカラーで仕上げることにした。かつてアエルマッキハーレーが異端児扱いされたように、Xシリーズもまた現代における“変わり種”だからだ。

抹茶いぬレーシングのメンバーでX350オーナーである「ビューンデザイン」須田ジュン代表による制作で、完成するとどうだ。自画自賛したくなるほどよく似合うではないか!

このアグレシッブな前傾姿勢、まずはどこで走らせようかと考えたところ、安全にスポーツライディングが楽しめるサーキットが最適ではないかと考えた。

抹茶いぬはロードレースにも参戦するエキスパートライダーで、宮下もX350で走り込んでいる真っ最中。これを機に、将来的にはレース参戦も見据えた「ウィズハーレーレーシング」の発足となった。

しかしながら課題も見つかる

前後17インチで、倒立フォークやフロントにラジアルマウントキャリパーを備えるX500は、ノーマルであってもクルーザーを主体とするハーレーのラインナップの中では、スポーツ性能が比較的高い。

とはいえ、並列2気筒エンジンが持つスペックは最高出力47ps/8500rpmでしかなく、もちろん車体もサーキットレベルにはほど遠い。

実際に走行すると、マフラーのヒートカバー/汎用バックステップ/アンダーカウル/サイドスタンドの取付け部などが、旋回中に容赦なく路面を擦り、バンク角の足りなさに悩まされる。

次回の走行へ改善するべきポイントとして大きな課題となったのは、シフトリンケージのロッドを留めるピロボール部が路面に接地し、たびたび外れてシフトチェンジできなくなってしまうこと。

シェイクダウンとなったこの日は、20分の走行枠を3本走ったものの、2本は途中でピットインを余儀なくされてしまった。

X500筑波初走行動画はこちら

いいじゃないか、パラツインのハーレー!

それでも、初走行であることを考えれば100点満点。ピットには「面白そう」と大勢の仲間たちが集まってくれ、H-D正規ディーラーのスタッフからは「ミニサーキットにて、我々もX350/X500の走行会を企画してみたい」と、目を輝かせる姿も見られて嬉しいかぎり。

アメリカではバガーレースやスーパーフーリガンが盛況で、欧州でもレース活動を拡大していくハーレーダビッドソン。強く心惹かれるが、我々日本のユーザーが、ロードグライドなど大排気量モデルでそれを実践するのは、費用面などを考えてもハードルが高い。

しかし日本には、ハーレーでスポーツ走行を楽しむために格好のモデル、X350/X500があるではないか!

ハーレーダビッドソンの国内市場の勢いが増すためにも、僭越ながらこうした愉しみをユーザーならびに販売店へ提言したい。一緒に楽しむ仲間を大募集中だ!!

いったいナニ者!? ピットざわつく’70’Sスタイル

セパレートハンドルにシングルシートカウルのエクステリア。エンジンはパラレルツインと、まさに正体不明の状態で筑波サーキットのピットに持ち込まれたX500。

前後17インチの足まわり/前後サスペンション/マフラー/スイングアームなど、車体の基本構成となる部分はほとんどがノーマルだ。

燃料タンクからシングルシートカウルにかけて、AMFレインボーカラーを施した。ナンバープレート表示/反射板/ウインカー/ミラーなどを備え、車検にも適合。サーキット走行時はレギュレーションに適合させ、テーピングあるいはミラーなどを取り外したのはいうまでもない。

専用パーツがまだほとんどないX500。用いたパーツは、ほぼすべてが他機種用だ。セパハンは絞り角がキツいと感じ、走行ごとに取付け角を広げ、クリップ位置も上げていった。ライディングポジションに自由度が増し、身体の動きはスムーズに。

レインボーカラーは’70年代、ハーレーダビッドソンがさまざまなモデルに用いたタンクグラフィックスで、ファンらから今なお高い人気を誇っている。2018〜21年のXL1200NS アイアン1200で復活したのが、記憶に新しい。

カフェレーサースタイルを決定づけている水平基調のシングルシートカウルの出来栄えは、秀逸としか言いようがない。抹茶いぬによりフレーム後半はシートレールが自作され、ビンテージ感も漂うワンオフシートがセットされた。

エキゾーストシステムおよびリヤサスペンションもノーマルのまま。旋回時にバンク角が稼げるアップマフラーや、ストロークに余裕のあるショックアブソーバーに交換したいと考えている。発売されれば、すぐにでも試したい。

Insta360 X4をハンドルまわりにセットし、走行シーンを動画で収められるようにしておく。

救世主現る! BABYFACEだ!!

スポーツスター乗りたちからも絶大な人気を誇るベビーフェイスのパフォーマンスステップキットに「X500」用が発売されている!

MotoGPやAMA、全日本選手権といった究極のフィールドでサポートライダーらが使ってテストし、意見を汲み上げ日々製品を進化させているだけのことはあって、最高の機能とクォリティ、そして秀逸なるデザインで世界中のライダーの心を掴んでいる。

ベビーフェイス パフォーマンスステップキット X500用 ¥60,500

製作には最新のマシンニングセンタを使用し、最高の精度で理想を形にしている。もちろん即購入!! べストなステップ位置に設定できるマルチポジションシステムが嬉しい!!

  • ステップポジション(参考数値)
    • 1.75mm Back/30mm Up
    • 2.87.5mm Back/30mm Up
    • 3.90mm Back/42.5mm Up
    • 4.102.5mm Back/42.5mm Up

ベビーフェイスのフレームスライダー(2万4750円)も製品化されていることを知り、すぐに備えた。軽度の転倒などによるフレーム取り付け付近の損傷をできるだけ防いでくれる。

仲間たちとサーキットを楽しんでいく!!

というわけでウィズハーレー編集部では、X350に続きX500も購入。目的のひとつはハーレーでスポーツライディングを楽しむことで、新しい仲間を増やしたいという願いに尽きる。

XL1200Xに乗るハーレー女子で、スポーツスターでサーキットも走るポポちゃん(写真右)や、マシンをつくった抹茶いぬ(写真左)らとサーキットを楽しむ。宮下が写真に写っていないのは、サーキット走行の練習に余念がないため。

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