バー&シールドのロゴを取り囲むようにしてペイントされた“フレイム(炎)”のタンクグラフィックスが目を引く、1980年に登場したFXWGワイドグライドを、RTBモーターサイクル(大阪府)がブレイクアウトにて再現。2023年式以降のモデルでは容量18.9Lのストレッチタンクが採用されているので、チョッパースタイルにふさわしい2022年式までの小ぶりなタンクに換装し、手の込んだ塗装が施された。延長したリヤフェンダーにはオーソドックスなトゥームストーンライト。心臓部には131キュービックインチ/2146ccビッグボアキットをブチ込んだ!
●文:青木タカオ(ウィズハーレー編集部) ●写真:夏目健司●外部リンク:RTB MOTOCYCLE
極太タイヤで路面を蹴り飛ばす!
ワイドグライドがミルウォーキーエイトを積んで復活か!? そんな期待をせずにはいられない、ワイドグライドのチョッパースタイルが見事なまでに再現されている。
見どころ満載、センスの光る1台だが、まずはその走りがなんとも痛快であることから報告したい。スロットルを開閉する右腕の感覚が、車体を押し出す加速フィールと直結しているかのようだ!
極太タイヤの駆動輪が路面をしっかり捉え、力強く蹴り出すトルクフィールを醍醐味とするのがブレイクアウト。その持ち味が何倍にも増幅しているからたまらない。思わず頬が緩む!!
決め手はSUBURBAN SPEED(サバーバンスピード)の131キュービックインチ/2146ccビッグボアキットがM8に組み込まれ、140psオーバーの高出力をドライブチェーンによりダイレクトにリヤタイヤへ伝えている点だ。
ボア径は4.32インチ(109.72mm)にまで拡げられ、レース界でも実績の高いMAHLE(マーレ)のアルミ鍛造ピストンがシリンダーにインストールされている。
サバーバンでは、クランクケースの加工なしにボルトオンにて取り付けできるビッグボアキットとしてこれを製品化しているから、M8オーナーには見逃せない。
さらにT-MANパフォーマンスのハイカムがセットされ、吸気系もアルミビレット62mmスロットルボディ&HPiインテークマニホールドで一切隙がない。
一発ずつの爆発がより明確で、雑味のない鼓動を乗り手の身体へ届けるのは、ニューソフテイル系のリジッドマウントフレームならでは。バンス&ハインズのステンレススチール製2in1フルエキゾーストは、跳ね上がったメガホンマフラーから唸るようなサウンドを奏でている。
ワイルドワンのファットエイプバーで、拳を突き上げて乗るライディングポジションは、FXWGがそうだったようにチョッパースタイルを存分にイメージしたもの。低く沈んだ着座位置から両膝を大きく上げて身構えるのは、ミスミエンジニアリングに特注したアルミビレット製ステップによるところ。ライディングポジションの設定が、巧妙としか言いようがない。
ベース車両はブレイクアウト117(2023年式)で、ノーマルの燃料タンクは容量18.9Lのストレッチタンクだが、チョッパーライクなシルエットに合わせて2022年式の小ぶりなタンク(13.2L)を加工して取り付けた。リフトアップしつつ、フレームワークなしでタンク下に空間をつくり出すことを実現しているから舌を巻く。
ワイドグライド譲りのフレイムスがあしらわれ、スチール板を継ぎ足したリヤフェンダーにはオールドスクールなトゥームストーンテールライトがよく似合う。
パフォーマンスマシンの異径4ポットキャリパーで前後ブレーキを強化しつつ、ブラックハードクローム仕上げのフロントフォークは2インチ延長され、リヤショックはKODLIN(コドリン)のロワリングキットで40mmローダウンしている。ライセンスプレートのサイドマウントも北米仕様のようで違和感なし。
ショベルFXWGを現代のM8ソフテイルでオマージュしつつビルドアップしたカスタムは、新旧を問わず手かけるRTBモーターサイクルならではの傑作のひとつと言えよう。ハーレーダビッドソンの新車ラインナップに、こんなニューモデルが登場することを待っているぞ!!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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