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【ルパン三世も羨む! 】フィアット500のカスタムマシン「お宝モデル」4選:伝説のチンク”激レア車”に迫る

【ルパン三世も羨む! 】フィアット500のカスタムマシン「お宝モデル」4選:伝説のチンク”激レア車”に迫る

アニメやクルマに興味がない方でも、ルパン三世の愛車として大活躍したフィアット500(チンクエチェント)のことはだいたいイメージできるかと。豆つぶのように小柄なボディ、ルパンや次元のめちゃくちゃなドライブにも応え、最終的にはジェットエンジンが火を噴いて大空に飛び立つことまで。アニメならではの奇想天外さではありますが、実車の500もまた大人気だったことはご承知のとおり。なにせ、500をベースにしたカスタムマシンのバリエーションといったら、ルパンも驚く奥深さ! そんなお宝クラスのフィアット500をセレクトしてみました。


●文:ヤングマシン編集部(石橋 寛) ●写真:RM Sotheby’s

ヴィニャーレ・ガミーネ

時代を感じさせるエレガントなオープン2シーターですが、シャシー&エンジン、なんならハンドルやメーターまで500からの流用です。軽量なアルミボディを作ることで有名なカロッツェリア、ヴィニャーレが1967~1970年まで生産していました。

パワートレーンはフィアット500スポーツの499.5ccの2気筒空冷エンジンそのままで、21.5psを発生しながら、最高速は97km/hとノーマル(100km/h程度)よりもいくらか遅いのはご愛敬。おそらくは、架装したボディやちょっぴり豪華になったシートなどで重量が増したことが原因かと。

それでも、イタリアはもちろん、ヨーロッパ各国でそれなりに売れており、3年の間に700~800台を生産したとのこと。お察しの通り、ガミーネ・オーナーズクラブとやらの活動もなかなか盛んな模様で、素晴らしいコンディションのクルマが数多く生存しているとか。

ちなみに、本家ヴィニャーレはガミーネ生産終了後にカロッツェリアごとアレハンドロ・デ・トマゾ(アレッサンドロ・デ・トマソ)に売却。残念ながら、ガミーネはデ・トマゾの好みに合わなかったようで再生産されることはありませんでした。

ヴィニャーレ・ガミーネ(1967〜1971)

テールランプにかろうじて面影が残るだけで、フィアット500が完全トランスフォームしたガミーネ。もはや庶民のアシには見えないエレガントです。

ハンドルやメーター、シートは500からの流用。シンプルすぎるのにもほどがある、と言いたくなるほど飾り気のないインテリア。

モレッティ・ミニマキシ

ルーフとドアが省かれ、フロントスクリーンまで畳めるとなると現代の法規上、ゴルフ場くらいしか走れなさそう。ですが、これまたイタリアのモレッティが作ったミニマキシなら「それでも欲しい! 」となること間違いなし。

モレッティはベテランバイカーならご存じの通り、第一次大戦前はバイクメーカーで、第二次大戦中からは商用車を作っていたマイクロカーメーカー。

小規模生産に特化していたのか、フィアット500をはじめ、トポリーノ(500の先代モデル)や600をベースとした商用車、あるいはミニマキシのようなビーチカーが得意だったとされています。

ミニマキシのキャビンは屋根とドアがないだけで、4人乗りという美点はそのまま。1970年のデビューということもあり、スピードメーターも後期型500のものが流用されています。

ちょっと無骨なスタイリングからは4WD化の想像も膨らみますが、そこはジープ風のスタイルだけでRRパッケージはそのまま継承されました。

ちなみに、創業者のジョバンニ・モレッティはフィアットの総帥だったジャンニ・アニエリとも親しく、ベースのフィアットが手に入りやすかったとのこと。定かではありませんが、噂によればアニエリ向けにワンオフのミニマキシを作ったとされていますが今のところ発見されてはいないようです。

なお、生産台数はたったの90台で、ごくたまにオークションに出品されると300~500万円の値がつくのだとか。現代版チンクエチェントの限定仕様にほど近い高価格ですが、この可愛らしさは捨てがたいものです。

モレッティ・ミニマキシ(1970)

これまたシンプルこの上ないダッシュボード。メーターは後期の500から流用しつつ、ハンドルは別のメーカーで、ホーンボタンにモレッティのエンブレム付き。

フロントスクリーンを畳んで走れば爽快感はマシマシ。生産台数はわずかに90台というお宝マシンに違いありません。

ホリデー・マーレ

フィアット500のカスタムというと、ルーフとドアを省いて、籐のシートに交換したビーチカーが鉄板の人気かと。もともと、カロッツェリア・ギアが始めたスタイルで「フィアット500ジョリー」の名でかなりの数が生産されています。とはいえ、コンディションが整った中古車は数が少ないことから高値で売買されることがほとんど。

ここに目をつけたのが、ジョバンニ・ヴェルナガッロ率いるカロッツェリア・ホリデー(現ヴェルナガッロ・スティーレ)で、ベースとなる500を徹底的にレストアした上に、籐ではなくイタリアの最高級レザー、ポルトローナフラウをふんだんに使ったシートに変更するなど、富裕層向けにモディファイ。

そもそも、ジョリーのようなビーチカーはその名の通りビーチリゾートで別荘と砂浜の往復や、ヨットを停めているハーバーへのアシに使うなどセレブな方々が使う乗り物。ヴェルナガッロ・マーレはそうしたニーズをアップデートしたもので、前述のようなアシはもちろん、高級リゾートでの送迎といったシーンを狙ったというわけ。

当然、お値段も相当なもので写真の500ジャルディニエラ(ワゴン)をベースとしたもので500万円以上とのこと。それでも、ヨーロッパのセレブや高級リゾートからの発注は途切れることがない模様。

たしかに、こんな500で迎えに来られたらリゾート気分がアガること間違いないかもしれません。

ホリデー・マーレ(2005~)

富裕層向けに現代の技術や素材を取り入れたカスタムが加えられ、インテリアにはイタリアの高級レザー、ポルトローナフラウを多用。それにしても、カラーコーデのお洒落っぷりはさすがイタリアです。

ホテルの送迎車として使われているだけあって、荷室スペースのあるジャルディニエラ(ワゴン)をベースとしてカスタム。リヤシートの後ろ、エンジンルームの真上に小さな荷物スペースがあります。

アバルト 695SS アセット・コルサ・ラジアーレ

アセット・コルサの名は再販された500にも使われたため、聞き覚えがあるかもしれません。元祖は1964年カルロ・アバルトにより500ccから695ccまで排気量をアップするキットを組んだコンプリートマシン、695SS。

さらにレースチューンの排気系、足回りをセットしたモデルはアセット・コルサと呼ばれています。また、そのパフォーマンスに至っては、30馬力とか32馬力など諸説あるようです。

で、ラジアーレの名を冠するのはクロスフローの半球形燃焼室を持つテスタ・ラジアーレ・シリンダーヘッド、およびアバルトがセレクトしたウェーバーキャブを装備したモデルに限ります。ピストン、コンロッド、カムシャフトなども徹底的にチューニングされ、ノーマルの約3倍となる70馬力近くまでパワーアップ。

トリノのファクトリーで5台のみが製作され、そのうち4台は日本にあるとのこと。日本はかなりのアバルト大国と呼んでも差し支えないでしょう。

もはやアバルトのアイコンともいえる、逆ヒンジで半開きのリヤフードをはじめ、拡幅されたマグネシウムホイール、薄くて軽そうなプレクシグラスなど、ディテールに目を凝らせば「本物感」がグイグイと押し寄せてきます。

が、それでもフィアット500のシルエットが保たれていることには驚きというより、思わず頬が緩むもの。このあたり、ルパン三世だけでなく世界中のマニアが500を愛する所以かもしれませんね。

フィアット・アバルト695SS アセット・コルサ・ラジアーレ(1965)

オーバーフェンダーやマグネシウムホイールなどで武装していても、見紛うことなくシルエットは500のまま。生産台数はわずかに5台とされ、うち4台は日本に存在するとのこと。トランクフードはノーマルとは逆の上ヒンジにカスタム。

燃焼室形状をはじめ、あらゆるパーツが専用設計で組上げられた結果、70馬力近くを絞りだしたとされるエンジン。ウェーバーのツインチョークに(おそらく)アンサのフルエキという吸排気ゆえ、そのエキゾーストはゾクゾクするような音に違いありません。

フィアット500(1957~1975)
総生産台数400万台という大ヒットとなったフィアット500。ルパン三世が乗ったのは普及版の500Fでしたが、こちらはゴージャス版の500L。といっても、燃料計がついたとか、バンパーにオーバーライダーが追加された程度です(笑)。

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