
[Q] 最近、タイヤを交換したのですが、家庭の事情でバイクに乗る機会が少なく、なかなか皮剥きができません。シティランで“慣らしをするときのいい方法”はありますか?
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●写真:折原弘之 長谷川徹
[A] 急激な操作を控えて、“タイヤを揉む”ことを意識しましょう
タイヤを新品に交換すると、「最初は滑りやすいので、しばらくは慣らしをして注意しながら走行してください」といった注意を受けますよネ。
これは、タイヤを製造するとき、金型からスムーズに抜くための離型剤が、タイヤ表面に残っているからです。もちろん、出荷前に拭いてはいますが、“路面に擦られて自然になくなるまで、油断は禁物”という理由がまずあります。
さらに、組んですぐのタイヤは、内部のカーカスがまだ荷重を受けてたわんでいないため、トレッドラバーと一体になって衝撃を吸収減衰する性能が、十分に発揮されないからです。
そもそも“タイヤの皮剥き”とは?
一般的にこの慣らし運転は、“ひと皮剥く”という表現を使います。ですが、これは表面のゴムが摩耗した跡が見えるまで、と勘違いされがちです。実際は、そこまで待つ必要はありません。
では具体的に、どうやって慣らしをするのかを説明しておきましょう。
まず離型剤については、急なスロットル操作や強いブレーキは慎んで、数km〜数十km走れば事足ります。
バンクしたときに、トレッドの端まで路面で擦った跡がないと、「滑りそう」と思いがちです。ですが、荷重の中心が路面と接した後ならば、外側はタイヤが凹んで接地する領域なので、まず問題ありません。
それと最近は、金型もアルミ系鋳造がほとんどで、離型剤も少量で済むこと。また、トレッドの表面をあえて平滑にしていないため、昔のように、手で触るとシリコンでも塗ったかのように、ツルツルと滑る状態ではありません。
なので、そこまで神経質になる必要がなくなってきています。いきなり加速したり、急ブレーキや急にUターンなどをしなければ、大丈夫でしょう。
ひと昔前の新品タイヤの表面は、見るからにつややかにテカっていた。これは、金型からタイヤをスムーズに抜き出すための離型剤によるものだが、慣らしはこれを落とすために必要だった。そのため、現在は昔ほど神経質にならなくてよい。
また、カーカスを含め、タイヤ全体が揉まれる状態を得るのに一番手っ取り早いのが、高速道路などでスピードを出すことです……
※本記事は2021年7月12日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
デビュー時は2スト125で敵ナシ状態! 1982年のヤマハRZ125が生んだムーブメントは、高速道路へ入れないマイナーな125スポーツだったのを、2ストの水冷化で通勤通学だけでなくレースへ興じる層が加[…]
250cc2気筒の水冷Newエンジンだけではないテクノロジーによる軽量化! 1980年、世界中を震撼させたRZ250がリリースされた。 排気ガス規制で1970年代中盤を過ぎると軽くてシンプルな高性能と[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
20年ものロングランは、ライバルに気をとられない孤高を貫く開発があったからこそ! カワサキは1972年、DOHCで900ccと先行する初の量産4気筒のCB750フォアを上回るハイクオリティなZ1を投入[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
最新の関連記事(教えてネモケン)
[A] 猛暑日はライダーへの負担がハンパなく大きい。自分で絶対守る何箇条かを決める覚悟が必須 避けるべきシチュエーション 真夏にバイクに乗る経験がまだ少ない方は、照りつける直射日光と照り返すアスファル[…]
[A] より剛性を高め、スムーズな動きを追求るために開発された フロントのサスペンション機構、“フロントフォーク”には正立タイプと倒立タイプがある…と聞いて、何のこと? と思われた方は、まず写真を見て[…]
[A] 軽いことにデメリットはありません。ただ…好みのバイクに出会えるか? 正直に言って、ボクも大きくて重いバイクの扱いには腰が引けています。乗って走り出してしまえば気になりませんが、停車時の押したり[…]
[A] スポーツ性を追求するなら1本ショック。2本ショックはルックス重視 昔ながらのネイキッド系のバイクの多くが今も2本ショックユニット仕様ですが、これはオートバイらしい伝統的なルックスを重視している[…]
[A] リムの裏側にスポークが貫通しているホイールにはチューブが必要 ご存知のとおり、バイク用のタイヤにはおもにチューブ入りとチューブレスの2種類があります。 チューブ入りはホイールとタイヤの間にゴム[…]
最新の関連記事(タイヤ)
タイヤの内圧規定ってなんだ? 今シーズン、MotoGPクラスでたびたび話題になっているタイヤの「内圧規定」。MotoGPをTV観戦しているファンの方なら、この言葉を耳にしたことがあるでしょう。 ときに[…]
バイクのパンク修理を自分でやるときに知っておきたい基本知識 どんなに注意して走っていても、路面の釘やネジなどを拾ってパンクすることは少なくありません。とくにバイクは路肩を走行する場合も多く、路肩には車[…]
インプレッションタイヤ:スポーツマックスQ5S/Q5A/Q5 スポーツマックスQ5S ストリートからサーキットまでカバーする、優れた運動性能のハイグリップタイヤ。絶大なグリップ力を誇るレース用微粒子カ[…]
交換するだけで愛車がスポーツバイクにもツーリングバイクにもなる タイヤは、すごい。バイクのパーツで唯一路面に接しており、その接地面積は、たったクレジットカード1枚分と言われる。たったこれだけでバイクを[…]
トレッドのグルーブ(溝)は、ウエットでタイヤと接地面の間の水幕を防ぐだけでなく、ドライでも路面追従性で柔軟性を高める大きな役割が! タイヤのトレッドにあるグルーブと呼ばれる溝は、雨が降ったウエット路面[…]
人気記事ランキング(全体)
新設計の4気筒・502ccエンジンにEクラッチを搭載! ホンダは、中国で開催中の重慶モーターサイクルショーにて新型モデル「CB500スーパーフォア(CB500 SUPER FOUR)」を世界初公開した[…]
レースで勝つために進化を重ねたトップパフォーマー 「GSX-Rの40年」ではまず、”アルミフレーム+カウリング+4スト最強水冷4気筒”のGSX-R(400)を紹介。 1980年代初頭に始まった空前のバ[…]
その姿、まるでハンターカブ×ミニトレ?! タイ仕様は新型に切り替わるとともにカラーバリエーション変更&グラフィックが変更された。 一方ベトナム仕様は、従来モデルを標準仕様として併売。この標準モデルはカ[…]
ダークカラーに往年のオマージュカラーを乗せて 特別仕様車の製作を定期的に行うカブハウスは、1970年代のダックスをオマージュしたような限定仕様「DAX Royal Limited Edition」を発[…]
国産4社の400cc4ストツインの系譜 排気量上限が400cc以下の普通2輪免許、一昔前の言葉で言うなら中型限定免許は、日本独自の制度である。もっとも欧州では大昔から、排気量が400cc前後のロードス[…]
最新の投稿記事(全体)
MCショーで公開された「オフロードカスタマイズコンセプト」の回答か ヤマハは、今春に開催された大阪モーターサイクルショーにて「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のコンセプトモデルをサプライズ展示[…]
2025年 秋冬新作アパレルタブロイド を公開 株式会社カワサキモータースジャパンは、全国のカワサキプラザで取り扱うオリジナルアイテムが掲載された、2025年秋冬新作アパレルタブロイド「Kawasak[…]
高い安全性とMotoGPレベルの空力性能、快適性を実現 アルパインスターズは、2019年に発売したオフロード向けヘルメット「スーパーテックM10」に続き、オンロード向けのフルフェイスヘルメット「スーパ[…]
足つき性の不安を解消し、さらに走る楽しさを最大限に引き出す サスペンションを交換する理由はさまざまです。 純正サスに不満がある 純正サスがオイル漏れを起こし、交換が必要になった レースや走行会でタイム[…]
安心の国内ブランドが放つ、戦略的スマートモニター バイク乗りにとって、スマートフォンのナビや音楽はもはやツーリングに欠かせない相棒だ。しかし、グローブをした手での操作のしにくさや、マウントからの脱落、[…]