
●文:ライドハイ編集部(根本健)
[A] レース環境でしか性能発揮されないカーボンブレーキ。一般向けはまだ時間がかかりそうです
カーボンパーツといえば、カスタムの頂点クオリティとして憧れの素材。金属並みの強度と異様なほどの軽量さによって、性能が最優先のレーシングマシンでは、カウルやシートなど外装品からホイール、そしてフレーム素材まで応用されています。
ただ製造工程がほぼハンドメイドで、強度のために高温処理があるなど時間もかかるので、かなり高価です。
でもどんなに高コストでも、憧れの素材となるとカーボンパーツは、いつか装着してみたい衝動に駆られますよネ。
ところが、カーボンブレーキとなるとまだレース専用で、カスタムパーツとしては一部を除き一般的ではありません。なぜでしょう?
モトGPマシンが装着しているカーボンのディスクブレーキは、2つの必然からすべてのマシンが装着しています。
ひとつは、300km/h以上もの超高速域から、従来のスチール系ディスクブレーキより高温域が前提なため、強力で安定したストッピングパワーが得られること。
ヤマハのワークスマシンM1で、このカーボンブレーキを300km/h近くからかけたことがあるのですが、かけた瞬間ガツンと強烈に来ないと思った直後、効き始めたら両肩へ腕がのめり込むのかと思うほどモーレツなストッピングパワーでした。
もうひとつの必然は、カーボンですから軽量この上なく、ローター(ディスク)1枚でおよそ1300gほどしかありません。これはスチール系のおよそ1/4しかないという軽さ。
言うまでもなく、ローター/キャリパー合わせてブレーキは“バネ下”といって、サスペンションから下側の路面とダイレクトに接している部分。ここが軽ければ、路面の細かな凹凸にも追従できるため、タイヤのグリップ力に大きく貢献します。
…というほどパフォーマンスを左右するカーボンブレーキ。レースで必須なのはお分かりいただけたと思います。
しかし、スーパーバイク世界選手権ではこのカーボンブレーキの使用が認められていません。世界タイトルを争う頂点クラスでも、装備できるのはモトGPクラスだけなのです。
どうしてそんなことになっているのかという理由が、一般でカスタムパーツとして出回らない要因でもあります……
※本記事は2021年4月1日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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