![1976 ホンダRCB1000](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
●文:ライドハイ編集部(伊藤康司)
サーキットの闇を切り裂く2眼ヘッドライト
ヘッドライトは、“バイクの顔”としてイメージの重要な部分を占める。現在ではさまざまな形状のヘッドライトが存在するが、とくにフルカウルのスーパースポーツ系では、睨みを効かせる獣や猛禽類のような“2眼ヘッドライト”が主流だ。
近年は、ライトケースの中に複数の電球やLEDが内蔵される仕様も多く、厳密に言えば、4灯や6灯タイプと呼ぶべきかもしれない。だが、いずれにしても“2つの目”がデザインのベースにあるのは間違いない。
ちなみに、大型カウルのツアラーやネイキッド車も、ストリートファイター系だと2眼ヘッドライトがメジャーだ。
いうまでもなく、まだカウルもついていない昔のバイクは、ほぼ全車がフロントフォークにヘッドライトケースが装着された単眼(1灯)。いったい、いつ頃からなぜ2眼が流行り出したのだろう?
その答えのヒントは、“耐久レース”にある。
ヨーロッパでは、古くからロードレースの人気が高かったが、1970年代頃からナナハンなど大型バイクの台頭で、日本でも耐久レースの人気が高まった。
そして24時間耐久レース(ルマンやボルドールなど)では、夜中も走り続けるため、耐久レーサーにはヘッドライトが装備されるようになった。
じつはサーキットの夜間照明は、想像ほどには明るくない。そこをレーシングスピードで駆け抜けるのだから、ライトはできるだけ明るい方が良い。
とはいえライトを大型化するにも限度があるし、レーサーだから重くなるのは避けたい。
そのため、以前は遠くまで光が届く航空機の着陸灯(主脚に装備されているライト)をワークスマシンや有力チームが採用していた。
【1976 HONDA RCB1000】ホンダが、耐久レースに本格参戦するために開発したワークスマシン。デビュー戦であるヨーロッパ耐久選手権の開幕戦で優勝し、1976年シーズンを8戦7勝で、メーカー/ライダーチャンピオンを獲得。あまりの強さに「不沈艦」と呼ばれた。ご覧の通りヘッドライトを2個装備する。
こうして、明るさと小径で軽量なライトを求めて辿り着いたのが“2眼ヘッドライト”というわけだ……
※本記事は2022年4月14日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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