
レストアをしつつレーサー仕様に仕上げけていたホンダCS90レーシング。車両製作当初の思い込み=勘違いで、インナーチューブ長を詰めていたが、走らせてみると、フォーク長もさることながら、とにかく作動性が良くなく、気持ち良く走れないことがわかった。そこで、インナーチューブ長の復元と同時に性能アップ=アップデートによって、後のホンダCB125RSC風味も取り入れようと試みた。
●文/写真:たぐちかつみ(モトメカニック編集部) ●外部リンク:東洋硬化
前後バランス配分が崩れてしまったフロントまわりを構築
フロントフォークの動き云々もあるが、動き以前に長さが違って前後バランス配分が崩れてしまうと、まともに走れなくなってしまうのがバイクだと思う。とりわけレーシングマシンともなると、街乗りモデル以上にバランス良く各部が動かないと、楽しくサーキットを走ることなどできないだろう。
これまでは初期型CS90用純正フロントフォークをベースに、筆者なりの妄想で改造を施してきたが、それがダメだと2024年のグッドオールデイズでの走行で明確に判断できた。そこで、新たにフロントまわりを構築し直すことにした。
インナーチューブ全長を切り詰めすぎたのが失敗“その1”。ほどほどにしておけば良かったが、あくまで「こんな感じ!?」と、いい加減な判断で切り詰め&仕上げたため、短くなりすぎてしまったのだ。
そんなインナーチューブ長にバランス良く合うアウタースプリングを調達できなかったのが失敗“その2”。ゆえに作動性が最悪になってしまった。
そうなると完全新規でフロントまわりを構築することでしかリカバーできないだろうと判断。白羽の矢が立ったのが、ホンダCD50やベンリー50用のフロントフォークだった。
しかし、それらの部品はボトムケースのデザインがカッコ悪いので、強度不足にならない程度に切削加工を施し、見た目のデザイン的にアップデート実践。
そんなボトムケースに福岡県の東洋硬化さんで施工していただいたイオンプレーティング仕様のインナーチューブを組み合わせることで、もはや当時のワークスマシン的な見た目が美しいパーツを創造することができた。
はっきり言って「走ってみなけりゃわからない」部分はたぶんにあると思いますが、今現在は、押し歩き時にその違いが明確に伝わってくる。あとはセッティング次第でなんとかなるような気もしています。
2024年4月末のグッドオールデイズでの走行で、サーキットをまともに走れない足まわりが発覚。フロントフォークはどうにもならないと判断できたので、アップデートすることに決定!!
程度が良くないインナーチューブだったが、歪み直しと研磨&再ハードクロームメッキによって、素晴らしい仕上がりに! さらに、表面硬度が高く滑性が良いイオンプレーティングのパープルブラック施工もお願いした。施工管理表も納品される。
初期モデルのCS90用フロントフォークは、内部構造が旧式でしかもインナーチューブ長が後のモデルと比べて若干長かった。そこで適当にカットして使っていたが今イチ。そこでCD50ベースでワークス仕様のようなフロントフォークを妄想!!
組み立てながらインナーチューブの滑性の良さにはワクワクする。新品オイルシールを組み込む際には、ラバーグリスの塗布が必要不可欠。スムーズに組み込める。
フォークシールを打ち込むと上面エッジに抜け止めコッター溝が見える。全周平均的に打ち込めたことを確認したら、インナーチューブにキズを付けないようにコッターをセット。
インナーチューブの中にダンパーシートを挿入して、ボトムケースと合体固定。その後、ラバーグリスを塗布したフォークシールを挿入して、シールドライバーで打ち込む。
わがCS90R SCスタイル号は、アウタースプリング仕様。60年代のホンダクラシックレーサーを妄想するにはアウタースプリング仕様が不可欠だ。スプリングは数種類用意して調整中。
まだまだ完成域まで達していないホンダCB125RSレプリカのWバネルレーシングドラムブレーキ。最新鋭の3D技術によって完全コピーさせていただいた。
iB井上ボーリングで追加工していただいたアクスルホルダーのボトムケースは、カーベックによる3次元バレル研磨によってピカピカの仕上がりに。パープルブラック施工とポリッシュ仕上げのボトムケースとアウタースプリングがカッコイイ!!
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