
バイク屋の倉庫に眠っていたホンダGB250クラブマン初期型。481kmというメーター表示距離に反して、フレームは酷く錆びていた。はたして、ガソリンタンクの中はどうなのでしょう? 外観はたいへんキレイに見えるのですけれど??
●文/写真:宮下豊史(モトメカニック編集部) ●外部リンク:榮技研
錆だらけでボロボロのフレームに比べると極上品。タンクだけが型式違いで新しいけど、中はやっぱり…
タンクのサビ取りの前に、キャブレターのオーバーホール/点火プラグ/バッテリー/オイル交換をしました。長期不動だったはずなのに、これだけでエンジンは息を吹き返しましたのでホッとしました(その時の模様はコチラ)。
アイドリングは安定し、エンジンも問題なく吹け上がりましたので、このままレストア作業を進行します。この時にガソリンタンクや外装を取り外しましたが、フレームの錆がとにかく酷く、「これはガソリンタンクの中も錆だらけに違いない」と覚悟を決めていました。
しかし、タンクの中は思いのほかキレイでした。それもそのはず、フレームやエンジンなどは初期モデルのE型ですが、なぜかタンクのみ1989年から1991年に生産されていたL型。
前のオーナーが、なぜ新しいモデルのタンクに交換したのかは今となってはわかりません。でも、そのおかげで車体本体に比べタンクが新しくキレイ。内部をファイバースコープでチェックしましたが、点々とした赤錆が確認できる程度でした。これは簡単に錆落としができそうです。
なぜ型式違いのタンクが装着されているのかは、前オーナーに聞いてみないかぎり謎。初期型タンクの方がよりクラシカルなので、ヤフオクで捜索してますがまだ見つかりません。
用意したのは、タンク内の錆落としケミカル剤で名高い花咲Gのマルチクリーナーとタンククリーナー。タンク内部をしっかりと洗浄した後に、タンククリーナーで錆を落とし、防錆被膜処理をしっかりします。
このシリーズは環境にやさしい中性なので、取り扱いに気を遣わないで済みます。気軽に使用できるのが嬉しいケミカルです。錆の状況に応じて濃度を調整し、効果は落ちますが繰り返し使えるのもありがたい。施工後は、100円均一で購入した容器に希釈した溶剤を小分けし保管します。部品の洗浄やボルト類の錆落としに再利用しようと思います。
さて、施工作業自体はまったく難しくなく、温度と溶剤を投入した時間を気にするぐらいです。40度前後の温度だと錆に反応しやすいと説明書に記載されていたので、お湯で希釈し、タンク内に投入します。夏の作業だと真冬のような温度低下が少ないので、温度管理に気を回すことなく作業を進めることができるのでおすすめです。
これで不動車起こしのメイン作業は終了です。次に足まわりを最低限整備したら、一旦公道を走らせダメ出しをしていこうかと考えています。ブレーキは固着していないので洗浄とブレーキパッド/フルード交換のみ。
タイヤ/チューブの交換とチェーンの洗浄と給油をしたら完了かな。公道を問題なく走れることが確認できたら、エンジンをフレームから下ろし、バラバラにしようと考えています。メインフレームの錆がひどいので、パウダーコーティングをしてキレイにしたい。作業はまだまだてんこ盛り。先は長そうです。
【花咲かG マルチクリーナー 1L】●価格:2860円 【花咲かG タンククリーナー 1L】●価格:5500円
給油口から中を覗くと、若干の点錆が確認できた。さらに奥には古いガソリンが残っていたが、腐りきった強烈な匂いは感じなかった。状態は良さそうだ。
ガソリンタンクの裏側には点錆があるが、内側から侵食したのではなく、表面から錆びているだけのようだ。腐食して穴が空いているわけではないので、ひと安心。
ガソリンを抜き、燃料コックも外す。ほのかにピンクがかったガソリンらしい色を保ち、腐敗臭もしない。比較的最近、始動確認するために給油したのだろうか?
ガソリンを濾すと錆片が現れた。燃料コックのフィルターにも錆とゴミが堆積していたので、タンクとともに洗浄。大きな破片はないので、ここでもほっと胸を撫で下ろした。
ホースを直接給油口に入れ、水道の水圧を利用し中の錆やゴミを洗い出す。タンクが傷つかないように、段ボールやバスマットで養生した上で回転させつつ作業した。
ガソリンコックを外した穴をゴム栓で塞ぐ。この後の作業で溶剤を投入し、タンクを両手で持ち激しく振ったり、つけ置きをするので、漏れることのないように蓋をする。
花咲Gマルチクリーナーを水で希釈する。原液が1Lなので、約15倍弱に希釈し合計15L分を作った。GBのガソリンタンクは15Lなのでちょうどだ。
漏斗を使用し、こぼれないようにタンクに注ぐ。まずは5Lほど注ぎ込む。濃度が高いほど頑固な汚れに効果があるという。常温で使用でき中性なので使い勝手が良い。
両手でしっかり持ち、タンクの中にしっかり行き渡るように激しく振る。その後用意した残りの液を入れ、タンク内をマルチクリーナーで満たし、2時間ほど放置した。
マルチクリーナーを排出する。排出した液は再利用できるので、汚れを濾して100均ショップで購入した容器に保管する。なお、錆/汚れは確認できなかった。
次はタンククリーナー。錆を落とし、錆止め効果がある。40度のお湯で原液1Lを約16倍に希釈し、GBのガソリンタンクの容量分プラス1Lを用意。
1Lのみ手元に残し、タンク内を液で満たして12時間放置。その後、液を排出し、再度水道水で洗浄。最後の1Lを注入し内部へ行き渡らせて、排出後に乾燥させる。
タンククリーナーを排出後、タンク内部を徹底的に乾かす。布団乾燥機のノズルを給油口に固定し、タイマー乾燥。これを数回繰り返し、ファイバースコープで内部を確認すると、錆びていた箇所が赤色から黒やくすんだ銀色に変化していた。
ガソリンタンクの裏側にも点錆が。錆落としをせずに使用できるBAN-ZIのサビキラーPROを脱脂した後に錆の上から直接塗る。錆転換塗料なので錆の進行をストップでき、水溶性なので使い勝手がよい。サビキラーPRO(タッチペンタイプ)50g 2050円。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
エンジンと同時進行で開発されるオイルの重要性を再確認 シリンダーとピストンやクランクシャフトのジャーナル部分、クリアランスが狭い部分など、エンジンの隅々にまで行き渡って潤滑や冷却などの役割を果たしてい[…]
メッキのプロが開発したクロームメッキ専用品!! 鉄素材のさまざまな表面処理の中で光沢や質感、高級感のいずれにおいても秀でているのがクロームメッキだ。しかしながら近年では、メッキ工程で使用される六価クロ[…]
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
車種別専用パーツのラインナップも豊富なキジマ バイクメーカーが開発するニューモデルは、ビギナーからベテランに至る幅広いニーズに応えるべく仕様を決定しているが、それでもすべてのライダーの希望を叶えられる[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
ヤフオクで入手したバイクのフレーム。ネジ穴に折れたボルトが詰まってた!? ヤフーオークションでとあるバイクのフレームを買ったところから話が始まります。 フレーム曲がりや大きな傷もなく、塗装面も小傷があ[…]
エンジンと同時進行で開発されるオイルの重要性を再確認 シリンダーとピストンやクランクシャフトのジャーナル部分、クリアランスが狭い部分など、エンジンの隅々にまで行き渡って潤滑や冷却などの役割を果たしてい[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」。 今回は2気筒とは思えないほどスムースなエンジンが魅力のフルカウルス[…]
エンジンオイルにとって過酷な時期 オイル交換のタイミングって、地味に悩みますよね。「走行距離3000km~5000kmで交換が目安」とか「半年ごとに交換を!」なんて、よく聞くけれど、あくまでそれは“目[…]
メッキのプロが開発したクロームメッキ専用品!! 鉄素材のさまざまな表面処理の中で光沢や質感、高級感のいずれにおいても秀でているのがクロームメッキだ。しかしながら近年では、メッキ工程で使用される六価クロ[…]
人気記事ランキング(全体)
“次”が存在するのは確実! それが何かが問題だ 2018年に発売されたモンキー125以来、スーパーカブC125、CT125ハンターカブ、そしてダックス125と、立て続けにスマッシュヒットを飛ばしている[…]
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
疲れない、頭痛知らずのフィッティング技術! SHOEIの「Personal Fitting System(以下P.F.S.)」は、十人十色で異なるライダーの頭部形状に合わせたフィッティングを行う同社の[…]
セニアカー技術をベースとしながら、誰もが楽しめる乗り物へ スズキがジャパンモビリティショー2023(JMS2023)で出品したのが、16歳の高校生からセニアカーに抵抗のある高齢者まで、誰でも簡単に楽に[…]
40年の歴史を誇るナナハン・スーパースポーツと、兄弟車のR600 1985年当時、ナナハンと呼ばれていた750ccクラスに油冷エンジン搭載のGSX-R750でレーサーレプリカの概念を持ち込んだのがスズ[…]
最新の投稿記事(全体)
実質年利2.69%のスペシャルクレジットキャンペーン カワサキモータースジャパンでは、2025年7月1日(火)よりカワサキモーターサイクル新車(国内全モデル、年式排気量不問)/オフロードコンペティショ[…]
ページのボタンを押すとマフラー音が聞こえる! 現在、無料掲載中の『ヤングマシン電子版8月号』では、『最新マフラー特集』を展開している。 日本を代表するマフラーメーカーの最新マフラーを紹介しているが、そ[…]
ヤマハNMAX155試乗レビュー この記事では、ヤマハの原付二種スクーターから、NMAX ABS(125)の2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年7月公開時の内容に基づく 【NMAX[…]
「バイクを文化に」を共有する 日本自動車工業会(自工会)と日本二輪車普及安全協会(日本二普協)は、共催で「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY 2025」イベントを開催する。このイベ[…]
6/30:スズキの謎ティーザー、正体判明! スズキが公開した謎のティーザー、その正体が遂に判明したことを報じたのは6月30日のこと。ビリヤードの8番玉を写した予告画像は、やはりヤングマシンが以前からス[…]
- 1
- 2