
サンデーメカニックだけでなくプロメカニック御用達のワールドインポートツールズ。店頭にはオリジナル工具から欧米の著名メーカーの工具がずらりと並ぶ。その店頭の中で、とくに気になった製品を触ってみたので紹介する。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:ワールドインポートツールズ横浜
プッシュスルースプリットビームトルクレンチ:作業後のゼロ点戻しが不要。反時計回りの測定も可能
角断面のトルクレンチ本体内部に内蔵された板バネは、調整ノブでトルクを設定した段階では負荷がかからず、ボルトやナットを締めてトルクが加わった時点で初めて負荷が加わり測定を行う。
これはワールドインポートツールズ(以下WIT)製もスタビレー製も同様で、これにより測定後にノブをゼロ点に戻す必要はない。3タイプは同一イメージのデザインで、差込角3/8インチの全長は475mm、1/2インチは2本とも590mm。
【WIT プッシュスルースプリットビームトルクレンチ】(上)1/2dr 70〜350Nm 68428-2F (中)1/2dr 40〜200Nm 68428-1F (下)3/8dr 25〜130Nm 68328-2F ●販売価格:2万4750円/2万1780円/1万9580円
◆カットモデル(右写真)の四角穴の内部に内蔵された板バネがこのレンチの要。数字が記載された白い窓はNmとft-lbの換算表で、設定トルクはその上部の丸窓の内側に表示される。
◆トルク設定用の調整ノブは側面にあり、ロック機能付きヒンジカバーを開けて操作する。設定後にカバーを閉じればトルク値はズレないので安心。設定値に達すると明確なクリック音とショックによって確実に認識できる。
◆スタビレー製はヘッド交換できるが、このレンチのヘッドは固定式。ソケット差込部分はラチェットヘッド貫通タイプで、突き出し方向によって時計回り/反時計回りのどちらでもトルク測定ができるのが特長だ。
ミニトルクレンチ:レッドアルマイトがオシャレな差込角1/4インチのコンパクトタイプ
ソケット差込角1/4インチ、0.1Nm刻みで最大測定値16Nmという小型タイプのトルクレンチは、アルミフレームやカーボンフレームの自転車メンテナンスに最適。
バイクで使用する際は、M6ボルトを使ったカムシャフトホルダーなど、エンジンまわりで締め付けトルク10Nm前後の作業に限定されるが、1本あると安心だ。
【WIT 1/4drアルミニウムミニトルクレンチ3〜16Nm 66276-2F】●販売価格:1万2100円
◆上の板バネ式と異なりコイルスプリング式で、後端のノブを引きながら回してトルク値を設定する。ラチェットヘッドは72ギアでプッシュリリース付き。
スライドハンマー:固着したダウエルピンの引き抜きや鈑金作業で活躍するハンマー仕様
固着したシャフトやさび付いたダウエルピンなど、ハンマー+当て金では叩き抜けない場面で「欲しい!!」と痛感するアイデアを具現化した新製品。
ロッキングプライヤーに針金を巻き付けて引っ張り、針金が切断して痛い目に遭った経験があるサンメカなら、スライディングハンマーでガツン!! と引けるありがたさが理解できるはずだ。
【WIT ロッキングプライヤー式スライドハンマー 40002】●販売価格:7590円
◆開口幅を調整するスクリューにU字金具を追加するアイデアは、工作好きのサンメカなら思いつくかもしれないが、製品化されたものがあるのなら購入した方が手っ取り早いし確実。ロッキングプライヤーの全長は約250mmでスライドハンマーの全長は370mm。
◆プライヤーを手で掴んでジワジワ力を加えるより、スライドハンマーで瞬間的に入力する方が効果的なのは、ドライバーとインパクトドライバーの違いと同様。ジョイント部分は自在に動き、斜め方向にも引くことができる。
ビットホルダー:回転方向切り替えダイヤル自体が回る画期的なラチェットドライバーハンドル
製品名称はビットホルダーだが、グリップ先端に内蔵された36歯ギヤによってビスやボルトを早回しできるラチェットドライバーとして使える。
グリップ先端のリングは回転方向を切り替えるだけでなく、リングを自体を回すことでビットが回るのが大きな特長。手首を使わず、指先だけで回せるので、狭い場所での作業性向上に大いに役立つ。
【WERA ラチェット機能付きビットホルダー 838RA S】●販売価格:3520円
◆全長は102mmとコンパクトで、手のひらに収めてリングだけを回すこともできる。ホルダーはビットの落下を防止するマグネットタイプ。
ボールポイントビット:ボールポイントなのに本締めできる専用ホルダー入り長短ビットセット
通常のPB製ボールポイントの倒れ角は30度だが、22度にすることで首部分の強度をアップして、本体に明記された最大耐久トルク以下での本締めを可能とした新型ボールポイントビット。
根元には電動工具にチャックできるくびれもある。このセットは2.5/3.0/4.0/5.0/6.0mmの長さ違い(50mmと95mm)を専用ホルダーに収めたもの。
◆【PB ボールポイントビット10本組&ホルダーセット E6.212/E6.212L/971C6】●販売価格:1万4740円
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
車種別専用パーツのラインナップも豊富なキジマ バイクメーカーが開発するニューモデルは、ビギナーからベテランに至る幅広いニーズに応えるべく仕様を決定しているが、それでもすべてのライダーの希望を叶えられる[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむホンダのモンキー&ゴリラ シフトアップ製88ccキットを組み込み、ノーマルキャブのままでセッティング変更せずに普通に走ることができた、6ボルト仕様の初期型黄色ゴリ[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
大和ハウスグループが手がけたD-Wash 愛車を長持ちさせるためにも、大切にしたい「洗車」という作業。 汚れの放置はサビや各部品の劣化が進むことにもつながるし、洗車をしながら、緩んでいるボルトやパーツ[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
スパナやレンチの長さが違うのはナゼ? 工具箱に並ぶスパナやレンチ。 10mm、12mm、14mm…サイズごとに全長が違うのは、当たり前の光景ですよね。これもそうだし。 コッチもそう。狭所作業用の短いス[…]
最新の関連記事(工具)
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
スパナやレンチの長さが違うのはナゼ? 工具箱に並ぶスパナやレンチ。 10mm、12mm、14mm…サイズごとに全長が違うのは、当たり前の光景ですよね。これもそうだし。 コッチもそう。狭所作業用の短いス[…]
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
人気記事ランキング(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
最新の投稿記事(全体)
18時間耐久の優勝で「ヨシムラ」は全国区に 加えて、ホンダから市販車ベースのレース車両の開発依頼もあったものですから、ヨシムラは1965年に東京の福生に移転しました。私は高校1年生でしたので、卒業まで[…]
簡単取り付けで、強い日差しから愛車を強力ガード 「MotoBrella」の最大の特徴は、保護カバーとしての機能性と、気軽に持ち歩くことができる携帯性のバランスが優れていること。 シートの生地は、UVカ[…]
スタイルだけでなく中身も”スペチアーレ” とかく値段が取りざたされがちなGT-R50ですが、パフォーマンスも値段相応の素晴らしさです。GT-Rマニアにはお馴染みのNISMOパッケージ、すなわち600p[…]
ファイヤープレイスやカフェカウンターなど、ゆとりある店内でそれぞれの時間を楽しむ 広々とした店内は320m2というゆとりの空間だ。ダークブラウンとブラックを中心とした落ち着いたトーンで、従来のショール[…]
シリーズ第7回は「パイロンスラローム」。リズミカルな連係操作を身に付けよう! 白バイと言えばヤングマシン! 長きにわたって白バイを取材し、現役白バイ隊員による安全ライテク連載や白バイ全国大会密着取材な[…]