
筆者が不動車バイクや大型部品の引き上げ、車検上の往復などに重宝しているトランポ「スバル サンバー」。いじり好きが高じて、部品取り車のつもりで同じサンバーを追加購入。自宅に持ち帰った後、時間のある限りいろいろ眺めて詳細を確認してみたところ、部品取り車にするのはもったいない!! となりました。ということで、まずは登録して、実走して、様子見することになりました。
●文/写真:たぐちかつみ(モトメカニック編集部) ●外部リンク:BAN-ZI
40万キロ手前だから油汚れも凄かった
このサンバーを自宅に持ち帰ってから最初に行ったのが、車体各部の洗浄。廃車から2年半、草むら放置によってエンジンルームやフロア下はクモの巣だらけ。
赤帽仕様から白色キャビンへと塗り重ねられていたが、その白は、草むらの湿気によるコケで、全身はほぼ緑色へと変色しつつあった。カーシャンプーとスポンジでボディをゴシゴシ洗ったら、コケはキレイになくなり、白ボディへと蘇った。
次は、エンジンルーム内とフロア下の洗浄になるが、まずは床下へ潜って前と後ろのアンダーカバーを取り外した。床下中央付近は酷い汚れではなく、程度良好。ついでにサンバーシリーズに多い、フロントY字フレームのコンディションを確認したが、腐った気配はまったくなかった。
塩害経験がある北国車両や海岸線近くで活躍していた車両の多くは、このY字フレームにサビが出て、最悪で腐り落ちているケースもある。そんな様子は一切なく、フロアまわりの程度は良い感じだった。前の登録オーナーさんは埼玉県在住で、初代赤帽オーナーさんは相模原方面だったようなので(整備記録の伝票住所がそうなっていた)、そんなコンディションを維持できたのだろう。
しかし、エンジンルームの油汚れは酷かった。オイル漏れしているわけではなく、全体的にオイルが飛散噴霧されたような印象だった。後々わかったことだが、その汚れの原因は、どうやらエアコンガスの様子。コンプレッサー本体の高圧フィッティング用Oリングが傷んでいたのだ。
このような油汚れは、サビ取りやサビ防止ケミカルで名高いBAN-ZIが新たに開発中の「MUD MAX(マッドマックス)」アルカリ洗浄液を利用することで、きれいさっぱりになる。最初に汚れを落としておかないと、その後のメンテナンスが面倒になりますからね〜。
サビ取りケミカルのBAN-ZI(バンジ)から発売予定のマッドマックス濃縮タイプは、アルミやメッキ部品にも使える強アルカリの洗浄剤。汚れの度合いや部品の素材にに応じて希釈。今回は汚れがひどかったので、10倍のお湯で希釈して利用した。
洗浄作業開始!
ビニール作業着で行うのはもちろん、ゴム長靴とフルフェイスマスクを装備して、希釈した洗剤を利用してみた。いわゆるフル装備で作業すれば、遠慮なしで闘うことができる。
実走行39万5000キロ、廃車されてから2年半放置されていたエンジンルームは、油汚れと同時にクモの巣も数多くあった。バッテリーターミナルを外して、クリーナーガンで吹き付け開始。
サイドエンジンルームは、サンバーの通称“袴”と呼ばれるエンジンカバーを開放することで露出できる。高圧洗浄によって、せっかくの赤結晶ヘッドカバーのペイントが消失する可能性もあるので注意したい。
リヤのクロスメンバー兼エンジンマウントにフロアジャッキをかけて、リヤまわりを持ち上げ、左右リヤタイヤを外して段取り進行。サンバーはリヤエンジンリヤドライブで四輪独立懸架!!
油汚れが酷かったので、マッドマックスを10倍のお湯で希釈して、クリーナーガンで吹き付けることにした。こんなときにこそクリーナーガンと高圧エアのありがたさを理解できる。
バイク旧車のフルレストア時に利用するクリーナーガン。エンジンを降ろす前やドライブチェーンまわりの汚れを洗浄する際には、このガンに限る。エアガンはロングノズル!!
洗浄ケミカルをバケツの中で希釈し、吸入チューブをバケツに沈めてトリガーを引けば、ご覧の通り。油汚れ( エアコンガスの油汚れと後に発覚した)はみるみる溶けて流れる。
サンバーと言えば、オイル漏れが多いモデルとしても知られている。クランクシャフトのフロントシール/エンドシール/タペットカバーシール/カムシール/その他いろいろ。
アッパーエンジンルームもサイドエンジンルームも、クリーナーガンでケミカルを吹き付けてからしばらく待ち、ブラシで擦ってから高圧洗浄機をぶっ放した。いい感じに潤い感が出てきました。
ケミカル洗浄&ブラッシング後に、高圧洗浄機できれいさっぱり洗い流した。洗浄前とは比較にならない美しさへと蘇った。エアコンはリビルド品に交換されていた。
ヘッドカバー(タペットカバー) の赤結晶塗装は、洗浄圧力でふっ飛ばされてしまうかと思ったが、まだまだペイントは残っていた。将来的には青帽同様に再ペイントですね。
おまけ:あおりなしの方がカッコいい感じもするが、車検登録時にはあおりがないとダメらしいので取り付けた。見つけることができれば、赤帽専用の内フックマウント付あおりが欲しいね。
徹底的なケミカル洗浄で油汚れを分解し、その後の高圧洗浄できれいさっぱり洗い流したので、通電はしばらくせずに電装系カプラは徹底的にエアブロー。これが重要なのだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供 古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。 元々のコンディション次第ではレ[…]
ポータブル電源で作動する充電器が登場! いつでも必要な時に走行できるよう、常に意識しておかなくてはならないのがバッテリーのコンディション。「そんなの面倒」と思うかもしれないが、バッテリーは時間の経過と[…]
システムキャビネットSC198:アストロプロダクツ収納アイテム史上最大サイズ。ガレージの演出にも効果的なシステムタイプ 工具や道具類の収納に便利なツールキャビネットと勝手が良いワークベンチ、さらにロッ[…]
バイクいじりの教科書として愛され続けるホンダ原付50ccモデル スーパーカブ/モンキー/ゴリラ/DAX/JAZZなど、数あるホンダ50ccモデルで多くのライダーに親しまれてきたのが「横型」と呼ばれるエ[…]
Mio MiVue M802WD:記録に特化したベーシックモデル 「いつも安全運転に徹しているし、自分が事故やアクシデントに遭遇することはない」と信じていられるほど、現実世界は甘いものではない。万が一[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
論より証拠! 試して実感その効果!! ワックスをはじめとした質の良いボディケア用品を多数手がけてきたことでも知られている老舗カー用品ブランド・シュアラスター。 そのシュアラスターが展開するガソリン添加[…]
キラリと輝くクロームメッキは絶版車のアイコン。磨き、サビ取り、保護は専用ケミカルを活用したい メーカーから出荷された新車当時は同じ状態でも、その後の環境や手入れによって、10年後/20年後のコンディシ[…]
4サイクル/2サイクル/ブレーキ/サス用を設定 ホンダは、二輪車用の純正オイルのラインナップを「Pro Honda(プロホンダ)」ブランドに一新し、4月より順次発売すると発表した。 ボトルパッケージは[…]
バイクにオススメのシャンプー/コーティング剤 ツーリングや日々の走行で溜まった汚れ、雨やホコリによるダメージ…。大切なバイクをいつまでも美しく保つためには、こまめな洗車とコーティングが欠かせません。で[…]
シュアラスターのチェーンメンテナンスアイテム バイクの性能を維持し、安全に走行するために欠かせない チェーンメンテナンス。 今回は、チェーンメンテナンスにオススメな、シュアラスターの「チェーンクリーナ[…]
人気記事ランキング(全体)
ヤマハ RZV500R「2ストV4エンジン搭載で衝撃のデビューを果たしたYZR500レプリカモデル」 ライトウエイトピュアスポーツからレーサーレプリカへの橋渡しであり、起点とも言えたヤマハ RZ250[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
4ストローク2気筒の『オフ・ザ・ロード』 国産4ストローク2気筒型オフロード車を語る上で外せないバイクが1970年登場のホンダSL350です。SL350は1970年代のホンダ車の中でもレアな存在ですが[…]
GPz900Rを受け継ぐ実用系最速マシン【カワサキGPZ1000RX】 1983年にTT-F1の排気量上限が750ccに引き下げられた結果、リッターバイクはレースの呪縛を解かれて独自に発展し始める。 […]
軽量化とパワーアップの両面を果たしたフルモデルチェンジ フルモデルチェンジが実施された2018年モデルの発売は、2018年2月1日。2017年モデルまでのニンジャ400は、海外向けのERシリーズをベー[…]
最新の投稿記事(全体)
アプリで『もてぎ2&4レース』決勝を予想してプレゼントをGETしよう! モーターサイクルロードレースの国内最高峰、全日本ロードレース選手権 Rd.1『もてぎ2&4レース』が、4月19日[…]
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供 古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。 元々のコンディション次第ではレ[…]
ファクトリーマシンが進化して帰ってきた! スズキは東京モーターサイクルショーのプレスカンファレンスで、2025年の『Team SUZUKI CN CHALLENGE』の体制発表を行った。メーカーとして[…]
やっぱり「素手」が好き! いきなりですが、筆者はかなりの作業を素手で行っています。ていうか、素手が大好きです。ボルトを回すにしても、工具を持って締め付けるにしても、とにかく手先にダイレクトに伝わる感覚[…]
スズキ株式会社は、2025年4月1日より、39年ぶりにコーポレートアイデンティティ(CI)とユニフォームを一新すると発表した。 ユニフォームのデザインは、1986年から使用しているブルゾン、パンツ、帽[…]
- 1
- 2