
モトジョイの佐藤会長が製作した、オリジナルクロモリ製ダブルクレードルフレームにスズキ製油冷エンジンを搭載する「OV-41」。アルミフレームが登場する以前の1980年代前半のレーシングマシンをモチーフとしており、海外でのクラシックTT-F1レース参戦を目標に据えている。今回は「58秒台でコンスタントに周回する」という目標に向けて、データロガーを用いて行ったテスト走行の模様をレポートする。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:モトジョイ
倒立フォークとラジアルタイヤの足周りにもクロモリパイプフレームの許容度は充分
2021年11月のKAGURADUKIステージで、テイストオブツクバ・ハーキュリーズクラスに初参戦したオーヴァークラシックスのOV-41。このマシンは将来的に海外で開催されているクラシックTT-F1レースへのエントリーも視野に入れて開発されたものだ。
とはいえ「せっかくテイストに出るならそれなりの順位も欲しいじゃないですか」という佐藤会長のコンストラクター魂により、フレーム/エンジンともにチューニングを進めてきた。そして2022年11月のレースでは新たに奥田教介選手をライダーとして起用。ST600/ST1000で全日本選手権に参戦し、鈴鹿8耐への出場経験もある20代のライダーは、鉄フレームのバイクにどのような印象を抱いているのだろうか。
「普段のレーサーとはすべて違いますが、印象としては“意外に普通”でした。エンジンはST600とST1000の間ぐらいで、ブレーキング時に重い塊がフロントタイヤにのしかかる感覚は独特です。鉄フレームだから云々というのはあまり意識していないです」とのこと。
今回装着したデータロガーは、前後サスペンションと空燃比データを採取し、限られたテスト走行時のセッティング変更に活用される。新たなライダーを得たOV-41がどのように進化するかが楽しみだ。
三重県鈴鹿市に本拠地があるオーヴァーレーシングプロジェクツ/モトジョイにとって、筑波サーキットで行うテスト走行は貴重な機会。11月のレースでOV-41に乗るのが奥田教介さん、OV-43を操るのは安福央樹さんだ。
秋のテイストオブツクバに向けて設定を煮詰めるOV-41
奥田選手のリクエストで搭載されたデータロガーで、前後サスペンションストローク/空燃比データを計測。計測点を増やそうと思えばいくらでもセンサーを追加できるが、短期間でマシンを仕上げるにはサスペンションのセッティングが最優先になるとのこと。また奥田選手のライディングスタイルに合わせるため、フロントブレーキローター径をφ330mm に拡大。それでも鉄フレームの剛性や強度に不満を感じることはないそうだ。
同じマシンでもライダーが代わればセッティングの好みや方向性が変わるのは当然。2022年6月に初めてOV-41 に乗り、数回のテスト走行でレース本番を迎えるのはあまりに性急すぎるが致し方ない。そこでデータロガーを活用してセッティングを行う。
走行後、ノートPCにデータを転送し、普段のレース活動で所属するTeamMFの高橋代表(左)とデータを検証。ライディング時のイメージと摺り合わせてセッティングを変更する。
リクエストに応じてモトジョイ佐藤会長がリヤショックのスプリングを交換する。「データを解析してマシン作りができるように奥田を指導してきました」とTeamMF高橋代表。
ZX-10RエンジンのOV-43も着実に熟成
安福選手は鈴鹿ツインサーキットのアストライドでもOV-43をライディングしており、サスペンションやシートポジションを調整しながらテストを重ねた。パワーではスズキ油冷を大きく上回るカワサキZX-10R エンジン搭載車なので、こちらの走りも楽しみだ。
テスト走行、セッティングの模様の動画
当日のテスト走行とセッティングを繰り返すシーンを動画にまとめたので、こちらもぜひ見てほしい。
※本記事は“モトメカニック”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
もはや必需品!? ドラレコとホットグリップを取り付ける ネットニュースでも映像が頻繁に公開されているが、自分の身を守るためにバイクでも装着した方が良いのがドライブレコーダー。車載モニターの有無や取り付[…]
絶版車なら珍しくないサビ具合 ピカピカと光り手触りもツルツルなクロームメッキ表面には、目に見えないサイズ(大きなもので8μmほど)のピンホールが無数に存在する。これに対して一般的な装飾クロームメッキの[…]
クニペックス:ストレートタイプのプライヤーは初の試みにして大ヒット グリップを開いて長穴をずらして開口幅を調整するプライヤーと異なり、クニペックスはウォーターポンププライヤーのコブラのようなプッシュボ[…]
正立式フロントフォークのオーバーホール 本企画の前編では、カワサキ バリオスのフロントフォークのオーバーホールで必要となる部品の紹介と、作業前に必要なインナーチューブの曲がりの有無の確認をした。なお、[…]
消耗/補修部品分野で純正部品と同等の性能を持つ、NTBの「規格部品」 「エンジンオイルは潤滑油であるとともに機能パーツのひとつでもある」といわれるのと同様に、フロントフォークのフォークオイルにもにもサ[…]
人気記事ランキング(全体)
注目RCブランドが名車を忠実に再現 「WPL JAPAN」は、森林や岩場などの悪路を走破できるスケールクローラーRCを展開するRCカーブランド。 通常は高額なスケールクローラーを、すぐに遊べるRTRセ[…]
新作CB750K内覧でヨーロッパのトレンドを強く要求され追加した「F」デザインが世界中で大ヒット! 1969年にリリースされた、量産車では世界初の4気筒、CB750FOURから10年が経とうとしていた[…]
新設計の502cc・4気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ ホンダは、中国で開催された重慶モーターサイクルショーにて4気筒エンジン搭載の新型モデル「CBR500Rフォア(CBR500R FOUR)[…]
HONDA CB1000F Concept TeamCB & WITH ME やったぜ! CB1000F コンセプトのレースデビューウィン! 私が参戦したのはアイアンスポーツクラス。空冷・水[…]
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
最新の記事
- ミドルネイキッド最強クラスの激速マシン! ホンダ「CB750 Hornet」丸山浩インプレッション
- 「コイツでレースしたらカッコイイじゃん?」ホンダCB1000SFに衝撃を受けた’92年からCBにぞっこん!~丸山浩のBIG-1レース挑戦録~
- 【高校生も免許が必要! 山梨県のバイク通学事情】日本二普協主催「第4回 安全シンポジウム」より<前編>
- 【2025年9月版】150~250cc軽二輪スクーター 国内メーカーおすすめ7選! 125ccの双子モデルからフルサイズまで
- ライダーに“ちょうど良い”バッグ。登山用品で培った職人技が光る「ライダース巾着ザック IMOCK」登場
- 1
- 2