![定期交換が必要なフロントフォークのオーバーホールを実践[後編]【NTB規格部品を活用|手順紹介】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2022/11/Marunaka-FrontFolk-00.jpg)
エンジンオイル交換は頻繁に行なっていても、フロントフォークオイルを「頻繁に交換してます!!」というライダーは数少ない。5000km程度ごとに交換するのが理想だ。カワサキ バリオスのフロントフォークを題材に、フォークオイルの交換はもちろん、各部のシールを交換したので、その手順を紹介する。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:丸中洋行
正立式フロントフォークのオーバーホール
本企画の前編では、カワサキ バリオスのフロントフォークのオーバーホールで必要となる部品の紹介と、作業前に必要なインナーチューブの曲がりの有無の確認をした。なお、用意したのはカワサキの純正部品ではなく、丸中洋行が製造販売する、JIS規格に準じた純正と同品質/同サイズの“規格部品”だ。
消耗/補修部品分野で純正部品と同等の性能を持つ、NTBの「規格部品」 「エンジンオイルは潤滑油であるとともに機能パーツのひとつでもある」といわれるのと同様に、フロントフォークのフォークオイルにもにもサ[…]
それでは、これら規格部品を使用し、バリオスのフロントフォークのオーバーホール作業を進めてみよう。
写真にはないが、フロントフォークは車体に組み込まれた状態でトップボルトを緩め、抜き取った後は、トップボルトをレンチで固定しながら“インナーチューブを回して”取り外すイメージで作業進行するのが良い。
インナーパーツを抜き取る時には、インナーチューブ内から一気に部品を抜き取らず、オイルが流れ出ないように(周囲を汚さないように)要注意。漏れてしまうフォークオイルをウエスで確実に受けよう。作業場の床をオイルで汚さないように。
廃油受けを準備してフォークオイルを抜き取る。前回のオイル交換後から走行距離が浅かったのか、フォークオイルにクリアさが残っていた。オイルを飛び散らさないよう、廃油受けに紙ウエスを敷いて作業進行。
インナーダンパーの供回りを防ぐために、ダンパーパイプを押さえる専用工具をロングTレンチに差し込みグイッと押し込み、ボトムケース下側から締め付けるロックボルトを緩める。空回りするとボルトが外れないのだ。
特殊工具のダンパーシートパイプホールドツールを利用したことで、ダンパーシートパイプ締め付けボルトを取り外すことができた。このボルト座部分にはガスケットワッシャーが必ず組み込まれるので、ボルト脱着時は要確認。
オイルシールの抜け止めとなっているスナップリングを取り外す。インナーチューブにキズを入れないように小さなマイナスドライバーなどでリングを取り外す。サビているときには新品部品に交換しよう。
フロントフォークのメンテナンス時には大型万力が必要不可欠。万力がない環境での分解作業は間違いなく苦労する。ボトムケースを優しくクランプして、インナーチュープを引っ張り、スコッ、スコッと引き抜く。
インナーチューブを抜き取ったら、内部に差し込み、組み込まれているダンパーシートパイプを抜き取る。このシートパイプが供回りしないようにする専用工具がこれだ。モデルによっては六角溝の回り止め仕様もある。
分解したパーツに付着したフォークオイルは脱脂洗浄しよう。各パーツをレイアウト通りに並べてみるとこのような感じになる。ボトムケースのアウターメタルとインナーチューブ先端のスライドメタルを新品に交換した。
ボトムケース側のアウターメタルとの摺動部にキズやサビが発生していないか、注意深く点検しよう。摺動部にサビやキズがあると、それが原因でオイルシールリップが切れ、オイル漏れの原因になるのだ。
ダンパーシートパイプエンドに組み込まれる樹脂製ピストンリング周辺をパーツクリーナーで洗浄し、汚れを洗い流そう。明らかに摩耗している場合は、新品部品に交換しよう。パイプサイドの孔がダンパー通路だ。
組み立て復元時には各摺動部にケミカルを塗布しよう。樹脂部品×金属部品の摺動部にはラバーグリスを塗布するのが良い。このピストンリングが摩耗すると、ダンパーの減衰性能を維持できなくなってしまう。
工具を使わずに指先でインナーチューブからスライドメタルを取り外したら、左右2本のインナーチューブを重ねて、ピタッと着くか確認しよう。つまりインナーチューブの曲がり点検だ。メタルの組み込み時は溝を洗浄すること。このメタルはNTB製の規格部品(SB-FF03)だ。
ダンパーシートパイプをインナーチューブ上側から差し込んだら、出っ張った先端にオイルロックピースを差し込む。ボトムケースにインナーチューブを差し込む際には、オイルロックピースが外れないように要注意。
ボトムケースの下側からダンパーシートパイプを締め付け固定するが、ガスケットワッシャーは必ず新品に交換しよう。NTB製のバリオス用のフロントフォークO/Hキット(FKK-02)に同梱セットされている。分解時にボトムケース側に残って貼り付いていることもあるので要注意。締め付けは確実に。
ダンパーパイプのネジ山にボルトが噛んだら、仮締め状態まで締め込む。インナーチューブをフルボトムに押し込んで、インナーチューブを数回転させ、ダンパーパイプとオイルロックピースのセンターリングを行う。
センターリングしたらボトムボルトをしっかり締め付ける。センターリングしないで締め付けるとフルボトム時にインナーチューブとオイルロックピースが噛み込むことがあり、作動性が著しく低下する。ボトムケースの固定は優しく!!
インナーチューブをボトムケースへ組み込んだら、NTB規格部品のアウターメタル(SB-FF01)、オイルシール(O/Hキットに同梱)の順に組み込む。旧車の多くはアウターチューブが直にインナーチューブを受けていたが、摩耗対策でメタルが組み込まれるようになった。
アウターメタルを挿入したら、メタルを押さえるスペーサーワッシャー(O/Hキットに同梱)を組み込む。スペーサーワッシャーがサビで凸凹になっていると周辺パーツに影響が出るので、磨き落とせないサビがあるときは新品に交換しよう。
インナーチューブにオイルシール(O/Hキットに同梱)を組み込む際には、インナーチューブエッジでオイルシールリップを切ってしまうことがある。保護ビニールを被せ、ラバーグリスを塗布して、リップ部分を押し付けるように全体を挿入。
オイルシールの圧入には、ダートフリークの正立フォーク用オイルシールドライバーを利用した。Φ26〜39ミリのインナーチューブに対応した特殊工具だ。ウエイトが揺れて外れにくいようにタイラップで軽く縛って、カツッ、カツッと打ち込んだ。
オイルシールリップにゴミが噛みこまないようにするのが、一番外側に組み込むダストシール(O/Hキットに同梱)だ。CCIのMR20メタルラバーをダストシールリップに吹き付けることで、驚くほどスムーズな作動性を得られる。
フォークオイルには注入量指定と油面の高さ指定がある。サービスマニュアルのデータを参考に、油面の高さを140mmにセットした。ダートフリークの新型油面調整ツール(DRCフォークオイルレベルゲージ) は使いやすい。
今回使用したフォークオイルはモトレックスの15W。オイル粘度を硬くすると減衰特性が変わり、油面の高さを微調整することでも作動フィーリングは変化する。サスセッティングを楽しんでみよう!!
オイルを注入したら、インナーチューブを上下に小刻みに作動させてエアー抜きを行い、さらにトップボルト部分を手のひらで閉じてインナーチューブを押し込み、逆に引っ張ってから手のひらを外す。エアー抜き促進を手のひらで行うのが良い。
インナーチューブを押し込んでフルボトムにしよう。ゲージパイプの先端がオイルに沈むことを確認したら(沈まないときはオイルを追加注入する)、風船をつまんで凹のまま差し込み、負圧でオイルを抜いて油面高さを合わせる。
スプリングとスペーサーとカラーパイプを挿入したら、トップボルトを締め付ける。トップボルトをレンチで固定してインナーチューブを回すと締め付けやすい。仮締めしたらインナーチューブを押し込み、作動性を確認しよう。これでフロントフォーク単体のオーバーホール作業は終了だ。
※本記事は“モトメカニック”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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