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エンジン部品のペイントやラジエターのペイントには、機能ペイントである「ガンコートしかない!」というのが、長年バイクのメンテナンス専門誌を作ってきた『モトメカニック』編集部の考え。カーベック(愛知県)による適材適所なペイント仕上げの模様をお伝えしよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:カーベック
パーツごとに仕上げのペイントを変更
現在、編集部でレストア作業中のBMW K75S。そのシリンダーヘッドカバー/クランクカバー/車体まわりの金属部品のペイントをカーベック(愛知県東海市)に依頼した。あまりにも部品点数が多く、個人的にもDIYペイントを楽しみたかったので、フロントカバー/ポンプ関連部品/オイルパンなどは、ガンコートのサテンブラックと黄金色が美しいブライトブラスでDIYペイント。耐熱エンジン部品は、冷却機能ペイントのガンコート、車体まわりは頑強に仕上げたいのでパウダーコーティングの半艶ブラック。ただし、クランクカバーは出っ張りが大きく高温になる部品ではないので、パウダーコーティングで仕上げるようにオーダーした。
1液溶剤のガンコートペイントは、一般のペイントガンで塗ることができる。カップに塗料が余ったときは、容器に戻せる1液タイプなのも特徴だ。重要な”焼き付け乾燥工程”は、専用の高温乾燥機を利用し、180度に達してから最低でも1時間以上は乾燥させたい。そんな工程によって、耐ガソリン性/耐溶剤性が抜群で、汚れ落としのつもりでパーツクリーナーを吹き付けても、エンジン塗膜が弱ることのない頑強さが得られる。カーベックでは、サンデーメカニックユーザー向けにCVジュニア(小物部品用乾燥機)もラインナップしているので、DIYペイント好きなら、ガンコートにぜひチャレンジしてみてほしい。
バイクショップやコンストラクター、さらにはバイクメーカーに向けて、様々な設備や機器を納品しているカーベック。ガンコートペイントは、カーベックが米KG社の日本総代理店を務めており、本国市場に次いで世界で2番目の販売力を誇る。ガンコートもパウダーコーティングも乾燥設備が重要だが、誰もが知るコンストラクターやメーカーにも同社製設備が導入されている。今回は、バラした部品を洗浄してから、パウダーコーティング/ガンコート/耐熱マフラー用「セラトップEX」など、塗り分けてもらった。
ステッププレート/バッテリー座/バンパー周辺パーツなどはアルミ地肌仕上げやクロームメッキ仕上げだが、それらのパーツや各種小物金属部品はすべてパウダーコーティングの半艶ブラックで仕上げてもらった。パウダーコーティングは、乾燥機に入れてから指定温度の180度に達し、それから1時間以上乾燥させる。
ラジエターは樹脂とアルミのハイブリッド仕上げなので、特殊なガンコートで仕上げてもらった。パニアケースのZ型ステーについても、同ペイントの半艶ブラックで仕上げ。パニアステーのペイントは、テストケースで施工してみた。
ステンレス製で、サビで朽ち果てることがないのがKシリーズのマフラー。サンドブラストで表面を梨地にしてから、カーベックが取り扱う耐熱ペイント「セラトップEX」でマフラー仕上げ。施工後、1週間以上はそのまま自然乾燥放置するペイントだ。
ツインカムのヘッドカバーは赤結晶ペイント、クランクカバーはパウダーコーティングの半艶ブラックで仕上げてもらった。結晶ペイントは完全乾燥硬化に時間がかかるため、取り付け直後にエンジン暖機する際には、強く触れて塗膜にダメージを与えないよう注意を。完全硬化後は塗膜硬度が上がる。
※本記事は“モトメカニック”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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