スロットルバルブのローラーがキャブボディをすり減らす現象は、FCRキャブの持病のひとつで、ユーザーにとっては悩みのタネ。キャブレターパーツ製造で実績を重ねてきたキースター(岸田精密工業)の「FCRキャブレター逆転蘇生キット」は、凹んだボディにガイドレールを新設することで、スロットルバルブの作動性を回復する画期的な商品として注目されている。新たに発売されたスモールボディ対応キットは、ミドルクラス用FCRの救世主となるだろう。
●文:モトメカニック編集部 ●外部リンク:岸田精密工業
ミドルクラスFCRユーザーの必需品
FCRキャブレターを愛用しているユーザーにとって、少しでも長くコンディションを維持したいと考えるのは当然のこと。
スロットルレスポンスと高回転域のパワーがFCRの魅力だが、ボディ摩耗という弱点がある。スロットル開度が小さく吸入負圧が大きい領域では、スロットルバルブがボディに吸い寄せられ、バルブのローラーが押しつけられることで段付き摩耗が発生する。それが原因で、浮動バルブのカチャカチャ音が大きくなったり、スロットル操作力が重くなることもある。
キースターが開発した「FCRキャブレター逆転蘇生キット」は、ローラーによる段付き摩耗部分にステンレス製ガイドをかぶせる、というシンプルかつ画期的な製品。新たなレールを敷くことでバルブの当たり音が軽減し、スロットル操作が軽くなることも実証されている。
先行してラージボディ用が発売されたが、このたびφ28/32/33のスモールボディ用キットが登場。ボディを補修するガイドレールに加えて、スロットルバルブベアリングとローラーを交換することで、スロットル操作性が改善されるだろう。ミドルクラスのFCRユーザーにとって、逆転蘇生キットは、今後も快調に乗り続けるための必需品と言える。
ボディ内部の”わだち”はFCR固有の弱点
吸入負圧でピストンバルブがボディに張りつかないよう、両サイドにセットされたローラーによってボディが凹むのが、FCRの典型的な経年劣化。負圧で張りついていたいバルブを引き上げるため、”わだち”状に摩耗してしまう。
高い耐久性のステンレス製ガイドと独自の組み付け治具を完備
そこで、凹み部分を含むローラーの軌道にガイドレールを新設するのが、この逆転蘇生キット。補修用部品だけでなく、専用治工具も含まれる。
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