日本人唯一のMotoGPライダーである中上貴晶選手が、自身が着るウエアのイクソンのイベントが開催されるライコランド TOKYO BAY 東雲に登場。2023年インドGP&日本GP直前というタイミングで緊急来日し、トークショー&サイン会が行われた。
●文:ミリオーレ編集部(村田奈緒子) ●外部リンク:イクソンジャパン
スプリントレースはフィジカルよりも頭が疲れる…
今回のイベントはトークショー(15分)&サイン会と限られた時間だったが、会場には多くのファンが来場。秋晴れの午後、大きな拍手とともに中上選手の入場からスタートした。
中上:「皆さん、こんにちは。急な告知にも関わらず多くの方に集まっていただいて、とても嬉しいです」
ーーまず率直なところをお聞かせいただければと思うのですが、今シーズンはいかがですか?
中上:「そうですね、もちろんいい報告というか、自分自身も良いシーズンにしたいと思ってはいたんですけど、実際にはちょっと厳しいシーズンを過ごしていて……サマーブレイク後も自分もそうですけどホンダ勢が苦戦してしまっていていい状態ではないですね。僕自身も与えられた環境でベストを尽くして常に一つでも上のリザルトを残すということしかできないですけど、そこをもがいている状況です」
ーー本当に率直なお気持ちですね。
中上:「そうですね、本当にすごくいい状態ではないですけど、そんななかでもチーム全員が今の厳しい状況を少しでも改善/前進していけるようにと力を合わせて進んでいます」
ーーチーム全員で協力しながら上を目指しているんですね。ちなみに今年から始まったスプリントレースはいかがですか?
「これまでにやったことのないスプリントレースが2023年より全戦で始まりましたが、(スプリントレースのある)土曜日が本当に忙しいですね。朝の走行をして昼食を終えたらすぐにスプリントレースがあるので大変です。ただ実際にやっていくなかで、自分自身の時間が必要な部分とかをちゃんと区切ってはできているので、意外と楽しめてもいます。ただフィジカルは大丈夫ですが、やはりメンタルだったりとか、翌日の日曜に向けて同じコンディションを作っていくのは大変です。終えると、頭の中がドッと疲れている感じです」
ーー頭脳を使って疲れる感じなんですね。
「土曜にかなり集中もしつつ、翌日の日曜には長いレースが待っているので、そこに合わせてリカバリーも挟まないといけないですしね」
ーースプリントレースは大変ながらも、そこに順応しつつ楽しさも感じていらっしゃるんですね。ところで、中上選手にとって日本GPは特別な一戦ということですが、他のサーキットで戦うのとは何か異なることはあるのでしょうか?
「ルーティンややり方などは一緒です。それに関しては自分たちの流れがあるので変えることはないですが、ただ日本GPは日の丸の国旗がよく見えたり、日本語での声援などが聞こえたりするので大きな力になりますね」
ーー普段、海外を拠点にされていますが、リフレッシュはどうしていますか?
「シーズン中はスペインが拠点ですが、向こうは天気がいいので、海に行ったり街に出たりしています。基本的にレースの翌日の月曜のみが休みで、火曜からはトレーニングが始まります。限られた時間のなかで自分のやりたいことやリフレッシュの時間を作っている感じです」
ーートレーニングはかなりハードですか?
「そうですね、スプリントレースが始まりましたし、MotoGPマシンも進化に伴い、重量は変わらないけれどバイク自体にウイングが付いたことで、操作性に重さが出るようになっています。さらにタイムも上がっているので、その分だけ身体にかかる負荷も増えています。一戦一戦パーソナルトレーナーとコンタクトしながら、フィジカルを仕上げていっています」
ーーそれぐらいハードで緻密なトレーニングを行わないと、MotoGPのマシンでは戦えないということなんですね。
「走り切ることに精一杯だと精神状態も余裕がなくなってしまうので、まずは自分の精神状態もコントロールできるほどの余裕をもってレースをフィニッシュしないといけないので、トレーニング含めていろいろ考えてやっています」
ーーMotoGPでは日本人唯一のライダーですし、プレッシャーも大きいと思います。
「皆さんの声援が力になるので、ぜひ応援お願いします!」
2024年も日本人唯一のMotoGPライダーとして奮闘!
インドGP直前に開催された今回のイベント。Tシャツ越しにも伝わってくる鍛えられた身体は、いかにもアスリート然としており、それがMotoGPの過酷さを感じさせてくれた。
さらに「数日後には良い発表をできると思います」と思わせぶりな発言をして会場を後にした中上選手。インドGPでは来季もLCRホンダイデミツからMotoGPに参戦することが発表され、良い流れで日本GPに挑むことができるはず。期待したい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ミリオーレの最新記事
ファッションからスポーツまで。現代のバイクライフにフィット このバイクは只者じゃない−−。僕はマヨルカ島のリゾートホテルのエントランスに鎮座するトライアンフの「スピードツイン1200RS」に初対面した[…]
ライダーを様々な驚きで包み込む、パニガーレV4S 5速、270km/hからフルブレーキングしながら2速までシフトダウン。驚くほどの減速率でNEWパニガーレV4Sは、クリッピングポイントへと向かっていく[…]
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間[…]
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間[…]
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間[…]
最新の関連記事(イクソン)
2024年も日本人唯一のMotoGPライダーとして奮闘 2021年シーズンからイクソンのレザースーツを着用している日本人唯一のMotoGPライダー・中上貴晶選手。2024年もIDEMITSU Hond[…]
2023年の新作ウィンターグローブはすべて手のひらに本革を採用 高機能素材プリマロフトを採用したシリーズの最新型「PRO RESCUE 3(プロ レスキュー スリー)」 イクソン冬用グローブのロングセ[…]
自由に選べるオプションインナーライナーの登場! イクソンは、2023年の秋冬コレクションより「MODULAR CONCEPT(モジュラー コンセプト)」という新コンセプトを採用。これは今シーズンより新[…]
ミシュランの専用設計ソール×ATOPダイヤルクロージングシステムの「BULL WP ブーツ」 ストリートからロングツーリングまで幅広いシーンに活用できる「BULL WP」。バイクを操作するためのオリジ[…]
レーシングスーツの最大勢力はアルパインスターズ 今シーズン、装具での注目はアルパインスターズがついにロードレース用のヘルメットを投入してきたことだろう。世界最高峰のロードレースで開発を続け、市販化を狙[…]
人気記事ランキング(全体)
私は冬用グローブを使うときにインナーグローブを併用しています。防寒目的もありますし、冬用グローブを清潔に保つ目的もあります。最近、長年使い続けたインナーグローブが破れてしまったこともあり、新品にしよう[…]
TRIJYA(トライジャ):カフェレーサースタイルのX500 パンアメリカやナイトスターなど水冷ハーレーのカスタムにも力を入れているトライジャ。以前の記事では同社のX350カスタム車を掲載したが、今回[…]
高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないとバルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁! 回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっている[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
最新の投稿記事(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
元々はブレーキ液の飛散を防ぐため フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシ[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
- 1
- 2