4気筒もネイキッドもカワサキがブームを作った

俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.4 カワサキ編】

ネイキッドの呼称を世に広めた、ゼファー!

自主規制上限の59psのレーサーレプリカが居並ぶ中で、二世代ほど古い46psの空冷4気筒で登場したゼファーは、とくにバイク業界関係者からの評判は芳しくなく「いまさら感」に溢れていた。しかし実際に発売されると驚異的な大ヒットを記録。ちなみにゼファーの発売日は、レーサーレプリカ最後発のZXR400の約1カ月後だった。

1995年に免許制度が改正され、教習所で大型自動二輪免許が取れるようになっても人気を維持し、97年にフルモデルチェンジしてゼファーχ(カイ)を発売。カワサキの空冷4気筒エンジンで4バルブは、Z1から現在までゼファーχが唯一のモデルとなる。

1989年 ZEPHYR
空冷4気筒DOHC2バルブエンジンは83年のGPz400と同じボア×ストローク55×42mmだが、最高出力はGPz400を下回る46psで、当時の400cc4気筒ではかなり非力。シャシーはダブルクレードルフレームに2本ショックで、ルックスも極めてベーシック。

1996年 ZEPHYR χ
ゼファーのエンジンをベースに4バルブ化し、ピストンやクランクシャフトも新造して53psにパワーアップ。97年モデルで太さを増したフロントフォークや4POTブレーキキャリパー、3本スポークのホイールやラジアルタイヤなど足まわり中心にリファイン。その後は細部のマイナーチェンジやカラー変更を重ね、2008年のファイナルエディション(写真)で終了。

走りの水冷400ネイキッドZRXが登場!

ゼファーでネイキッドブームを作ったカワサキが、スポーツ志向の強い水冷ネイキッドのZRXをリリース。最高出力は自主規制で1992年に引き下げられた53psなので空冷のゼファーχと同じだが、トルクやレスポンスに優れる。随所にAMAスーパーバイクで活躍したZ1000Rの雰囲気を再現し、「角Z」のイメージを強く漂わせた。

1994年 ZRX
エンジンはZZ-R400の水冷4気筒DOHC4バルブがベース。角基調のデザインやビキニカウルはZ1000Rローソンレプリカを、スタビライザー付きの丸パイプのスイングアームはレース仕様の限定車Z1000S1を彷彿させる。翌95年に丸ライトでビキニカウルを持たないZRX-IIが加わり、98年には400ccクラス初の6POTブレーキキャリパーを装備。画像は2008年の最終モデル。

ハイスピードツアラーの血統、ZZ-R400

ZZ-R400は「フラッグシップ」や「メガスポーツ」などの呼称を生んだZZ-R1100の弟分として、輸出モデルのZZ-R600と同時に開発されたスポーツツアラー。

カウリングに隠れて見えないが、レーサーレプリカZXR400と異なるセンターカムチェーンの新型エンジンは、後にネイキッドのZRXにも使われている。ウインドプロテクションや空力特性に優れたフルカウリングはもちろん、タンデムに便利なグラブバーや実用性とルックスを兼ね備えた荷掛けフックなどもZZ-Rシリーズの美点だ。

ちなみにカウリングに描かれる車名は、1993年モデルからハイフン(‐)無しのZZR400になったが、カワサキは2003年にZZRの表記統一をアナウンスした。

1990年 ZZ-R400
水冷4気筒DOHC4バルブエンジンは、レプリカのZXR400系とまったく異なる新設計で、シリーズ長兄のZZ-R1100同様にラムエアシステムを装備し、58psを発揮。GPZ400Rから続くAL-X(アルクロス)フレームも新設計。画像は2007年の最終モデル。

軽快さがウリの「ハーフニンジャ」

GPZ900Rの後継モデルGPZ1000RXのエンジンを半分にしたような輸出モデルGPZ500Sが登場したことで「ハーフニンジャ」と呼ばれ、同時に開発された国内向けのGPZ400SはGPZ750Rの半分になる(ボアは共通でストロークを伸ばして398ccにしている)。

4気筒全盛でGPZ400Rが大ヒットしていた時期だが、気軽に乗れる2気筒スポーツとして発売。94年のEX-4も、レーサーレプリカのZXR400やスポーツツアラーのZZ-R400とは異なる、オールラウンドなスポーツバイクを目指した。

1986年 GPZ400S
水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンは、当時の2気筒400随一の50psを発揮。フレームはスチール製角断面のダブルクレードル。

1994年 EX-4
実質的にGPZ400Sの後継モデルで、エンジンは共通で角断面のスチール製フレームもレイアウトを踏襲。

4ストロークのマッハ

ザンザスは「シグナルグランプリでワンクラス上のバイクに勝つ」という、明確だが現在では信じられないようなコンセプトで開発された。

当時最強と言われたレーサーレプリカZXR400のエンジンをベースにバルブタイミングやピストン形状を変更して中低速寄りにセッティングし、二次減速比もショート化して、徹底的に加速を重視。「マッハの4ストローク版」ということで、カタログやバイク雑誌の広告のキャッチフレーズは「音速伝説」。大人気のゼファーとは正反対の性格を持った異質なネイキッドだ。

1992年 XANTHUS
レーサーレプリカZXR400系の水冷4気筒DOHC4バルブエンジンをベースに、加速重視のセッティングを施す。アルミ製のフレームは幅広なダイヤモンドタイプで、レプリカやスーパースポーツのツインチューブと異なる独特な形状。左2本出しのマフラーも特徴的だ。

端整なデュアルパーパス

現在人気の本格アドベンチャーではないが、オンロード主体で悪路も走破できるデュアルパーパス。DOHCの2気筒エンジンはキビキビ走り、ツーリングライダーにも好まれた。スクリーンの大型化などマイナーチェンジを経て、2001年頃まで販売された息の長いモデルだ。

1991年 KLE400
エンジンは水冷並列2気筒DOHC4バルブで、ハーフニンジャことGPZ400Sがベース。フレームはスチール丸パイプのダブルクレードルで、ストロークの長い足まわりで走破性を高めたデュアルパーパスモデル。


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