ナナハンは日本のバイク文化の象徴だった!?

【Q&A】もはや昔話!? ベテランライダー憧れの「ナナハン」は、なぜ消えた?【バイクトリビア013】

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大型免許が教習所で取得可能になり、ビッグバイクが身近に!

暴走族対策で始まった自主規制が撤廃されたのに次いで、バイクの免許制度も1995年に改定。排気量無制限の大型自動二輪免許と、普通自動二輪(400ccまで)、小型限定普通二輪(125ccまで)と、乗れる排気量区分自体は従来と基本的に同じだが、大型自動二輪免許が教習所で取得できるようになったのだ。

こうなると、せっかく大型を取ったのだから大排気量車に乗りたい、というライダーが増えるのも当然。そして1000ccを超えるビッグバイクも多数ラインナップされている……と、ますますナナハンにこだわる理由がなくなった。

レースは高性能750の独壇場!?

そんな世の中の動きと、時間的に少しズレていたのがレースのレギュレーション。プロトタイプのバイクで戦うGPは別にして、1988年から始まった市販車ベースのスーパーバイクレースは、2002年まで4気筒は750ccが上限で、2気筒は1000ccまで。

というコトで、普通のビッグバイクがどんどん排気量を拡大する中、日本メーカーはレーシングマシンのベースとなる4気筒750ccのスーパースポーツを作り続けた。……が、たくさん売れるわけではないので、限定販売や受注販売だったり(台数が少ないのでかなり高額)、国内販売を止めて輸出モデルのみ設定するバイクも少なくなかった(馬力自主規制も影響したと思われる)。

そのため90年代後半~2000年代初頭の高性能な750ccスーパースポーツは、非常にレアな存在。かといって、これを「ナナハンがエライ」……というには、少々無理があるだろう。

そしてスーパーバイクレースの2003年のレギュレーション変更で、4気筒の排気量上限が1000ccに変わると、これら希少なナナハンの多くは姿を消すことになった。

1994年 ホンダ RVF/RC45
ワークスマシンRVF750の技術を余さず投入。鈴鹿8時間耐久レースでも圧倒的な強さを誇った。94年は500台限定販売し、95年は予約受注による期間限定生産を行った。

1999年 YZF-R7(OW02)
スーパーバイクレースへの参戦を前提に開発し、世界500台限定販売のホモロゲーションモデル。基本的に輸出モデルだが、日本でも全日本スーパーバイク等に参戦した。

1996年 カワサキ ZX-7RR
スーパーバイク参戦を目的としたホモロゲーションモデル。基本的に輸出モデルで、2000年頃まで生産された模様。一般モデルとしてZX-7Rも販売されたが(こちらも輸出モデル)、エンジン内部やシャシーなどは大幅に異なる。

2000年 スズキ GSX-R750
1985年以来、進化熟成を重ねるスズキのスーパースポーツ。2000年から輸出モデルとなる。2003年のスーパーバイクレースのレギュレーション変更に伴ってレースベース車の役目は終えたが、モデルチェンジを重ね、北米では現在も販売されている。

2000年代のナナハンは?

ビッグネイキッドやフラッグシップ系は排気量を拡大し、スーパースポーツはレースのレギュレーションに合わせて1000ccや600ccに揃った2000年代初頭。国内販売されるナナハンは、なんとホンダとカワサキの空冷のみ(スズキの油冷GSF750も、ギリギリ販売店在庫が存在したようだが……)。

とはいえCB750もゼファー750も、いまとなっては空冷四発の名跡。中古車相場でもゼファー750は200万円オーバーが普通で、CB750も高年式だと100万円超え。さすがに「ナナハンがエライ」からこのプライスが付いたワケではないと思うが……。

ホンダ CB750
1992年に復活したCBナナハンの最終形。写真は2007年の最終モデル。

カワサキ ゼファー750
ネイキッドブームの立役者であるゼファーシリーズの中堅は1991年に登場。丸みのあるタンクやループ状のダブルクレードルフレーム、シリンダーのカムカバーなど750RS(Z2)をオマージュ。写真は2007年のファイナルエディション。

カワサキ ZR-7S
ゼファー750がベースだが、リヤのモノショックやフレームも別物で、国内より海外に向けて作られた新世代のザッパー。1999年にネイキッドのZR-7が登場し、2001年にハーフカウル装備のZR-7Sが発売。ZR-7Sは販売店在庫などで2006年頃まで新車が存在した。

皆がお世話になっているナナハンがある

1995年の免許制度の改定以後、全国の自動車教習所で大型自動二輪の教習が始まり、当時はCB750やゼファー750の教習車が多かった。また2000年頃にはハーレー(スポーツスター883)やビッグネイキッド(ヤマハXJR1300)などを用意する教習所もあったが、これらは他の教習所との差別化だったり、ナナハン越えの大排気量車のフィーリングを体感するのが主目的のようだ。

そして現在の教習車はホンダのNC750Lが主流。ベースのNC750Sはすでに生産終了しているので、今後は大型自動二輪の教習にどんなバイクが選定されるのだろうか?

2016年 ホンダ NC750L(教習車仕様)
ベースとなるNC750Sに教習所の指導員が確認しやすいランプ類や、転倒時の破損を軽減するバンパー類を装備し、エンジンのスペックやギヤの段数(NC750Lは5速)などもNC750Sと異なる。全国の教習所で多く使用される。

現在のナナハンは? これからのナナハンは?

現時点で国内販売している750ccモデルは以下の3車種。なかでもかつてのナナハンに通じる4気筒モデルはスズキのGSX-S750のみ。しかも残念なことにGSX-S750は生産終了予定が発表された。

じつはCB750やゼファー750が生産終了してから、GSX-S750の前身であるGSR750が発売される2010年まで、国内販売モデルにナナハンが存在しなかった空白の時期もあった。もはやナナハンを作る理由はないのだろうか?

とはいえ600~800ccくらいの排気量の「現代のミドルクラス」は、車格やパワーのバランス、扱いやすさに定評がある。その意味でも、すべてがEV化される前の最後のエンジン車として、新たなナナハンが登場したら楽しいかも……と想う部分もある。

ホンダ NC750X
水冷並列2気筒745ccエンジンを搭載するアドベンチャータイプの万能バイク。21年にモデルチェンジし、平成32年排出ガス規制適合なので、しばらくは安泰。クラッチ操作の必要ないDCT仕様もラインナップする。

ホンダ X-ADV
車名に750の数字は入っていないが、NC750Xと同系の水冷並列2気筒745ccエンジン(DCT仕様)を搭載するナナハン・アドベンチャー・スクーター。

スズキ GSX-S750
GSX-R750のエンジンをベースとした、国内唯一の4気筒750ccモデル。排出ガス規制の関係で、残念ながら生産終了予定が発表された。新車で手に入れたければ最後のチャンスだ。


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