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大型免許が教習所で取得可能になり、ビッグバイクが身近に!
暴走族対策で始まった自主規制が撤廃されたのに次いで、バイクの免許制度も1995年に改定。排気量無制限の大型自動二輪免許と、普通自動二輪(400ccまで)、小型限定普通二輪(125ccまで)と、乗れる排気量区分自体は従来と基本的に同じだが、大型自動二輪免許が教習所で取得できるようになったのだ。
こうなると、せっかく大型を取ったのだから大排気量車に乗りたい、というライダーが増えるのも当然。そして1000ccを超えるビッグバイクも多数ラインナップされている……と、ますますナナハンにこだわる理由がなくなった。
レースは高性能750の独壇場!?
そんな世の中の動きと、時間的に少しズレていたのがレースのレギュレーション。プロトタイプのバイクで戦うGPは別にして、1988年から始まった市販車ベースのスーパーバイクレースは、2002年まで4気筒は750ccが上限で、2気筒は1000ccまで。
というコトで、普通のビッグバイクがどんどん排気量を拡大する中、日本メーカーはレーシングマシンのベースとなる4気筒750ccのスーパースポーツを作り続けた。……が、たくさん売れるわけではないので、限定販売や受注販売だったり(台数が少ないのでかなり高額)、国内販売を止めて輸出モデルのみ設定するバイクも少なくなかった(馬力自主規制も影響したと思われる)。
そのため90年代後半~2000年代初頭の高性能な750ccスーパースポーツは、非常にレアな存在。かといって、これを「ナナハンがエライ」……というには、少々無理があるだろう。
そしてスーパーバイクレースの2003年のレギュレーション変更で、4気筒の排気量上限が1000ccに変わると、これら希少なナナハンの多くは姿を消すことになった。
2000年代のナナハンは?
ビッグネイキッドやフラッグシップ系は排気量を拡大し、スーパースポーツはレースのレギュレーションに合わせて1000ccや600ccに揃った2000年代初頭。国内販売されるナナハンは、なんとホンダとカワサキの空冷のみ(スズキの油冷GSF750も、ギリギリ販売店在庫が存在したようだが……)。
とはいえCB750もゼファー750も、いまとなっては空冷四発の名跡。中古車相場でもゼファー750は200万円オーバーが普通で、CB750も高年式だと100万円超え。さすがに「ナナハンがエライ」からこのプライスが付いたワケではないと思うが……。
皆がお世話になっているナナハンがある
1995年の免許制度の改定以後、全国の自動車教習所で大型自動二輪の教習が始まり、当時はCB750やゼファー750の教習車が多かった。また2000年頃にはハーレー(スポーツスター883)やビッグネイキッド(ヤマハXJR1300)などを用意する教習所もあったが、これらは他の教習所との差別化だったり、ナナハン越えの大排気量車のフィーリングを体感するのが主目的のようだ。
そして現在の教習車はホンダのNC750Lが主流。ベースのNC750Sはすでに生産終了しているので、今後は大型自動二輪の教習にどんなバイクが選定されるのだろうか?
現在のナナハンは? これからのナナハンは?
現時点で国内販売している750ccモデルは以下の3車種。なかでもかつてのナナハンに通じる4気筒モデルはスズキのGSX-S750のみ。しかも残念なことにGSX-S750は生産終了予定が発表された。
じつはCB750やゼファー750が生産終了してから、GSX-S750の前身であるGSR750が発売される2010年まで、国内販売モデルにナナハンが存在しなかった空白の時期もあった。もはやナナハンを作る理由はないのだろうか?
とはいえ600~800ccくらいの排気量の「現代のミドルクラス」は、車格やパワーのバランス、扱いやすさに定評がある。その意味でも、すべてがEV化される前の最後のエンジン車として、新たなナナハンが登場したら楽しいかも……と想う部分もある。
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