
●文:モーサイ編集部(鷹橋公宣/元警察官)
そもそも“路肩”と“路側帯”の違いとは?
年末年始やゴールデンウィークなど、交通量が多い時期に付きものなのが渋滞。先を急ぐ気持ちが出てしまうのか、車線を逸脱して路肩や路側帯を走行する人が少なからずいます。
見方によっては、空いているスペースの活用と言えないこともありませんが、一歩間違えれば歩行者やクルマにぶつかって事故を起こす事態にもなりかねません。
路肩/路側帯通行は、バイクで走行する上でのひとつのメリットだと思っているかもしれませんが、走り方によっては違反になってしまうことも。
本記事では、路側帯の違いや違反内容について解説します。
自動車学校や教習所の学科で習ったかもしれませんが、まず「路肩」と「路側帯」の違いについて振り返りましょう。
「路肩」とは、道路構造令第2条12号において次のように定義されています。
道路の主要構造部を保護し、または車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道または自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいう。
道路構造令|e-Gov
一方の「路側帯」とは、道路交通法第2条3号の4において次のように定義されています。
歩行者の通行の用に供し、または車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路または道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたものをいう。
道路交通法|e-Gov
路肩と路側帯との違いは“歩道があるか、ないか”という点です。つまり、片側1車線ずつの車道の左右に歩道が設置されている道路などは、車道と歩道の間にあるスペース=路肩です。
そして、歩道が設置されていない高速道路などの左側端にあるスペース=路側帯ということを覚えておきましょう。
路側帯を走ったら“通行区分違反”になる
よく似たようなものとして認識されている路肩と路側帯は、それぞれ設置されている目的が異なります。
道路交通法によれば、路肩は「道路の主要構造部を保護し、または車道の効用を保つため」とあり、路側帯は「歩行者の通行の用に供し、または車道の効用を保つため」と記述されています。
どちらも「車道の効用を保つ」とありますが、これは側方の安全確保/故障車などの非常時駐車/緊急車両通行/雨天時の歩行者への水や泥はね防止といった目的があります。
それ以外に注目すべきところは、路側帯が“歩行者の通行”を目的としている点です。だからこそ、クルマやバイクの通行が不可なのです。
また、路側帯=“歩道のない道に設置される”という条件において、高速道路など自動車専用道路(そもそも人が立ち入らないので、当然歩道はない)に付帯するものも路側帯となります。
そのため、高速道路の車線脇のスペース=路側帯がどんなに広くても、必ず車道を走らなければならないのです……
※本記事は2022年3月8日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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