
●文:モーサイ編集部(阪本一史)
ホークシリーズ登場後、すぐにホークIIIを投入。“4気筒+DOHC”勢に対抗したが…
1977年の登場から1〜2年、扱いやすさと俊敏さを併せ持つホークシリーズは一定の人気を獲得したが、ホークII CB400T&ホークCB250Tともに、スタイリング面では若年層のハートをつかむには至らなかった。
折しも中型クラスで4気筒人気が花開き始めた1980年代直前、2気筒のホークシリーズはモデルチェンジやバリエーションモデルを行いつつ、生き残りを模索することとなった。
良くも悪くも、丸みを帯びたフォルムと分厚いシートが特徴的だったホークIIに対し、間もなく派生モデルが登場したのは1978年夏のこと。ミッションの6速化や足まわりのバージョンアップなどでスポーツ性を強調したホークIII CB400Nだ。
【1978 HONDA HAWK III CB400N】丸みを帯びた初代ホーク系に対し、同エンジン(OHC3バルブの空冷並列2気筒)搭載の派生型として、ヨーロピアンフォルムをまとったホークIII CB400N。1978年8月発売で、当時価格は34万9000円。最高出力は40馬力とホークII CB400Tと変わらないが、6速ミッションを搭載。フロントはダブルディスクブレーキへと強化されている。セミフラットなハンドル/バックステップ化により、運動性能と外観もスポーティーさが強調された。
続いて1979年夏にはホークCB250Nが登場。いずれも上級モデルのCB900F(輸出向け車)/CB750Fに通じるスタイリングが、より若年層にも受け入れられやすいもので、一時期はホークIIの外装をごっそりとこちらに載せ替えるといったライダーもいたという。
だが、ホーク系並列2気筒の根本的な部分での不運は、時代的に多気筒+ハイメカニズムが人気の主流だったことだろう。中間排気量であれば、4気筒よりも2気筒にコストパフォーマンス面で利点が多いのは、現在の中間排気量クラスに2気筒モデルがかなり多いのを見てもわかることだが、1980年代の風潮は違ったのだ。
当時、軽さよりもそこそこボリュームのある車格が好まれ、メカニカルな存在感の多気筒が人気を博したのは、ベテランライダーならご存知だろう。そして、バルブ駆動はシングルカムよりツインカムが高性能の象徴とされた。
余談だが、そんな流れを決定づけたのが、1979年に登場したカワサキZ400FXだろう。空冷4気筒にDOHC2バルブヘッドを持つ同車のエンジンは、けっきょくゼファー400系にまで受け継がれ、2000年代を超えて生き残る長寿ユニットとなった。
このZ400FXが決定打となり、以後ライバル社のモデルはこのエンジン形式を踏襲。ヤマハはXJ400(DOHC2バルブ 45ps/10000rpm)を1980年に、スズキはGSX400F(DOHC4バルブ 45ps/10000rpm)を1981年に登場させ、400ccクラスでの並列4気筒+DOHCの人気に追従することとなる。
スーパーホークIII登場:ホーク系ツイン最後の切り札
そのような状況にあってなお、ホンダはホーク系並列2気筒の優位性を簡単に諦めたわけではなかった。並列4気筒DOHC400ccモデルの用意も進めつつ(実際ホンダは1981年にCBX400Fを登場させ、販売面で大成功を収める)、スタイルを変え、品を変え、ホーク系モデルの延命を試みたのだ……
※本記事は2022年4月14日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
無事故・無違反で居続けるためには、日頃から事故に遭わない・起こさない、違反をせず安全運転を心がけるという「意識」が大切 日頃からクルマやバイクを運転しているなら、長い間、無事故・無違反で居続けるのは簡[…]
ヤマハ SR400とSR500「100ccの差はストローク違いによるもの」 1976年発売のデュアルパーパス車XT500用のエンジンをベースに、当初フラットトラッカー風ロードスポーツとして企画されたS[…]
94モデル(MC28)から採用された「カードキーシステム」 電気(電装関係)にまつわる秘密や伝説が多いのも、ホンダNSR250Rの面白さである。「ハチハチでは配線を1本抜けばリミッターカットできる」と[…]
「マウンテントレール」を提唱した新ジャンル:第一世代セロー225(1985~1989) 初期型セロー225のカタログは、ふたつ折りの中とじ2枚もので計8ページ。静かな山奥を想像させるシンプルな表紙に引[…]
並列4気筒エンジン:ホンダ ドリームCB750Four(1969年) イタリアのOPRAというメーカーの空冷OHCが並列フォアの始まり。この技術の権利を同じイタリアのジレラが購入して、空冷&水[…]
最新の関連記事(バイク歴史探訪)
ボクサーエンジンの誕生、最強バイクとして世界中でコピー BMWといえば、2輪メーカーとしてスーパーバイクS1000系からボクサーのRシリーズなど、スポーツバイクで世界トップに位置づけられるメーカーだ。[…]
軽二輪の排気量上限=250ccスクーター登場は、スペイシー250フリーウェイから ホンダPCXやヤマハNMAXなど、ボディサイズは原付二種クラスでありながら排気量150〜160ccの軽二輪スクーターを[…]
1965年までは“クルマの免許”に二輪免許が付いてきた 80歳前後のドライバーの中には、「ワシはナナハンだって運転できるんじゃよ、二輪に乗ったことはないけどな(笑)」という人がいる。 これは決してホラ[…]
生産台数の約7割を占めた、ハーレーの“サイドカー黄金時代” 1914年型のハーレー初のサイドカー。ミルウォーキーのシーマン社がカー側を製作してハーレーに納入。マシン本体にはカー用のラグが設けられており[…]
ハーレーダビッドソンは3輪モデルも作っている 「いつかはハーレー」などと言われるように、憧れのバイクメーカーとして知られるハーレーダビッドソン。 多くの人にとって、ハーレー=大型バイクのイメージしかな[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車 | ホンダ [HONDA])
往年のCBを思わせる伝統のカラーリング 2020年モデルのCB1300 SPシリーズに追加されたのは、1980年代に販売されたCB750Fシリーズ(海外ではCB900FやCB1100Fも)の中でも、青[…]
4年ぶりのフルモデルチェンジだった 2018年モデルが発売されたのは、2018年4月6日のこと。フルモデルチェンジだったこともあり、外観からして第2世代とは異なることが明らかだった。これは、2017年[…]
ホンダ初の市販ターボ【1981 ホンダCX500ターボ】 時は1980年代。本車が”省エネ目的”というお題目で当時の陸運局を”陥落”させ、日本にもターボの時代が訪れた。これを追うように各バイクメーカー[…]
1984年にツインチューブフレームを採用していた これはホンダウェルカムプラザ青山で1989年8月に開催されたイベント「MOVE」に出品されたプロトタイプのCR-1。モトクロッサー、CR500Rのエン[…]
走りを追求したホットバージョン追加に湧いた! 2019年型CB1300シリーズが正式発表されたのは、2018年7月8日のこと。この年から上級グレードである、SPが追加された。前後にオーリンズ社と共同開[…]
人気記事ランキング(全体)
ASEANモデルのプレミアム化を推進するヤマハ 以前からスクープ情報をお届けしているとおり、WR155シリーズやYZF-R15などが200ccに進化して登場することになりそうだ。 国内のヤマハから公道[…]
Q:雪道や凍結路は通れるの? チェーンやスタッドレスってある?? 一部の冒険好きバイク乗りと雪国の職業ライダー以外にはあまり知られていないが、バイク用のスノーチェーンやスタッドレスタイヤもある。 スタ[…]
4年ぶりのフルモデルチェンジだった 2018年モデルが発売されたのは、2018年4月6日のこと。フルモデルチェンジだったこともあり、外観からして第2世代とは異なることが明らかだった。これは、2017年[…]
いざという時に役に立つ小ネタ「結束バンドの外し方」 こんにちは! DIY道楽テツです。今回はすっごい「小ネタ」ですが、知っていれば間違いなくアナタの人生で救いをもたらす(大げさ?)な豆知識でございます[…]
スマートライドモニターがスマートフォン化! 2023年、業界に先駆けて登場した、Akeeyoのスマートライドモニター「AIO-5」。その後継機となるAIO-6が、2025年3月末からクラウドファンディ[…]
最新の投稿記事(全体)
Moto3、Moto2に続き、最高峰MotoGPクラスにも 昨晩(日本時間3月6日午後7時過ぎ)、レース関係者ならびにレースファンの間に激震が走った。 現在、ワールドスーパーバイク(WSBK)、ワール[…]
シルバーメッキにロゴプレートつきで高級感あり ホンダ モンキーが、3Dで作りこまれた亜鉛ダイキャスト製のキーリングとして登場。キャムショップが手かける3Dキーチェーンシリーズは、スーパーカブ 50、ス[…]
振動を軽減するクロスバランサー採用の2気筒ネイキッド スズキは「GSX-8S」の2025年モデルを発表。従来のカラーバリエーションを一部継承しながらもフレーム&ホイール色の変更などにより、3色の全てが[…]
ツインエンジンの大型レブル、アメリカンテイストを増してマイナーチェンジ! ホンダは、270度クランクの1082cc並列2気筒エンジンを搭載する大型クルーザーモデル「レブル1100」シリーズにマイナーチ[…]
無事故・無違反で居続けるためには、日頃から事故に遭わない・起こさない、違反をせず安全運転を心がけるという「意識」が大切 日頃からクルマやバイクを運転しているなら、長い間、無事故・無違反で居続けるのは簡[…]