
●文:モーサイ編集部(坂口靖監修)
当ててそのまま走り去られる“当て逃げ”
「当て逃げ」とは、車両同士の接触などで物損事故を起こしたにもかかわらず、警察に報告することなく、そのまま走り去ってしまう行為を指します。
しかし、相手車両にぶつけた事実に気づかず、あとで自分のクルマに傷が付いていることを知って、罪悪感から警察にその経緯を話した…。もしくはドライブレコーダーなどによる証拠で相手から指摘された…。そんな場合、運転者は“当て逃げ”となるのでしょうか?
百歩譲って、すり傷のような接触があっても、ぶつけた衝撃も弱いでしょうし、「気付かなかった」という言い分であれば、無罪になる可能性もある気がします。
そこで、刑事事件や交通事故に詳しい坂口靖弁護士に尋ねました。
当て逃げされたら相手の車両/ナンバーを特定することが大切
──まず基本的に、当て逃げ被害に遭った場合、相手に修理費用などを請求することはできるのでしょうか?
相手の過失によって生じた物損被害であれば、当然加害者である相手に対し修理費用等の損害賠償請求はできます。
しかし、いわゆる当て逃げの場合、相手がどこの誰だかわからないという理由もあって、泣き寝入りせざるを得ないケースがとても多いです。
したがって、当て逃げ事故においても、相手の車両やナンバーなどを特定することが極めて重要です。
ただし、当て逃げ被害にあったとしても、その事故の責任が100%当て逃げをした側の責任になるわけではありません。あくまでも過失割合については、一般的な交通事故同様に状況に応じて決められるので、その点は注意が必要です。
相手車両にぶつけた自覚がないまま走り去った場合はどうなる?
──もし相手車両にぶつけた自覚がないまま走り去ったあと、ドラレコなどで当てた事実が発覚する。もしくは加害者自らが罪を自白した場合、“当て逃げ”ということになるのでしょうか?
まず、当て逃げというのは、道路交通法における「報告義務違反」(道路交通法72条/119条10号)という犯罪が成立する可能性(3月以下の懲役または5万円以下の罰金)があります。
ですが、“衝突した事実に気付かなかった”というケースであれば、“報告義務の前提となる事故の発生を認識していなかった”ことになりますので、この犯罪は成立しません。
とはいえ、なぜ気付けなかったのかなど、具体的な内容については当事者同士では分かりませんので、その場合は警察による捜査対象となり、事情聴取等を受ける可能性は否定できません……
※本記事は2021年12月17日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
日本語表記では「前部霧灯」。本来、濃霧の際に視界を確保するための装備 四輪車ではクロスオーバーSUVのブーム、二輪車においてもアドベンチャー系モデルが増えていることで、「フォグランプ」の装着率が高まっ[…]
Z1とともに、CB750Fourを挟み撃ちするねらいで生まれた、Z1ジュニア=Z650 公害やマスキー法、オイルショックなどが社会問題として声高に叫ばれ始めた1970年代、カワサキは2サイクルのマッハ[…]
意外なる長寿エンジン「ザッパー系」が積み重ねた31年の歴史 2006年12月、ゼファー750ファイナルエディションの発売がアナウンスされ、1990年初頭から続いたゼファー750の16年におよぶ歴史が幕[…]
白バイがガス欠することはあるの!? 今回は、「白バイが警ら中にもしもガス欠になったら!?」について、お話したいと思います。結論を先に言うと、ガス欠にならないように計画を立てて給油しています。 私も10[…]
1998年登場のロングセラーモデル、ホンダCB1300シリーズの魅力とは? 今回は、私が白バイ隊員として約10年間、ホンダ CB1300に乗ってきた経験や感想を交えて、CB1300シリーズをお勧めする[…]
最新の関連記事(Q&A)
A:どちらも不具合。後ろはアフター、バックは戻ると覚えるべし 未燃焼ガスがシリンダー外で燃えるという意味では、どちらも同じ”不調”を表している。アフターファイアーはマフラー側に流れた未燃焼ガスが引火す[…]
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
A.慣れたコーナーには先が見えている安心感で、そこそこアベレージ高くコーナリングできる満足感を楽しめます。でも慣れているからこそ潜んでいるリスクも考えましょう。知らない道のほうが楽しいといえる走り方こ[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]
人気記事ランキング(全体)
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ 電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンド[…]
アウトローなムードが人気を呼んだフルフェイスがついに復活! 6月3日付けでお伝えしたSHOEIの新製品『WYVERN(ワイバーン)』の詳細と発売日が正式に発表された。 1997年に登場したワイバーンは[…]
バイクツーリングにおすすめの都道府県ティア表 バイクツーリングの魅力は、ただ目的地に行くだけでなく、そこへ至る道中のすべてを楽しめる点にある。雄大な自然が織りなす絶景、心地よいカーブが続くワインディン[…]
水冷Vツイン・ベルトドライブの385ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収める中国のバイクメーカー・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが、新種のオ[…]
東洋の文化を西洋風にアレンジした“オリガミ”のグラフィック第2弾登場 このたびZ-8に加わるグラフィックモデル『ORIGAMI 2』は、2023年1月に発売された『ORIGAMI』の第2世代だ。前作同[…]
最新の投稿記事(全体)
日本でも正式発表が待たれる400ccオフロード/スーパーモト スズキは、昨秋のEICMA(ミラノショー)にて、新型400ccデュアルパーパスモデル「DR-Z4S」およびスーパーモトモデル「DR-Z4S[…]
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場 発売は2003年7月4日。2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随[…]
今年発表されたばかりの最新キャンパー。ホテル代を考えたら検討の価値あり トイファクトリーが運営しているキャンピングカーレンタルサービス「ShareCamper(シェアキャンパー)」は、フィアット・デュ[…]
現代の耐久レーサーはヘッドライト付きのスーパーバイクだが…… 近年の耐久レーサーは、パッと見ではスプリント用のスーパーバイクレーサーと同様である。もちろん細部に目を凝らせば、耐久ならではの機構が随処に[…]
高回転&高出力主義の権化 250クラスでも高性能な直4を望む声が高まっていた’80年代前半、スズキが世界初の250cc水冷直4エンジンを搭載した量産車、GS250FWを投入。以降、ヤマハ、ホンダが追随[…]