
●レポート:山本晋也 ●記事提供:モーサイ編集部(小泉元暉)
なぜタペット音が発生するのか?
エンジンをかけたとき「カチカチ」「カタカタ」といった一定リズムの音がエンジンから聞こえてきたとしたら、それは「タペット音」である可能性が高い。
4サイクルエンジンは、カムシャフトによって吸排気のバルブを駆動し、シリンダーの入り口や出口を閉じたり開けたりすることで、吸気や排気を行っている。
そのカムシャフトとバルブの間に置かれているのがタペット(バルブリフター)と呼ばれる部品。そのタペットが由来で、発生しているノイズを指している言葉だ。
カムシャフトを持たない2サイクルエンジンではタペット音はそもそも発生しないので、2サイクルエンジンで「カチカチ」とした音がするのであれば、ここから先に記すタペット音の発生原因とは異なる。
異音の原因解明は非常に難しいので断言はできないが、エンジン始動直後であれば、冷えた状態で”ピストンとシリンダーのすき間が大きい”ことに由来する正常な音。走行後に聞こえるようなら軽い焼き付きの可能性があるので、プロショップなどに見てもらうといいだろう。
カムシャフトとバルブのすき間を埋めることができない理由
それはさておき「カチカチ」と音が聞こえる4サイクルエンジンのタペット音もエンジンが暖まってくると、徐々に小さくなってくるのが正常な状態だ。
なぜなら、バルブまわり(動弁系)のパーツのほとんどは金属製で、エンジンが暖まってくるとわずかながら膨張するからだ。そのため、冷えた状態でクリアランス(すき間)をゼロにすることはあり得ない。
前述したように、エンジン始動直後にタペット音が聞こえてくるのが正常というのはそういう意味だ。適切に暖機が進むと、各部のクリアランスが小さくなりタペット音が消えるわけだ。
OHC(オーバーヘッドカムシャフト)の場合、構造的にはカムシャフト/タペット/バルブとなっているか、カムシャフト/ロッカーアーム/バルブとなっていることが多い。OHV(オーバーヘッドバルブ)ではカム/タペット/プッシュロッド/ロッカーアーム/バルブと構成要素が増える。
いずれにしても、カムシャフトとバルブの間にはタペットという部品が存在する。機械を正常に動かすために、部品間には適切なクリアランス(すき間)が必要なのだ。
カワサキ「Z1」の903cc空冷並列4気筒エンジン(1972〜)。バルブ駆動はDOHCで、2バルブ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(カスタム&パーツ)
機能美を実現したナップス限定ビレットパーツが登場 カワサキZ900RSは、最高出力111ps/8500rpmを発揮する水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ、948ccエンジンを搭載したネオクラシ[…]
戦闘力を高めるヘッドギア「ダインギア ヘッドアーマー」 クロスカブ110の個性をさらに際立たせ、カスタムの方向性を決定づけるほどの高いデザイン性を持つパーツが登場した。それがダイバディプロダクションが[…]
ベースはスピード400、コンセプトは伝説の継承 バイパー400は、モダンクラシックロードスターであるスピード400の技術的基盤を出発点としつつ、新しくダイナミックでアグレッシブな方向性で再構築したとい[…]
ザ・キングスマン (Kingston Custom)──全長4メートルのストリームライナーに変身したショットガン650 キングスマンは2014年に作られたスパイ映画で、ドイツのビルダーのキングストン・[…]
色褪せないヘリテイジ、進化する「Z」の系譜 2017年秋の東京モーターショーで世界初公開されて以来、Z900RSは常にライダーの注目の的であり続けている。その最大の魅力は、往年の名車Z1/Z2への敬意[…]
最新の関連記事(モーサイ)
「一時停止違反」に、なる!/ならない!の境界線は? 警察庁は、毎年の交通違反の取り締まり状況を公開しています。 最新となる「令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等につい[…]
悪質な交通違反の一つ、「無免許運転」 今回は無免許運転をして捕まってしまったときに、軽微な違反とはどのような違いがあるのか紹介していきます。 ■違反内容により異なる処理無免許運転の人が違反で捕まった場[…]
きっかけは編集部内でのたわいのない会話から 「ところで、バイクってパーキングメーターに停めていいの?」 「バイクが停まっているところは見たことがないなぁ。ってことはダメなんじゃない?」 私用はもちろん[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
人気記事ランキング(全体)
火の玉「SE」と「ブラックボールエディション」、ビキニカウルの「カフェ」が登場 カワサキモータースジャパンは、ジャパンモビリティショー2025で世界初公開した新型「Z900RS」シリーズについてスペッ[…]
16日間で211万着の「メディヒール」が物量攻勢で復活 ワークマンが展開するPBリカバリーウェア「MEDIHEAL(メディヒール)」シリーズが、いま爆発的なヒットを記録している。2026年、秋冬商戦に[…]
ライバルを突き放す90°Vツインと高剛性に低重心の新次元を構築! ヤマハRZ250の切り開いた2スト復活劇から、レーシングマシンのレプリカブームへとエスカレートさせたのは、1983年のスズキRG250[…]
経済性と耐久性に優れた素性はそのままに、ブレーキ性能を向上 ホンダはタイで、日本仕様のキャストホイール+ABSとは別ラインになっているスーパーカブ110(現地名:スーパーカブ)をマイナーチェンジ。新た[…]
アドベンチャールックは伊達じゃない! 大型バイザーの恩恵 まず目を引くのが、オフロードテイストを感じさせる大型ピークバイザーだ。これは単なるファッションではない。 直射日光を遮る“ひさし”としての機能[…]
最新の投稿記事(全体)
日本発のトランスフォーマブル・バイク「タタメルバイク」 タタメルバイクは、日本のものづくりの精神と、自由な発想が融合して生まれた「持ち運べるパーソナルモビリティ」だ。最大の特徴は、その名の通りの折り畳[…]
〈1978年3月〉SR400[2H6]/500[2J3]:ロードスポーツの原点 1976年に発売したオフロードモデルのXT500のエンジンとフレームをベースに、トラディショナルなロードスポーツとして登[…]
何でもありルールに世界のメーカーが飛びついた WRCグループBカテゴリーは1982〜86年まで続いたラリー競技。レース好きならご存じの通り、レギュレーションはほぼ「何でもあり」的なニュアンスでした。レ[…]
レーサーポジションでもツーリングするカルチャーを育んだGSX-R1100! 1985年、サーキット最速を目指した新世代の油冷エンジンに超軽量なアルミ製ダブルクレードルのスーパースポーツ・GSX-R75[…]
タフネスと優しさを両立した水冷エンジン「シェルパ450」 インド北部にそびえるヒマラヤ山脈は、ロイヤルエンフィールドにとって、ひいてはインド人にとって、いつでも憧れの旅路だ。そんな憧憬が表れているモデ[…]
- 1
- 2






































