20年もののチェーンが超音波洗浄機で新品同様になった![DIYお役立ちレビュー]
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サンデーメカニックたちよ、超音波洗浄をゲットするのです! といっても、「超音波洗浄機」って聞くとメガネや貴金属を洗うイメージが強いかもしれません。でも、実はバイクメンテナンスにも非常に有効なアイテムなんですよ。てことで今回は、長年放置されて固着してしまったドライブチェーンの洗浄を例に、その性能をシェアしたいと思います。これを見てほしくなったらぜひゲットすべし!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
超音波洗浄機の有用性をお見せしたい
(……聞こえますか…聞こえますか…サンデーメカニックのみなさん…今…あなたの心に…直接…呼びかけています…部品を綺麗にしたい方は…超音波洗浄を…ゲットするのです…ゲットするのです…!)
いきなりですが、デッドストックの箱の中からドライブチェーンを発見しました。
DIDの420サイズのノンシールタイプのドライブチェーン。箱入り、未使用。まごうことなき新品のチェーンなのですが、箱から出して開封してみるとその動きにびっくり。
20年ほど放置されていたようで、未使用ながらも油が硬化して中古品よりも状態が悪いという状態でした。
動きが悪いなんてものじゃない。リンクのほとんどがまともに動かないから、無理やり広げても「ギギギ・・・」と棒状に動く始末。なんじゃこりゃ! こりゃダメだろう・・・。
フリクションを低減するはずのオイルが、劣化しすぎてまさにフリクションの原因になっている状態。まさに【抵抗のカタマリ】です!
出でよ、超音波洗浄機!
古くなったオイルは原因ならその油を取り除けばいい。だけど形状は複雑なドライブチェーン、手作業で洗うのは大変だし時間がかかる・・・とくれば、コイツの出番でしょう。
超音波洗浄機!
「超音波洗浄機」は、超音波を発生させることで、細かな汚れや固着した油分を分解し、除去することができます。一般的には水や適した洗剤を入れ、対象物を浸して超音波を当てることで洗浄します。
超音波洗浄機の働きの原理は、水や洗浄液の中に超音波を発生させることで、液体内で微小な気泡が発生し、それが瞬間的に崩壊する「キャビテーション」という現象を利用しています。この気泡の崩壊が生み出す強力なエネルギーが、物体の表面や細かな隙間に入り込んで、汚れを剥がし取ります。
つまりはブラシで洗うのとは別物で、外からだけではなく水が入りさえすれば内部にもその効能があるということ。ドライブチェーンのような複雑な形状を持ったものには最適と言えるわけです。
しかも、今回使用したのは「加温機能付き」のモデルなので、熱の力で古いオイルを軟化させつつ超音波の力で奥深くまで洗浄してくれるので、期待大! なのですよ。
チェーンの超音波洗浄レッツゴー!
今回は中性洗剤を使用しました。
食器用洗剤と言うと弱そうなイメージですが、これまでの経験上、超音波と加温の相乗効果で界面活性剤の力を最大限に引き出すことができます。これが侮れない洗浄効果を発揮するのでまあ見ててください(ニヤリ)。
チェーンの動きがあまりにも悪いので全体を浸すことはできませんね・・・。仕方なく半分ずつ洗うことにしますが、ビフォーアフターを比べるにはかえって好都合かもしれません。
温度は80度、手始めに30分でトライしてみましょうか。
それでは、スタート!
「ブーーーーン・・・」という、超音波特有の音が出始めて、浸かっているチェーンの周りからみるみる細かい泡が発生します。
同時に隙間からまるで湧いてくるかのように汚れが出てきて、またたく間に洗浄液が黒く濁ってきて、同時に発生する細かい泡に包まれました。汚れが落ちてる、落ちてる。いつもながらこれを眺めているとワクワクします。
さぁ、超音波たちよ。その強力な洗浄力で垢にまみれた古いドライブチェーンを思う存分清めるがいい!
そして30分後、その結果をご覧ください!
30分が経過しました。
洗浄液は真っ黒。チェーンを取り出してみてから、洗浄液に浸っていたところと表面に出てたところを分けるとこんな感じ。
全然違う!
表面の汚れが落ちている以上に、チェーンのリンクの内部も同様に汚れが落ちているのがよく見て取れます。そして、残りの半分も洗浄すると洗浄液はこんなに汚れました。
これだけの油がチェーンの内部に入り込んでいたということですね。そして洗浄が終わったチェーンはというと、すっかり綺麗になりました!
すごい、すごい。見た目が綺麗になっただけじゃなくて動きも非常に滑らかです。
最初の状態ではシールチェーン以上に動きが悪かったのが、洗浄後はノンシールチェーンらしい滑らかな動きになりました。リンクの一つ一つがちゃんと動いてくれます。自由に動くのでくるっと巻くのも簡単。
超音波洗浄機、恐るべし!
いかがでしょうか? 今回はノンシールチェーンの洗浄という形で超音波洗浄機の洗浄能力を皆様にお見せすることができました。
すでにお察しのことと思いますが、洗浄液さえ入れば、裏側だろうがパイプの中だろうが細かな通路の中だろうが編み目の中だろうが、その全てが超音波洗浄の対象になるので、複雑な形状であればあるほどその洗浄力は遺憾なく発揮されるわけです。そう考えると洗いたいものはどんどん浮かんできますよね!
また洗浄したいものが出てきたら超音波洗浄機レポートやってみたいと思います。この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
(おあとがよろしいようで)
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