
ベアリングの交換って難易度高いですよね。取り外しには特殊工具が必要だし、圧入する時は叩いちゃいけない場所があったりして気を遣います。でも、そのベアリングを「ポン!」と抜いて「スポッ」と入入れることができたらどんなに楽ちんでしょう? ってことで、この冬だからこそできる「秒で終わる!ベアリング交換」にトライしてみます~!
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
ベアリング交換は難易度が高い
今回はベアリング交換がテーマです。
ちょうど今エンジンをオーバーホールしているのですが、エンジン内部は小さなものから大きめのものまで様々なベアリングが使われてます。
交換するベアリングとオイルシールたち。
取り付け場所も様々で、裏から叩ける場合があれば、奥まったところにある場合もあって、場所によっては特殊工具(ベアリングプーラー)が使いづらい場所もあるのですよ。
そして圧入する時もプレス機がなければ叩くしかないのですが、たたき方を間違えるとダメージ与えてしまうので、これまた特殊工具を使って均一にかつ正確にだけどシッカリと叩きこまないといけなかったりして。正直、ベアリング交換は・・・「面倒くさい」!!
てことで、ベアリングを手抜きするのです
手抜きをします。楽しちゃいます。
といっても、雑な作業をするのではなくて、より効率よくてかつ精度の出しやすいやり方をしちゃいます。さっそくやってみましょう!
冷凍庫に入れて冷やす!
まず、圧入するベアリングは「冷やし」ます。冷却です。理想をいえば冷凍庫に入れちゃいます。それが最強。そのワケは、ベアリングを冷やして縮ませるのが目的だからです。
注意点があるとすれば、奥様の承諾をちゃんととっておくこと! なにせ食料品を入れる場所にベアリングなんかいれちゃうわけなので、黙って入れたのをバレたりしたら、そりゃもうオオゴトです(奥様の許可は大切ですよ!)。
それと、クランクケースのシール類は外します。今回のやり方だと溶けたり焦げたりするので。なんたって今回はクランクケースを加熱して「熱膨張」を利用するからです。
熱膨張を利用したベアリング交換の威力をご照覧あれ!
ベアリングの圧入時に、嵌め込まれる側を加熱して熱膨張で大きくすることによってベアリングをはめやすくする、という方法があります。今回は、ベアリングを抜くところからその熱膨張を利用してやろうってスンポーです。
加熱するといっても、バーナーで炙ったりヒートガンを吹き付けるようなケチな真似はしません。もっと豪快に一気に加熱します。
てことで登場していただきましょう。石油ストーブ、どん!
さっそく点火して、クランクケースをそのままごん! と載せちゃいます。
なんたって石油ストーブですから熱量がすごい。ものの5分も経たないうちに、クランクケースから熱を感じるようになりました。そうなったらもう準備オッケー。
あっという間に終わるベアリング抜き取り作業
なにせ、クランクケース全体が熱々なので火傷にご注意ください。プライヤーなどで掴んで、定盤または鉄板やブロックの上などに降ろします。
ベアリングを叩いて抜きたいので、クランクケースをひっくり返して、叩き出し用のソケットを載せたら・・・?
「コロンッ」
ソケットの重さでベアリングが抜けちゃった!
一個目のベアリングは叩かずして抜けちゃったので、すぐ次のベアリングに取り掛かります。クランクケースが熱いうちに作業を進めるのです。
二個目のベアリングは、今度は裏から叩けないタイプ。
冗談半分で、ピックツールをひっかけてみたら・・・
「スッポン!!」抜けた!(っていうか跳んだ~!!!)
冗談みたいですが、実話です。
クランクケースが温められて膨張することにより、目に見えない程度の寸法ではあるのですが、ベアリングにとってはスコスコになるほどの隙間ができたようです。すっげぇ・・・。
お次はベアリングの圧入! さぁ、どうだ!?
ベアリングが冷えた頃合いです。
冷凍庫から出したら真っ白になりました。キンキンに冷えてやがります・・・! こりゃ、期待できるかな?
再び加熱したクランクケースを台に置いて、ベアリングを載せます。
圧入するために叩こうとすると・・・
「コパコッ」
ハンマーが当たった瞬間に入っちゃいました。
一発叩いた ・・・ いや、叩けてない。当てただけです。てことで、「0.5叩き」で入っちゃいました・・・!
他にも、ベアリングを置いただけで入ってしまったり、一度入ったベアリングが、ひっくり返したらまた抜けてしまったり。とにもかくにも、これまでの苦労が何だったの?ってくらいに簡単にベアリングが入っちゃいます。
荒っぽいようだけど意外に圧入の精度が確保できてる!?
こんなんで本当に大丈夫? と思ってしまいますが、クランクケースが冷めると当然のことながらベアリングはちゃんとシッカリ圧入されてます。圧入の際に叩いてないので当然ダメージはゼロ。
また石油ストーブに直に置いたことで熱の歪みが心配されるところですが、今回のような形状のエンジンならば、逆に全体をまんべんなく温められることによって、むしろ歪みがなかったようです。
その点で考えると厚みが極端に違ったり、形状が複雑なクランクケースの場合はまんべんなく加熱できるように工夫する必要があるかもしれません。
でも、何はともあれ・・・
今回は本当にあっさりと、まさに拍子抜けするほど簡単にベアリング交換をすることができました。このアッサリ感はくせになるほど快感なので、もしよかったら皆様もトライしてみてください。おもわず笑っちゃいますよ~。
そんなわけで、この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
動画解説はこちら↓
(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
セルが弱くなったらバッテリー交換のサイン スクーターのバッテリーが弱ってきたのか、始動性がイマイチになってきました。 そういえば、このバッテリーもずいぶんずいぶん古くなってきたので、バッテリーを買い替[…]
新品タイヤが滑るその理由 新しいタイヤは滑ります。 滑りたくないから新しいタイヤに交換したというのに、なぜか新しいタイヤはマジで滑るんです(経験者は語る)。 なぜ滑るかというと、それはタイヤの製造過程[…]
場所によっては恒例行事なバイクの冬眠(長期保管) 「バイクの冬眠」…雪が多い地域の皆様にとっては、冬から春にかけて毎年恒例の行事かもしれませんね。また、雪国じゃなかったとしても、諸事情により長期間バイ[…]
燃料コックにも涙? それはある日の出来事。バイクで走り出そうとガソリンタンクの燃料コックをオンにした時、指先に冷たいものを感じました。 何があるのかと覗き込んでみると・・・燃料コックが泣いているぅ~![…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
入れないとどうなる?フロントフォークのオイル はいどうも、みなさんこんにちは。本日は愛車DT50のフロントフォーク定期メンテナンスをやっております。 トップのキャップボルトを外してカラーを取り出して、[…]
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
Honda純正オイルは新ブランド「Pro Honda」へ Hondaのバイクのエンジン性能を100%発揮させる純正オイルが、2025年4月より新ブランド「Pro Honda(プロホンダ)」として生まれ[…]
バイクバッテリー上がりの原因とは? エンジン始動時のセルモーター駆動やヘッドライトの常時点灯、ABS制御、デジタルメーターなど、バイクは高性能化するにつれてバッテリーの負担がどんどん増加していきます。[…]
古いゴムは硬化するのが自然の節理、だが・・・ ゴム部品は古くなると硬くなります。これは熱・酸素・紫外線などによる化学変化(酸化劣化)で、柔軟性の元である分子の網目構造が変化したり、柔らかくする成分(可[…]
人気記事ランキング(全体)
火の玉「SE」と「ブラックボールエディション」、ビキニカウルの「カフェ」が登場 ジャパンモビリティショー2025でカワサキが新型「Z900RS」シリーズを世界初公開した。主軸となる変更はエンジンまわり[…]
KATANAというバイク 一昨年のこと、キリンと同じ年齢になったことをキッカケにKATANA乗りになったYです。 ノーマルでも十分乗り易いKATANAですが、各部をカスタムすることで、よりカタナ(GS[…]
外観をスタイリッシュにリニューアルしたトリシティ125 前回のトリシティ300に続き、今回試乗を行うのも前2輪を持つLMWシリーズのトリシティ125。ちなみにLMWとは、リーニング・マルチ・ホイールの[…]
グランプリレースの黄金時代が甦る! 1970年代~80年代にかけて伝説的なアメリカンライダーのケニー・ロバーツ氏が走らせたYZR500は、イエローのストロボライン(ヤマハは現在スピードブロックと呼称)[…]
最新の投稿記事(全体)
オートバイの交通事故死傷者を減らす切り札 近年、交通事故における死傷者数は減少傾向にあるものの、オートバイ(自動二輪車)乗車中の死亡率は依然として高い水準で推移している。オートバイはクルマに比して車体[…]
フロントまわりの軽さも操縦しやすさに大きく貢献 猛暑が続いていても、やっぱりバイクに乗りたい…というわけで、今月はCB750 HORNETでプチツーリングしてきました! このバイクは、アドベンチャー系[…]
ドライグリップを最大化した公道用タイヤ 2020年の年初に発売され、各メーカーのスーパースポーツマシンにOEM装着されてきたレーシングストリートRS11に後継モデルが登場した。 新作のバトラックスレー[…]
気鋭のクルーザー専業ブランドによるカスタムクルーザー 以前に試乗記事などをお届けしたBENDA(ベンダ)がいよいよ本格上陸する。日本での輸入販売を手掛けるウイングフットより取り扱い開始が発表されたのだ[…]
Z1100とZ1100 SEの国内販売を正式発表 先に欧州で発表されたスーパーネイキッド“Zシリーズ”の長兄たるZ1100 SEがジャパンモビリティショーで日本初公開され、国内販売画正式発表された。ス[…]
- 1
- 2
















































 
   
   
   
   
   
   
   
  










 
   
   
   
   
   
  