2サイクルエンジンの吸排気ポート形状を可視化するアナログだけどスマートな方法【2ストボアアップ】

排気量あげてもピークパワーが下がってしまった謎のボアアップシリンダー。その謎を調べるべく2サイクルエンジンの吸排気ポート形状を平面図に起こしてみました。やり方はいたって簡単。だけど平面に起こしてみないと気付かないことがあったので皆様にもシェアいたします~!やっぱり2サイクルエンジンは奥が深くて面白いぞ♪
●文/まとめ:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
ボアアップでピークパワーがダウンしたシリンダーがコチラ
こちらにありますのは、先日の記事「【2スト】排気量上げてもパワーダウン? 激安ボアアップキットの罠」に登場したシリンダーです。
このシリンダーを実際にエンジンに組付けて走ってみたところ、「排気量上げてもパワーダウンするかもよ?」と思っていたら・・・
まさにその通りになってしまいましたっ!
確かに15cc排気量が上がった分だけトルクは増しているのですが、最高回転数が1500回転ほど下がってしまい、2サイクルエンジンの命であるパワーバンドも1000回転ほど下方修正されてしまったのですよ。
乗りやすくはなったけども、フィーリングはまるで4サイクル。これじゃあ2サイクルマシンに乗っている意味がないということでポート加工をしてみることにしました。
だけど、チョットマテ。
ノーマルシリンダーに比べて排気ポートが約2ミリ低いってとこまではわかっているのですが、ポート形状の違いまではわからない。もっといえば、排気ポート以外の吸気ポートとか他ポートの位置も形状もわからないのですよ。
なんたってシリンダーは筒状になっているわけで、上から覗いても下から覗いても正確な形状を把握することをほぼ不可能なのです。
平面化してポート形状を可視化!
じゃあどうするかといえば、答えはカンタン。吸排気ポートの位置、形状を正確に把握したければ「平面図」に起こしてしまえばいい。
以前からやり方は知ってはいたけども実際にやる機会がなかったので今回やってみることにしました。筒形形状の平面図化って、面倒なイメージでしたがこれがまた簡単だったんですよ!
算数を思い出そう! 円周の計算方法は?
シリンダーのぐるり一周、円周を算出します。
シリンダーがそれぞれ、直径40mmとΦ46mmなので、
円周=直径×円周率から…
40×3.14=125.6mm
46×3.14=144.44mm
縦方向は、シリンダーのトップからスカート下端までの寸法にして、二枚の紙を切り出しました。
その紙を丸めて、
シリンダーの中に入れて、
動かないようにマスキングテープで固定します。
この際、紙の切れ目部分が大きなポートの真ん中に来てしまわないように気を付けます。比較のために、両シリンダー同じ場所に合わせるとあとあと比較しやすいですね(←筆者は失敗しかけました)。
まずは指でシリンダー内部を擦ります。これだけでもポート形状を写し取ることができますが・・・。
鉛筆、または太いシャーペンの芯をヤスリで削って指につければ、さらにハッキリとポート形状を写し取れますが、粉が多いと真っ黒になってしまうので注意が必要です(←コレも筆者はやらかしました)。
こんなものかな?
あとは紙を引き抜いて、広げてやると・・・
はいっ!ポート形状を平面図化することができました~!
ポート形状まるわかり!全然違うことが判明しました
結論から先に言うと、平面図にして大正解でした。
最初から気になっていた排気ポートだけではなくて、吸気ポートの形状も全然別物。ノーマルシリンダーをボーリングしただけかと思っていたのですが、そもそもベースになってるエンジンが別物であることが判明しました。
そして本題の排気ポートも、高さだけでなくて形状が全然違うことが判明。そもそもこの DT50、初期型と後期型でエンジン特性が違うらしいのですが、このポート形状の違いが特性の違いかもしれません。
いや~面白いなっ! ポート形状の平面図化は面白い。
かなり真っ黒になってしまいましたが排気ポートを比較するとこんな感じ。
このおかげでポートを削る目処がつきました。上から見ても下から見ても形状の違いまではわからなかったので、いきなり削っていたらまさに暗中模索になって泥沼化するところでした。
ちょっと削っては、紙を入れて石刷りをして形状をチェック、それからまた削ってまたチェックと繰り返せば削りすぎになることもないでしょう。
2サイクルエンジンはもう貴重なものになりつつありますが、4サイクルのチューニングとは違ってお金をかけずにパワー特性を変えることができるので、この2サイクルならではの楽しみ方もいいかもしれませんね。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
動画解説はこちら↓
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