滑りやすいマンホール、なぜ道路の真ん中に設置されている?【インフラで避けられない理由も】
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
マンホールが道路の真ん中にある理由は?
雨天時のバイク走行では、晴天時よりもさまざまなことに注意する必要があります。
初心者ライダーがとくに不安になるのが、路面が濡れていることによるスリップ事故でしょう。詳しくは後述しますが、雨が降ると路面に砂/土/ほこりといった汚れが浮き出て、タイヤが滑りやすい状態になります。
雨天時の路面のなかでも、もっとも滑りやすいのがマンホールの上です。金属でできているマンホールは、通常のアスファルトに比べて摩擦力が弱く、タイヤが滑りやすい特性があります。そのうえで雨が降ると滑りやすさも増大します。
一方で、そんな危険スポットともいえるマンホールは道路の真ん中に設置されていることが多いようです。なぜなのでしょうか?
これには、下水管の配置やインフラ設備が関係しています。通常、道路の下には下水管に加えて、電話配線やインターネット回線といったインフラ設備も張り巡らされています。
そうした地下設備全般の保守管理のために、作業員が地下を出入りしており、マンホールは作業員の出入り口として活用されているのです。
出入り口としての設置だけであれば、道路の真ん中を避けることもできそうですが、下水管は道路に沿うかたちで開通されているため、効率よくアクセスするためには、道路の真ん中に出入り口を設置するのがベストなのです。
また、仮に下水管を私有地に設置すると、作業員が容易に立ち入ることができなくなってしまうというデメリットも。公道に設置することで、作業の必要性に応じて適切なタイミングで下水道へアクセスできるのです。
一方で、すべてのマンホールが道路の真ん中に設置されているわけではありません。2車線以上の道路の場合には、左右のどちらかに寄せて設置されていることが多くなっています。
これは、作業の際に作業員や作業車のスペースを確保することを考慮して、左右どちらかの車線だけを規制すれば良いように計算された結果です。地下に建造物がある場合には、ど真ん中にマンホールを設置せざるを得ないこともありますが、交通を妨げないようにできる限りの配慮はされているようです。
マンホールのスリップ対策は? ご当地マンホールで溝をつくる!
そんなマンホールですが、近年では、スリップの危険性を抑制するためにさまざまな対策がとられています。
そのひとつが、マンホールに不規則や複雑な溝をつくるという方法です。そうした方法をとったマンホールのなかでも、日本各地で多く見られるのが“ご当地マンホール”というものです。
例としては、神奈川県横浜市では新年の風物詩のひとつである“箱根駅伝”をデザインしたり、北海道函館市では名産物であるイカをキャッチーにデザインしたり、各地に根ざしたデザインのマンホールが挙げられます。
ご当地マンホールは、一見するとデザイン性だけに特化したものに見えるかもしれませんが、マンホールにデザインに沿った不規則なパターンの溝をつくることによって、タイヤの滑りやすさを抑制する役割も担っています。
ご当地マンホール以外にも、各地では、花をモチーフにしたデザインを施したり、あえて複雑なパターンの溝で制作したり、マンホールの溝の付け方を工夫することでスリップの危険性を抑制しています。
また、マンホールの上でスリップしないためには、ライダーの運転の仕方も非常に重要になります。
急なアクセル/ハンドル/ブレーキは、スリップ事故につながりやすいため、マンホールに差しかかる直前にアクセルを全開にしたり、ブレーキを強くかけたりすることは避け、丁寧かつ慎重な運転を心がけましょう。
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