[旧車バイクメンテDIY] 削り出しパイプとOリングで4連キャブの弱点を克服〈GSX1100Sキャブレタージョイントセット〉
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キースター製燃調キットには、セッティング変更に役立つジェットやジェットニードルに加えて、メンテナンスやオーバーホールに必要なガスケットやOリングなども入っています。しかし、一部機種ではすべてのパーツが揃っていないキットがあるのも事実。とくに4連キャブレターをつなぐジョイントは、分解整備後の組みつけ時に気にしたい部品のひとつです。このたびキースターは、長年にわたり人気が持続しているスズキGSX1100S用キャブレタージョイントを開発しました。この新製品により、4連キャブレターのボディ同士をつなぐジョイントからのガソリン漏れトラブルを解消できます。
●BRAND POST提供:キースター
燃料キット開発時は現物確認と現物採寸が大前提
キースターでは、原付からオーバー1000ccモデルまで、500車種以上のキャブレターに対応した燃調キットを開発してきました。現在でもコンスタントに新製品を発売していますが、それらはすべて素材となるキャブレターの現物があることが開発の前提となっています。
「◯◯用の燃調キットを開発してほしい」というリクエストがあれば、ユーザーやショップなどから現物を借用または購入し、ジェット/ジェットニードル/フロートチャンバー/トップカバーガスケットの形状を確認して、独自に設計図を制作して部品を製造しています。また必要であれば、純正部品を入手して設計製造を行うこともあります。
いずれにしても燃調キットは純正パーツを元に決定されており、各バイクメーカーが純正部品をどのように設定しているかによって、燃調キットの構成内容を左右する鍵を握る面があるのは事実です。
2連または4連キャブレターの多くは、燃料ホースに流れるガソリンをフューエルジョイント/ジョイントパイプなどと呼ばれる部品で各フロートチャンバーに分配しています。
このジョイントには、ボディ挿入部からのガソリン漏れを防ぐためにパイプ端部にゴム製のOリングが組み込まれています。このOリングは多くの場合、ガソリンが接触している間はウェット状態で気密性を保つものの、長期間にわたってガソリンを抜いた状態で保管または放置すると、ゴムが変質してひび割れや切断する場合があります。
この場合、連結したボディを分割してOリングを交換しなくてはなりません。ここでジョイント用Oリング含めたガスケット類をセットにした純正パーツが設定されている場合、それを元に設計を行うことができます。
ところが純正部品の中には、ジョイントのOリングが部品として設定されていない車種や、純正部品が販売終了となっている車種もあります。
その場合、現物が唯一の頼りになることも少なくありません。
フロートチャンバー/バキュームピストン/フランジプレートなどを取り外して、フューエルジョイントとベントパイプだけで連結された状態。4連キャブでフューエルジョイント交換(Oリング交換)を行う場合、4個のキャブボディを分割しなければならず、作業内容はかなり大かかりになる。だが、ジョイント部のガソリン滲みや漏れは大きな事故につながるため、適切な対処が不可欠だ。
販売終了またはOリング単体設定のないスズキGSX1100S用ジョイント
ジョイントパイプ関連で長年にわたり懸案問題となっていたのが、スズキGSX1100Sカタナです。燃調キット自体はずいぶん以前に製品化しており、販売も好調に推移していますが、ここにはガソリンが流れるフューエルジョイントやキャブボディ内部圧力を保つベントパイプ用のOリング類を同梱していません。
その最大の理由は、フューエルジョイントやベントパイプ分に使用されているOリングが純正部品で単品設定されていないためです。カタナ用のフューエルジョイントは、1番と2番キャブ/3番と4番キャブがそれぞれストレートパイプでつながり、2番と3番キャブの間にガソリンホースがつながるT字ジョイントが設置されています。
2本のストレートパイプはアルミ製で、両端にOリングが2個ずつ、合計4個セットされており、T字パイプはパイプとゴムシールが一体化された、モールドタイプのジョイントパイプです。またT型のベントパイプはOリングが2個ついています。
ストレート形状のフューエルジョイントとベントパイプのOリングは、ピックツールなどで物理的に取り外すことはできますが、純正部品ではパイプとセットでなくては購入できません。加えてフューエルジョイントもベントパイプもそれぞれ1個7000円超という純正部品の価格も、修理を行う際に高いハードルとなっています。
さらに悪いことに、モールドタイプのT字ジョイントは純正部品が販売終了となっており、新品の入手が困難です。
連結されたキャブレターボディのジョイント部分からガソリンがにじみ出したり、分解してジョイント部の劣化を発見してしまった場合、諦めてけっこう高価な純正部品を購入するか(T字ジョイントは入手できませんが)、ダメを承知でOリングに耐ガソリン性の液体ガスケットを塗布して再使用するしか対処方法がなかったのです。
2番と3番キャブの間にガソリンホースがつながるT字ジョイントは、シール部分まで一体貸されたモールドタイプで、Oリング交換はできない。また純正部品は販売終了となっており新品交換もできない。
アルミパイプに4個のOリングがセットされたストレートパイプは、1番と2番キャブ/3番と4番キャブの間に挟み込まれている。ピックツールを使えばOリングだけを取り外せるが、純正部品はパイプとセットでしか購入できず、価格も1個7000円以上となかなかの高額パーツだ。奥に見える黒いパーツがベントパイプ。
新車から30年以上経過したゴム製品は劣化していて当然だ。ガソリンに触れた後に乾燥すると硬化してひび割れを起こしやすいようで、ピックツールで軽くつつくだけで容易に割れてしまった。
ベントパイプ(上のT字型2個)とストレートパイプのフューエルジョイントは、まだ純正部品として新品が購入できるが、1個税込7072円で4個で2万8288円! 中央のT字フューエルジョイントは欲しくても入手できないから絶体絶命だ。
真鍮削り出しでパイプを製作して、Oリングを新調したキャブレタージョイントセットを開発
そこでキースターは、独自開発したパイプにOリングを組み込んだGSX1100Sカタナ用キャブレタージョイントセットを開発しました。これまでにカワサキZ1/Z2用/カワサキZ1000/Z750用/スズキGS400用/スズキGSX250E用を製品化しており、今回の1100カタナ用は新たに加わる新製品となります。
大きな特徴は、フューエルジョイントとベントパイプをそれぞれ真鍮で削り出している点です。純正部品のストレートパイプとベントパイプのOリングを交換するという手段も考えられますが、パイプ+Oリングの組み合わせという純正部品と同様の内容で製品化することにこだわって開発しました。
また、このセットはフューエルジョイントとベントパイプがセットとなっており、合計5点のパーツで構成されています。モールドタイプの純正T字ジョイントに関しては、シール部分の交換ができず販売終了となっている部品なので、2番と3番キャブのパイプからガソリンが滲んできているカタナオーナーにとっては朗報となるはずです。
2025年中の発売を目標に開発を行っており、価格は現在のところ未定ですが、純正キャブレターを使い続けたいカタナユーザーは、引き続き販売開始のアナウンスをご期待ください。
2025年中の販売開始を目標に試作テスト中のスズキGSX1100Sカタナ用キャブレタージョイントセット。フューエルジョイントとベントパイプの5ピースセットで発売予定。価格未定。
両端がテーパーカットされた1番と2番/3番と4番キャブ用のストレートパイプ。Oリングも純正と同様の二連仕様を採用。
ベントパイプはガソリンではなく、キャブボディ内部で気化したガソリンの蒸気を外部に排出する。純正部品はキャブボディへの挿入部分にはOリンクが組み込まれており、キースターもその構造を踏襲している。
新品Oリングは挿入するキャブボディに対して反発力が強いので、スムーズに入るようシリコングリスを薄く塗布して組み付けると良い。
T字ジョイントのOリングもシリコングリスを塗布して組み付ける。
劣化した純正Oリングからガソリンが滴るように漏れれば、ニオイやクランクケース上面のガソリン染みなどで早期に分かるだろうが、少しずつ滲む程度では気付くまでに時間がかかることもある。もし愛車のキャブレタージョイントのシール性が低下したら、キースターのキャブレタージョイントセットを活用した補修がおすすめだ。
※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。