[バイクメンテDIY] ホンダの4気筒250cc最終モデル・ホーネットのキャブレターオーバーホール【キースター燃調キット】
ホンダ ホーネットは、1980年代のレーサーレプリカブームを代表するホンダCBR250R/CBR250RR系統のカムギアトレーンを採用した4気筒エンジンを搭載。スチール製モノバックボーンフレームや250ccモデルとしては異例の180サイズリヤタイヤ、センターアップマフラーやボリューム感のあるボディデザインなど、どこをとっても個性的で、現在も高い人気を維持しています。そんなホーネットの吸気系には、4個並んだダウンドラフトタイプのキャブレターが装備されています。CBR250RRほどではないものの、13000rpmで40馬力を発生する高回転型エンジンのポテンシャルを存分に引き出すには、キャブレターのメンテナンスが不可欠。そんな時に役に立つのがキースターの燃調キットです。
●BRAND POST提供:キースター
1996年から10年間にわたって販売されたロングセラーモデル
50ccからナナハンまで大いに盛り上がったバイクブームやレーサーレプリカブームがすっかり沈静化した1996年、250ccクラスに突然登場したのがホンダ ホーネットです。
CBR250R系のカムギアトレーンを採用した4気筒エンジンを搭載したネイキッドモデルとしては、1991年にジェイドが発売されており、ホーネットにはオーソドックスなジェイドとはまったく異なるキャラクターが与えられていました。
ダウンチューブのないバックボーンフレーム、集合したエキゾーストパイプが車体内側に引き込まれ、シートカウル横からレイアウトされたマフラー、さらにリヤに装備された180サイズの扁平ラジアルタイヤなど、ジェイドや当時大ヒットだったCB400スーパーフォアとは異なる路線を選んだホーネットは、好き嫌いがはっきり分かれるモデルでした。
ところがこのホーネット、マイナーチェンジだけで10年間にわたって継続的に販売が続き、2006年末発売の最終モデルが販売終了となって以降も、人気絶版車として中古車市場で流通しています。
長期間にわたって販売された人気モデル、また手軽に乗れる250ccならではの宿命として、複数のオーナーの手を経ていることが多いという問題があります。すると歴代のユーザーが好き勝手にいじることで、調子が悪くなっていることも珍しくありません。
キャブレターに関しても、エアクリーナーボックスやマフラーをカスタムする際に、ジェットセッティングを変更したり、不用意に同調調整用のアジャストスクリューを回してしまったことで、4個のキャブのバランスが悪くなっている例もあります。
同調調整は別として、ジェットやニードルのセッティングが分からなくなっている場合や、最終モデルでも20年近くを経過してゴム部品が劣化しているような時に役立つのが、キースターの燃調キットです。
1990年代以降はバイクの排出ガス規制も年を追うごとに厳しさを増しており、ホーネットも2000年モデルで排出ガスへの二次空気導入やマフラー集合部への酸化触媒採用、さらにキャブレターセッティングの変更を行っています。
そのため、キースターの販売する燃調キットも、1996~1999年の前期用、2000~2007年の後期用の2製品を用意しています。また前期後期いずれも#1#2#3キャブレター用が共通で、#4キャブレターのみメインジェットのサイズが異なるため、それぞれのキャブに対応したキットを購入することが必要です。
■前期型用
ホーネット250/CB250F (MC31前期型)用燃調キット、#1#2#3キャブレター用燃調キット
ホーネット250/CB250F (MC31前期型), #4キャブレター用燃調キット
■後期型用
ホーネット250/CB250F (MC31後期型), #1#2#3キャブレター用燃調キット
ホーネット250/CB250F (MC31後期型), #4キャブレター用燃調キット
※燃調キットはキャブレター1個に対してのキットです。ホーネットの場合は4キット必要となります。
また排出ガス規制が強化される過程において、ユーザーが安易にキャブレター調整できないよう、パイロットスクリュー頭部の形状がD型になっているのも、この時期のホンダ車の特徴です。
燃調キット内のパイロットスクリューは一般的なマイナス溝ですが、純正パイロットスクリューを取り外す際にはD型スクリュー用ドライバーが必要になるので、セッティングやオーバーホールを行う際は、適合するドライバーを事前に用意しておきましょう。
純正キャブはニードルジェットが取り外せない独自の構造を採用
吸排気パーツの変更やエンジンコンディションに応じて、パイロットジェット/メインジェット/ジェットニードルのサイズ変更を行うことで純正キャブレターのセッティング変更を可能にしたのが、燃調キットの大きな特徴です。
ホーネット用燃調キットも、純正サイズを基準として、3サイズのパイロットジェット/6サイズのメインジェット/4サイズのジェットニードルを揃えています。
負圧式キャブでもピストンバルブ式キャブでも、メインジェットを取り付けるメインジェットホルダーの先は、空気が通過するベンチュリーに頭を出しているニードルジェットを押すのが一般的です。メインジェットで計量されたガソリンは、最終的にニードルジェットとジェットニードルの隙間からベンチュリーに吸い出され、エンジンの燃焼室に吸い込まれていきます。
キャブレター内を通過する空気は、常にエンジン側に一方通行で流れるのではなく、吸気バルブの開閉タイミングによってはエンジンからエアクリーナー側に逆流することもあり、これが脈動となってジェットニードルが振動してニードルジェットと接触して、摩耗の原因となる場合もあります。
一般的なホリゾンタルタイプのキャブレターは、ニードルジェットが外せることが多いのですが、ホーネット用のダウンドラフトキャブレターの場合は、ベンチュリーとフロートチャンバーの設定角度によってニードルジェットが外れない仕様となっています。
そのため燃調キットにも、交換用のジェットニードルは含まれません。オーバーホールやセッティングでジェットニードルを取り外す際は、ニードルが挿入されているニードルジェットの状態確認を忘れずに行っておきましょう。
空燃比を決めるベースとなるフロート油面。フロートに調整板を持たないホーネットは確認のみ
燃料タンクからキャブレターのフロートチャンバーに流れ込むガソリンを断続しているフロートニードルバルブは、チャンバー内の油面を決める重要な部品です。ガソリンが流れ込んでフロートが浮くと、ニードルバルブがバルブシートを閉じますが、この時ニードルバルブの先端やバルブシートの摩耗によってガソリン通路がしっかり閉じないと、ガソリン油面が正常値より上がってしまいます。
すると、パイロットジェットやメインジェットのサイズを変更していないにもかかわらず、空燃比が濃くなり、状況がさらに悪化すると、オーバーフローを起こしてガソリンが燃焼室に流れ込んでしまいます。
燃調キットのニードルバルブは、キースター独自技術を活用したAAニードルを採用することで、バイオエタノールを含むガソリンに対しても高い耐久性を発揮し、長期間にわたり安定した油面を維持できるメリットがあります。
オーバーフローの有無だけでなく、フロートとニードルバルブの接触状態によって上下するフロートチャンバー内油面が正確であることも、空燃比を安定させるために大切な要素です。
基準値に対して実際の油面が低ければ空燃比は薄くなり、油面が高ければ濃くなります。もし油面が正しくなければ、ニードルバルブの後端が接するフロートの調整板を曲げて調整できます。
ところが、ホーネットは油面を調整するための調整板のないフロートを採用しているため、ユーザーが任意に油面を調整することはできません。ニードルバルブとフロートの接触部分に十分な耐摩耗性があるため、簡単に油面が変化することはありませんが、25年以上の歳月による変化は予想できません。
どうしても油面調整が必要な場合には、別途販売している「バルブシート蘇生キット」によって調整不能フロートでも油面を変えることができますので、ご利用ください(こちらは次回の記事にて紹介します)。
4連キャブならではのガソリン漏れを修復できる。フューエルジョイント用Oリングももれなく付属
4気筒エンジンに装着される4連キャブレターは、よほどの旧車や絶版車を除けば4個のボディが連結されており、フューエルジョイントパイプを通じてフロートチャンバー内にガソリンが供給されます。
キャブレターに挿入されるジョイントパイプには、両者の隙間からガソリンが漏れることを防ぐため、ゴム製のOリングがセットされています。しかし、経年変化によってゴムが硬化/収縮したり亀裂が生じることで、シール性が低下してガソリンが滲んだり漏れることもあります。
Oリングの劣化にはいくつかのパターンがあり、内部にずっとガソリンが入っていたキャブよりも、長期保管などで内部を空にしたキャブに再びガソリンを注入したことをきっかけに漏れる例は少なくありません。
そんな場面でも、燃調キットにはフューエルジョイントパイプ用とベントパイプ用Oリングが入っており、それぞれを交換することが可能です。
ジョイントパイプ部分からのガソリン漏れの有無を確認するには、オーバーホール後エンジンにセットする前、キャブレター単体状態の時に燃料パイプからガソリンを流し込むのが最善です。
ジェット類のインナーパーツを交換したら、いち早くエンジンに組み付けたい気持ちも分かりますが、インテークマニホールドやインシュレーターバンドを締めて、スロットルワイヤーを取り付けた後でガソリン漏れが発覚した時のショックは大きく、再度キャブレターを取り外す意欲も下がってしまいます。
そうならないためにも、バイクからキャブを外した状態でフューエルジョイントパイプ部からのガソリン漏れを確認するのは必須であり、20年以上経過したモデルであることを考慮すれば、無条件でOリングを交換するのは賢明な行為です。
ただし、連結されたキャブボディをバラバラに分離すると、ほとんどの場合スロットルバルブを連携するレバーの位置がずれるため、組み立て後の同調調整が必要になります。
その一方で、チョーク機能のためのスターターバルブを交換する際にも連結を分解しなくてはならないので、徹底的にキャブコンディションを回復したいのであれば、その手間を惜しまず行うことをおすすめします。
アイドリングが安定しない、スロットルを開けていくと途中で回転が引っかかるといった、絶版車にありがちな不調の原因として挙げられることが多いキャブレター。電子制御に頼るインジェクションと違って、キャブレターは最終盤のスロットルポジションセンサーを除けば、基本的に機械要素だけで成り立っています。
ジェットやニードルを純正サイズから変更するキャブセッティングには、経験値やノウハウが求められますが、オーバーホールならスタンダードサイズで組み直すだけです。
純正パーツを外して燃調キット内のパーツを組み付ける前に、キャブレタークリーナーやパーツクリーナーで内部の汚れを洗浄すれば、キャブの状態、ひいてはエンジンコンディションも向上します。貴重な絶版車を好調に楽しむため、ぜひキースターの燃調キットを活用してください。
※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
- 2024/05/01
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