ハンターカブ”噂の真相”を追及する

水中走行実験後のCT125ハンターカブを分解点検してみた【診断結果は…オールセーフ!】


●文:ヤングマシン編集部(谷田貝洋暁) ●写真:増井貴光 ●取材協力:ガレージアトラクティブモトツーリング編集部

ホンダCT125ハンターカブにまつわる”噂の真相”を確かめるこの企画。1番勝負は「水中を走れるらしい」 無謀(!?)な渡河実験には無事成功したが、その入水が車両に与えた影響を確かめるために、専門家に分解検証をお願いした。

エンジンへの浸水はなかった

(前ページより続く)

渡河すればその後の影響も気になる。そこで、実験を行ったCT125ハンターカブを分解検証してみたのだが、車体に関してはほぼ問題なさそう。1回のストップを含む5分以上水中に没したエンジンも浸水は確認できなかった。

しかし、吸気系と排気系には少量の水が入り込んでいることを確認。渡河状況を見るに明らかな水没はしていないのだが、波しぶきを多少なりとも吸い込んでいるのが窺える。前方にエアクリーナーのあるフツーのカブだったら一発アウトの状況だったろう。

またオーナーによれば、入水後半月が経った時点で、これといった不具合は出ていないという。

気になる各部の詳細は以下の通りだ。

入水の影響やいかに?

【エンジンオイル:OK】念のためオイル交換を行ったが、オイルに乳化や水玉などはなく、エンジン内部への水の侵入は確認できなかった。今回程度の渡河ならガスケットからの浸水はないということか。

【ヘッドライト/ウインカー:OK】浸水の跡はあったが、ウインカーもヘッドライトもLED部分が防水ユニット化されており、筐体に内部に少々浸水があったところで雨天走行と状況は変わらず、それほど影響はなさそう。

【アクスルシャフト/足まわり:OK】アクスルシャフトを外してみると、シャフトそのものが濡れており、明らかに浸水している! フォークブーツ内にも水が…。しかし、雨天走行でもこのくらいは十分起きうるレベルとのことで問題ない。

【電装系:OK】ハンターカブのカプラーは、すべてではないものの普通のバイクより多くのカプラーが防水仕様になっているとのこと。今回の実験の影響はほとんど電装/ハーネス類には出ないだろうとのこと。

【エアクリーナーボックス:セーフ】エアクリーナーフィルターの外側に水滴が少々、またフィルターも湿っていた。シュノーケル内部にも水が残っている。漏水というより、吸入口から水を吸った形跡がある。危なかった!

マフラーは不安だったもののセーフ

他のカブのようにエキゾーストパイプ下部に水抜き穴がないハンターカブ。水没には相当強いハズだが、外してみると膨張室内部に入り込んだと思われる水の音がする! 大量ではないが、どうやら排気脈動で排気口から吸い込んだものらしい!?

「ん? 音がする!?」明らかな水没はしていないのだが…。引き波のしぶきを吸い込んだりしたのだろうか?

マフラーの水は50ccにも満たない量だが、走り続けていればさらに溜まることもあるだろう。ただこのくらいの量であれば、走行しているうちに排気熱で蒸発するとのことだ。

結論:CT125ハンターカブは渡河性能に優れている!

「CT125ハンターカブは水に強い」とホンダから正式な発表があったわけではないものの、防水カプラーが多用されていたり、エキゾーストパイプに水抜き穴がなかったりと、渡河対策と思われる箇所が見受けられ、“一般的なバイクよりは”水に強そうである。

少なくとも一晩漬け込んだりしないかぎり、雨天走行後とあまり状況的には変わらないだろうというのが、分解検証を担当したアトラクティブの見解だ。しかし、これは真水に限ったことで、海水や温泉水では腐食の進行が早いとのこと。

また吸排気系に関しては、知らず知らずのうちにかなり限界近くまで攻めていたようで、さらなる深度や長時間のテストになればまた違った結果になっていたかもしれない。

水中走行実験後のCT125ハンターカブ分解点検
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【取材協力:Garage Attractive】中野真矢氏のチーム・56Racingのサポートも行う同社。代表の後田(あとだ)氏はバイク便などのマシン整備も多く手がけ、過走行車両など酷使されたバイクへの造詣も深い。■東京都新宿区原町2-5 TEL:03-6302-1719

“ハンター”である以上は道なき道を進むことがあるはずの「CT125ハンターカブ」。次回は”噂”その2「ハンターカブはオフ性能が高い!?」


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