
スズキの逆輸入車として日本でも買うことができていたGSX-R750およびGSX-R600は、それぞれ2018年/2017年モデルを最後に排出ガス規制の関係などから国内導入が終了している。しかし北米仕様は今も生き残っており、グローバルサイトでは2026年モデルが公開された。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
40年の歴史を誇るナナハン・スーパースポーツと、兄弟車のR600
1985年当時、ナナハンと呼ばれていた750ccクラスに油冷エンジン搭載のGSX-R750でレーサーレプリカの概念を持ち込んだのがスズキだった。AMAスーパーバイクをはじめとしたレースシーンでは4ストローク4気筒の排気量上限が750ccに設定されていたこともあり、これによって“ナナハン”はレースユースに直結したクラスとして隆盛を極めていく。
1992年にGSX-R750は水冷エンジンとなり、比較的短いスパンでモデルチェンジを繰り返してきた。1996年モデルではツインスパーフレームを採用し、その翌年には兄弟車としてGSX-R600も登場。ともにスーパースポーツとして支持されてきた。現行モデルのカタチになったのは2011年モデル以降だ。
情勢が一気に変わったのは2004年だ。スーパーバイク世界選手権で4気筒の排気量上限が1000ccに引き上げられ、それまでレースとは一線を画して公道でのスポーツ性を高めてきていたリッタースポーツがこぞってレースベースとしてのポテンシャルを持つようになった。これにはモトGPの4ストローク1000cc化の影響もあったほか、CBR900RRの登場に端を発したリッタークラスの充実で、ナナハンクラスはレース以外での活躍の場が減ってきていたこともあっただろう。
という具合にGSX-R750の誕生から近年までの歴史を駆け足で振り返ってみたが、他メーカーが750ccスーパースポーツをラインナップから外していくなか、最後まで生き残っているのが他ならぬGSX-R750であることは間違いない。
日本では2018年まで逆輸入車として買うことができたものの、現在は中古車として流通するのみ。しかし、排出ガス規制の関係でまだ販売が続けられる北米市場においてはGSX-R750およびGSX-R600が継続販売され、毎年のようにカラーチェンジを続けている。
最近では600ccオーバーのNinja ZX-6R(636cc)やCBR650R(648cc)が“ちょうどいいスポーツバイク”として脚光を浴びていることもあり、ナナハンスポーツ待望論が生まれてもいいはずだと思っているのは筆者だけではあるまい。
今回グローバルサイトで2026年モデルとして公開されたGSX-R750/GSX-R600は、2025年モデルにもあった各3色のラインナップから全て刷新され、各2色の設定となる模様だ。
スペックについては、日本に最後に輸入されていたモデルから特に変更はないようで、他車に先駆けて採用したパワーモード切替の「SDMS」、ブレンボ製フロントブレーキキャリパーなど装備は今の基準で見ても十分といえる。日本在住のバイクファンとしては、写真で眺めることしかできないのが残念だ。
価格はGSX-R750が1万3249ドル(日本円換算約196万5000円・7/17現在)、GSX-R600が1万2199ドル(約180万9000円)だ。
SUZUKI GSX-R750[2026 U.S. model]
主要諸元■全長2030 全幅710 全高1135 軸距1390 シート高810(各mm) 車重190kg(装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 750cc 出力未発表 変速機6段 燃料タンク容量17L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:1万3249ドル ※諸元は北米仕様
R750と同様のカラーチェンジを受けたGSX-R600
GSX-R600についてもR750と同様にカラー変更を受けた。GSX-R600は2017年まで逆輸入車として(GSX-R750とともに)日本でも買うことができていたが、それぞれ2017年モデル(R750は2018年モデル)を最後に排出ガス規制の関係などから販売終了している。その後も独自の排ガス規制を敷く北米エリアでは生き残っており、毎年のようにニューカラーが発表されているのは羨ましい限りだ。
SUZUKI GSX-R600[2026 U.S. model]
主要諸元■全長2030 全幅710 全高1135 軸距1385 シート高810(各mm) 車重185kg■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 599cc 出力未発表 変速機6段 燃料タンク容量17L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:1万2199ドル ※諸元は北米仕様
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