
●文:伊藤康司(ヤングマシン編集部) ●写真:YM Archives
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗
ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレンジした“丸くてレトロ”なフォルムは、旧車ファンならずとも大いに気になる存在だ。
そんなZ900RSの牙城に果敢に挑むのが、ついに世に出たCB1000Fコンセプト。こちらは1979年に発売した名車CB750F/900Fをモチーフとするが、決して“旧さ”をフィーチャーしていないところがホンダ流といえるのではないだろうか。
令和のネオクラ王者・Z900RSに対し、CB1000Fコンセプトはどう挑むのか?! (この画像はCGです)
過去のCB vs Z、その戦いは繰り返される?!
歴史を遡れば、1972年に登場して長く人気を博したZ1シリーズに対抗すべく、ホンダは当時のワークス耐久レーサーの技術と革新的なデザインのCB-Fを投入。その後も、ネイキッドブームを作った空冷のゼファーシリーズに、水冷のパワフルなユニットを搭載するCB1000スーパーフォアことBIG-1で対決した。そして今回のCB1000Fコンセプトも、その流れを汲むように感じる。
レトロでアナログなイメージが強いZ900RSに対し、スタイルこそCB-Fを彷彿させるが、ホーネットをベースとするスーパースポーツ由来のエンジンや豊富な電子制御アイテム。ネオクラシックのカテゴリー的には、ある意味で逆張りといえるが、それがCB1000Fコンセプトの戦い方なのだろう。
【直線と曲線で真逆のアプローチ】倒立フォークやモノサスペンションを採用しつつも、Z900RSはあくまでZ1が登場した1970年代初頭のノスタルジックな佇まいを強調。対するCB1000FコンセプトはCB750/900Fをオマージュしながらも、レトロ路線とは一線を画すスタイル。かつてのZ1とCB-Fの関係性が見事に再現されている
シート表皮は、Z900RSははZ1000Mk.II的で、CB1000Fコンセプトはライダー側のみFをモチーフにしたパターン。CBのタンデムシートはとてもフラットで積載性も高そうだ。
【電子制御スロットルのCBは機能拡張が自在?!】CB(左の写真2枚)はどんな電子制御を装備するのか未発表だが、ベースとなるホーネットはエンジン出力やHSTC(トラコン)、エンジンブレーキコントロールを制御するライディンングモードや、SPには双方向クイックシフターも装備する。対するZ900RS(右2枚)は現状だとトラコンのみだが、ベース車であるZ900が2025モデルで電スロ化したので…。
【”デジタルvsアナログ”どっちもイイ!】CBのメーターはホーネットと同様の5インチ液晶ディスプレイで、スマホ連携や表示機能も踏襲すると思われる。対するZはスピード&タコのアナログ2眼がメインで、中央に液晶パネルを配置するがレトロ感抜群。どちらも車両のコンセプトにマッチして甲乙つけがたい!
スマホ連動は搭載確実!!
【参考メーター:CB1000ホーネット】CB1000Fコンセプトのベース車・ホーネットは5インチTFTフルカラー液晶を備え、電話や音楽などを専用アプリのHonda RoadSyncによってスマートフォンと連携。ターンバイターン式のナビゲーションもメーター内に表示する。
【ホーネットの参考スペックで比較】CB1000Fコンセプトはまだ正式情報がないので、ここではベース車・CB1000ホーネットのスペックををZ900RSと比較。やはりCBの見所は電子制御の充実度か?
Zは4グレード展開。CBはどう出る?!
2017年の登場以来、国内の小型二輪(400cc超)の新車販売で7年連続トップを誇るZ900RSシリーズ。STDモデルに加え、人気カラーのイエローボール仕様や豪華な足まわりのSE、さらにビキニカウル装備のCAFEとラインナップも充実。この布陣に対するCB1000Fコンセプトの動向が気になるが、ホーネット同様に上級版のSPも揃えるのか!?
【TOPICS=ベース車両が電スロ化!】新型Z900 SE(165万円)は従来のトラコンとパワーモードに加え、電スロ&IMUによるクイックシフターやクルーズコントロールも新装備。これらの装備が次期RSに新採用されるかも!?
[新生Fの指標]ネオクラ最強のKATANAと’80sレプリカ展開のXSR
CB1000Fのネオクラシック、レトロスポーツ系のライバルといえば、Zの他にもこの3台が存在。名車KATANAのリバイバルはSSベースで、兄弟車も多い熟成を極めた4気筒。そしてXSRはヤマハ独自の並列3気筒と、充実した電子制御や足まわりでスポーティーな走りを演出。このカテゴリーはある意味で“住み分け”がハッキリしているので選択するのに迷わないかも。
【スズキKATANA(166万1000円)】エンジンはSSの名機GSX-R1000[K5]がベースだけに150psとパワフル。2022年に電スロ化して双方向クイックシフターなども装備する。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(CB1000Fコンセプト)
随所に漂うエフっぽさ。軽さにも驚く! 思い起こせばCB-Fコンセプトから5年。本当に待ってました(笑)。実車を見て、まず思ったのは、さまざまなところにエフっぽさがあるということ。カラーを見て思わず「お[…]
圧倒的に軽いCB1000Fコンセプト。足着き性も良好だ CB1000FコンセプトをCB1300スーパーフォアと比較すると、前者の方がコンパクトで引き起こしも圧倒的にラク。ただ跨ってみると意外と大柄な印[…]
エンジンはホーネットより低速寄り?! 152psを発生するスーパースポーツ譲りの直列4気筒+鋼管ダイヤモンドフレームというホーネットの基本構成を受け継ぐCB1000Fコンセプト。エンジンの詳細は不明だ[…]
ライディングポジション関連を変更。実用性もアリ!! 基本構成はCB1000ホーネット譲りだが、各部のパーツは専用品が多い。とくに注目すべきはスマートキーだ。ホーネットでは物理キーを鍵穴に挿し込む一般的[…]
直4&丸目。王道のジャパニーズネイキッドスタイル 直列4気筒エンジンの存在感を際立たせつつ、丸1眼ヘッドライトとオーソドックスな外装。CB1000Fコンセプトのスタイルは、往年のエフらしさを漂わせつつ[…]
人気記事ランキング(全体)
【ご注意】本記事は、エンジンオイルの過剰注入がエンジンに与える影響を確認するための実験であり、一般使用車両での実施や再現を推奨するものではありませんのでご了承ください。 オイルの規定量は守らなくちゃイ[…]
その姿、まるでGB400TT MkIIの正統後継者! 欧州ホンダは、2025年も例年通りカスタムコンテスを開催。これは正規ディーラーがホンダ車をベースにカスタムを手がけ、オンライン投票で最優秀マシンを[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
フェイスリフトと前後サスペンションの再設定 ホンダが「XL750トランザルプ」の国内2025年モデルを発売する。CB750ホーネットに似た2眼ヘッドライトを新たに採用し、センターダクトを設けたウインド[…]
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ 最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今[…]
最新の投稿記事(全体)
1位:CB400FOURは前期型→後期I型/II型でなにがちがう? 1974年に初登場したホンダCB400フォアは、初代とそれ以降でなにが違うのかを紹介した。ご存じ初代モデルは全車408ccのために発[…]
“Neo Retro”ロードスポーツ:2016年モデル 発売は2016年4月15日。現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロ[…]
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場 2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随所に取り入れ開発された。初[…]
歴史的な価値のあるパーツに使われることが多いマグリコート ホイールやエンジンカバー、といっても一般的な市販モデルではなく、アフターマーケットパーツやレース用のホイールやカバー類に使われることの多い、マ[…]
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗 ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレ[…]
- 1
- 2