
1978年から同じ姿のまま進化と熟成を重ねたヤマハSR。そんな一台には、時代に合わせ、“変わらないために変わり続けた”43年の歴史がある。比類なきロングセラーの歩みと色彩を振り返る。この記事では、2000年代のモデル変遷を辿る。
●文:伊藤康司 ●写真:YM Archives
- 1 〈2000年2月〉SR400[3HTB]:最終ドラムブレーキモデル
- 2 〈2001年3月〉SR400[3HTC]:ディスクブレーキ化で走りを一新
- 3 〈2002年4月〉SR400[3HTD]:マットブラックエンジン初採用
- 4 〈2003年3月〉SR400[3HTF]:スロポジセンサー装備
- 5 〈2003年4月〉SR400[3HTH]:SR25thアニバーサリー
- 6 〈2004年2月〉SR400[3HTJ]:軽快なホワイト追加
- 7 〈2005年2月〉SR400[3HTK]:トラッドスタイル登場
- 8 〈2005年10月〉SR400[3HTL]:ヤマハ50thアニバーサリー
- 9 〈2006年3月〉SR400[3HTM]:ゴールドメッキロゴ
- 10 〈2006年6月〉SR400[3HTN]:YSPブラックスペシャル
- 11 〈2007年1月〉SR400[3HTP]:ミラーが楕円に変更
- 12 〈2008年2月〉SR400[3HTP]:最終キャブレター仕様
- 13 〈2008年7月〉SR400[3HTS]:SR30thアニバーサリー
- 14 〈2009年12月〉SR400[3HTR]:FI装備でいっそう深化
- 15 YAMAHA SR400最新相場情報
〈2000年2月〉SR400[3HTB]:最終ドラムブレーキモデル
ドラムブレーキの最終モデルだ。1999年のブラックゴールドは継続。ダークパープリッシュレッドカクテル3が廃止され、グロリアスマキシブラウンが追加された。
【2000 YAMAHA SR400[3HTB]】●発売当時価格:42万5000円 ※写真の車体色はグロリアスマキシブラウン
〈2001年3月〉SR400[3HTC]:ディスクブレーキ化で走りを一新
フロントブレーキを再びディスク化。ただし初代モデルとは異なり、フロントフォーク右に配置し、多孔式ディスクに2ピストンのピンスライドキャリパーを装備した。ホイールのハブやスポークも異なる。
また、合わせて前後サスペンションのセッティングも変更して、走りの精度を高めた。キャブレターはレスポンスに優れるBSR33に変更し、排出ガス規制に対応してエアインダクションシステムを装備。プラグの点火方式も見直された。
【2001 YAMAHA SR400[3HTC]】■全長2085 全幅735 全高1080 軸距1410 シート高790(各mm) 車重153kg(乾) ■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 399cc 27ps/7000rpm 3kg-m/6500rpm 変速機5段 燃料タンク容量12L ■タイヤサイズF=3.50-18/R=4.00-18●発売当時価格:45万円 ※写真の車体色はニューブラックブルー
2001年モデルのカラーバリエーション・ベリーダークグリーンメタリック1。初めて同型で3色をラインナップした。伝統的なツートーンは一見するとブラックだが、深みのあるグリーンのメタリックだ。
2001年モデルのカラーバリエーション・シルバー3。歴代SRで初めての、グラフィックやストライプがまったく入らない完全なソリッドカラーで、クールなイメージを強調。
〈2002年4月〉SR400[3HTD]:マットブラックエンジン初採用
カラー変更を実施。シルバー3はピンストライプが入り、歴代SRで初めてマットブラックのエンジンが採用された。2001年のニューブラックブルーとベリーダークグリーンメタリック1は継続。
【2002 YAMAHA SR400[3HTD]】●発売当時価格:45万円 ※写真の車体色はシルバー3
〈2003年3月〉SR400[3HTF]:スロポジセンサー装備
キャブにスロットルポジションセンサーを装備し、マフラーの内部変更で騒音規制に対応した。イモビライザーが標準装備されたこともトピック。サムソンブルーが新色で、2002年のシルバーとブラックが継続された。
【2003 YAMAHA SR400[3HTF]】●発売当時価格:46万円 ※写真の車体色はサムソンブルー
〈2003年4月〉SR400[3HTH]:SR25thアニバーサリー
誕生から25年を記念した500台限定モデルが登場。タンクは伝統のサンバーストで真鍮製の音叉マークが奢られ、左右エンジンカバー類は8工程ものバフがけが施された。カウルレスのシートはタックロールのツートーン。専用パネルのメーターに、アルミ削り出しの専用ハンドルクランプにシリアルプレートを装備するなど、26カ所にも及ぶ変更がなされた。
【2003 YAMAHA SR400 25TH ANNIVERSARY LIMITED EDITION[3HTH]】●発売当時価格:55万円 ※写真の車体色はミヤビマルーン
〈2004年2月〉SR400[3HTJ]:軽快なホワイト追加
2004年モデルはカラー変更を実施。新色は、クールで軽快感溢れるブルーイッシュホワイトカクテル1。サムソンブルーとニューブラックブルーは継続で、主要緒元にも変更はなかった。
【2004 YAMAHA SR400[3HTJ]】●発売当時価格:46万円 ※写真の車体色はブルーイッシュホワイトカクテル1
〈2005年2月〉SR400[3HTK]:トラッドスタイル登場
2005年モデルでもカラーが変更され、新たな全3色ラインナップに。新色のヤマハブラックは、黒にピンストライプを入れたトラッドなスタイルだった。主要緒元には変更なし。
【2005 YAMAHA SR400[3HTK]】●発売当時価格:48万6150円(消費税5%含む) ※写真の車体色はヤマハブラック
2005年モデルのカラーバリエーション・ブルーイッシュホワイトカクテル1。ベースカラーは2004年モデルと同じだが、燃料タンクとテールカウルに入るピンストライプのカラーが変更された。
2005年モデルのカラーバリエーション・ダルレッドメタリックD。落ち着きのあるレッド系ながら、メタリック感を鮮烈に放つ。SRで初となるシルバーフレームを採用。クラシック感を高いクォリティで演出する。
〈2005年10月〉SR400[3HTL]:ヤマハ50thアニバーサリー
1955年に日本楽器製造から独立した、ヤマハ発動機の50周年を記念したモデルが500台限定発売された。1978年の初代SR400(ブラックゴールド)をイメージさせるカラーリングや、シート表皮も初代風のパターン。左右エンジンカバーやフロントフォークのアウターは丁寧なバフ仕上げが施され、ブレーキキャリパーも専用のブラックが装備された。
【2005 YAMAHA SR400 50TH ANNIVERSARY SPECIAL EDITION[3HTL]】●発売当時価格:54万6000円(消費税5%含む) ※写真の車体色はヤマハブラック
〈2006年3月〉SR400[3HTM]:ゴールドメッキロゴ
2006年モデルには、新色のベリーダークオレンジメタリック1が登場。サイドカバーのロゴがゴールドメッキに変更された。2005年のダルレッドメタリックDとヤマハブラックは継続。
【2006 YAMAHA SR400[3HTM]】●発売当時価格:48万6150円(消費税5%含む) ※写真の車体色はベリーダークオレンジメタリック1
〈2006年6月〉SR400[3HTN]:YSPブラックスペシャル
全国のYSPから、ヤマハへオーダーされた360台の限定モデル。マットブラックのフレームにフィン研ぎ出しのブラックエンジンを抱き、ホイールのリムやハブ、ハンドルバーなど徹底的にブラックにこだわった仕様だった。
【2006 YAMAHA YSP BLACK SPECIAL SR400[3HTN]】●発売当時価格:52万3950円(消費税5%含む) ※写真の車体色はブラックメタリックX
〈2007年1月〉SR400[3HTP]:ミラーが楕円に変更
2007年モデルでは、ベリーダークレッドメタリック2が新色で登場した。また、ミラーが角型から楕円型に変更された。2006年のベリーダークオレンジメタリック1とヤマハブラックは継続。
【2007 YAMAHA SR400[3HTP]】●発売当時価格:48万6150円(消費税5%含む) ※写真の車体色はベリーダークレッドメタリック2
〈2008年2月〉SR400[3HTP]:最終キャブレター仕様
2008年モデルでは、シルバーフレームが映えるブルーメタリックCが登場した。2007年のベリーダークレッドメタリック2とヤマハブラックは継続。実質的なキャブレター仕様の最終モデル。
【2008 YAMAHA SR400[3HTP]】●発売当時価格:48万6150円(消費税5%含む) ※写真の車体色はブルーメタリックC
〈2008年7月〉SR400[3HTS]:SR30thアニバーサリー
SR登場30周年を記念する500台限定車が登場。グリーン系のぼかし塗装で、サンバースト初のダブルストライプ仕様だった。カウルレスのシートはタックロールのツートーンで、エンジンカバーなど各部を丁寧にバフ仕上げ。専用メーターやブラックキャリパーなどを装備。キャブレター車における、最後の限定車となった。
【2008 YAMAHA SR400 30TH ANNIVERSARY LIMITED EDITION[3HTP]】●発売当時価格:60万9000円(消費税5%含む) ※写真の車体色はベリーダークグリーンメタリック1
〈2009年12月〉SR400[3HTR]:FI装備でいっそう深化
厳しさを増した平成19年度排出ガス規制に対応し、ついにFI(フューエルインジェクション)化を果たす。燃料ポンプを収めるためにサイドカバーの幅を10mm拡大したが、燃料タンクを含め既存のフォルムを守った。もっともタンクやシートは新規部品のため、既存モデルと互換性はなかった。
マフラーも触媒内蔵の新設計。空冷単気筒エンジンはクラッチ操作力を軽減したり、キックスターターの踏力も軽くなり、FI化と合わせて始動性も大幅に向上した。
【2009 YAMAHA SR400[3HTR]】■全長2085 全幅735 全高1080 軸距1410 シート高790(各mm) 車重174kg(装備) ■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 399cc 26ps/6500rpm 2.9kg-m/5500rpm 変速機5段 燃料タンク容量12L ■タイヤサイズF=3.50-18/R=4.00-18●発売当時価格:57万7500円(消費税5%含む) ※写真の車体色はディープレッドメタリックK
FI化した実質的な2010年モデルのカラーバリエーション・ヤマハブラック。ディープレッドメタリックKとはグラフィックが異なる。サイドカバーには新デザインの立体エンブレムを装着する。
YAMAHA SR400最新相場情報
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